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大洲和紙 オオズワシ
薄くて美しい高級和紙
手漉きの伝統が受け継がれた逸品
Description / 特徴・産地
大洲和紙とは?
大洲和紙(おおずわし)とは、愛媛県大洲市内子町で作られている手漉き和紙です。大洲では、平安時代から和紙が作られていましたが、現在のような大洲和紙になったのは江戸時代中期のことでした。一時は存続が危ぶまれるほどに職人が減ってしまった大洲和紙も、現在では高級和紙としての地位を確立しています。
大洲和紙の特徴は、楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)・麻・竹・わら・トロロアオイを原料として作られているところです。書道半紙・障子紙・凧紙・色和紙など、様々な形で利用されていますが、特に有名なのは書道半紙です。大洲和紙は薄くて漉きムラが少ないため、高級で使いやすい書道半紙として重宝されるようになりました。
3~4年たって枯れた状態の書道半紙は、さらに滑りが良くなり独特の味わいが表現できます。
History / 歴史
大洲和紙の起源は定かではありません。しかし、平安時代に書かれた延喜式(えんぎしき)という書物に登場していることから、その時代にはすでに作られていたと考えられます。紙漉重宝記(かみすきちょうほうき)によれば、歌人として有名な柿本人麻呂が岩見の国で紙漉きの技を起こしたところ、その技術が大洲に伝わったとのことです。
現在の大洲和紙となったきっかけは元禄年間にありました。宗昌禅定門が技術を導入して大洲藩の産業として発展、日本一の和紙と呼ばれたこともあります。
1910年(明治43年)には製紙工場が増設されて業者も430名にまで増えましたが、終戦時には74名に、現在ではさらに数が減ってしまいました。衰退の要因は、戦争の影響だけでなく機械化による影響も大いにありました。しかし、かたくなに手漉きにこだわった職人が技術を守り抜いたことで、現在にまで大洲和紙が受け継がれています。
Production Process / 制作工程
- 1.水浸・煮沸 原料の楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)を柔らかくするための工程です。数日間、水につけて柔らかくした後、ソーダ灰などを加えて釜で煮込みます。煮込むことによって、和紙から余分なものが抜け、また繊維がほぐれやすくなります。
- 2.あく抜き・漂白 煮沸によって溶けだした不純物やゴミなどを取り除くために、水洗いを行います。水洗い後は、1週間ほど水槽の中で水と日光にさらしてあく抜きです。あく抜きが終わったら、さらし液・水・原料を混ぜて広げ、漂白していきます。よくある茶色っぽい色をした和紙は、漂白を行っていない和紙です。
- 3.水洗・叩解(こうかい)
漂白後は、丁寧に水洗いを行って薬品を落とします。薬品が残っていると和紙を劣化されるためです。また、水洗い後には丁寧にゴミを拾っていきます。ゴミの除去が終わったら繊維をほぐす叩解という作業を、叩解機(ビーター)という機械を使って行います。繊維がバラバラになったら、いよいよ紙すきです。
- 4.紙すき
漉き舟に原料とトロロアオイから作った糊、水を乗せてよく混ぜ、桁をはめたスダレで紙をすいていきます。手すきには大きく「流しすき」「溜めすき」の2種類がありますが、現在の主流は流しすきです。大洲和紙も流しすきで作られます。
流しすきは、混ぜ合わせた原料をスダレにすくい、手前・奥に揺らして均一な紙を作る手法です。腕だけではなく、足や腰など、全身を使って流し漉きを行います。均一な厚みの和紙ができたら、桁からスダレを外してそっと積み重ねていきます。 - 5.圧搾(あっさく) すき終わった和紙は、一晩寝かせた後に圧搾機を使って水分を抜きます。和紙の形などを損なわないよう、注意を払ってゆっくり行われる工程です。圧搾をする時間は種類によって変わり、障子紙なら3時間、書道用半紙なら24時間かけます。
- 6.乾燥 脱水が終わったら乾燥です。和紙によっては干し板に張り付けて天日干し、または乾燥室での乾燥を行いますが、大洲和紙では乾燥機を使います。乾燥機のステンレス板に1枚1枚貼りつけ、しわがよらないよう刷毛で素早く丁寧に伸ばします。ステンレス板が和紙でいっぱいになる頃には、最初に貼りつけた和紙が乾いているので、そっとはがして重ねます。空いたスペースには、また湿っている和紙を貼りつけていきます。
- 7.選別・裁断 乾いた和紙の厚さや漉きムラ、破れなどをチェックして、ゴミなどがついていれば取り除いていきます。選別が終わったら規格に合わせて裁断すれば、大洲和紙の完成です。なお、和紙の種類によっては、にじみ防止のためのドーサ引き(水、膠、ミョウバンを混ぜたドーサ液を刷毛で和紙にぬること)をすることがありますが、大洲和紙では行いません。
Representative Manufacturers / 代表的な製造元
株式会社 天神産紙工場 テンジンサンシコウジョウ
古来の伝統を守り手づくり品の良さと日本人のあたたかさをもつ、より良き「大洲和紙」の生産の為一同日夜精進を重ねております。
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定休日土曜・日曜・祝日(大洲和紙会館は無休)
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代表沼井 光博
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営業時間8:30~17:00
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住所
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電話0893-44-2002
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見学可 / (予約制)500円
株式会社 五十崎社中 イカザキシャチュウ
愛媛県内子町五十崎の美しい水から生まれた手漉き和紙は 寛永の時代から続く土地の人々のくらしに根差し大切に育まれた伝統産業。 日本で唯一、フランスの金箔技法「ギルディング」を継承し手漉き和紙と融合させた 新たな和紙作品を生み出し続けます。 国内外へ製造販売する事で無限の可能性を秘めた世界市場を舞台に 日本文化伝統を世界へ発信したいと思います。
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創業2008年 (平成20年)
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定休日年末年始、お盆休み。要確認。
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代表齋藤 宏之
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営業時間9:00~17:00
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住所
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HP
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電話0893-44-4403
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見学可 / 要予約/ギルティング(金箔貼り)教室あり。
Facility Information / 関連施設情報
大洲和紙会館
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住所
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電話0893-44-2002
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定休日年末年始、お盆
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営業時間9:00~17:00 / 土日 9:00~15:00
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アクセスJR予讃線「内子駅」よりタクシー5分