越中和紙

越中和紙 エッチュウワシ

越中富山の薬売りと共に発展
生活に根付き、多様な用途が生まれた丈夫な和紙

Description / 特徴・産地

越中和紙とは?

越中和紙(えっちゅうわし)は、富山県朝日町、八尾町、平村周辺で作られている和紙です。五箇山和紙(ごかやまわし)、八尾和紙(やつおわし)、蛭谷和紙 (びるだんわし)の3つの生産地で製作されている和紙を総称したものとなっています。
越中和紙の特徴は、産地ごとに少しずつ用途が異なっており、さまざまな種類の和紙がある点です。蛭谷和紙では書画用紙、五箇山和紙では障子紙、絵画や版画用の紙、文化財補修用紙などが製造の中心となっています。また、八尾和紙では「型染め(かたぞめ)」という独特の製法で仕上げられた模様紙や和紙加工品など、何かを描くというよりは加工することを前提とした和紙が製造されてきました。いずれの産地の越中和紙も生活の中で重宝されてきたものであり、丈夫さが魅力です。
伝統的な製法や製品が受け継がれている一方で、新しい紙製品の開発も盛んです。八尾和紙の型染めによるモダンな模様が印象的な製品や、五箇山和紙の市松模様やカラフルさが魅力のブランド製品は注目を集めています。

History / 歴史

越中和紙の起源は定かではありませんが、奈良時代の774年(宝亀5年)に書かれた「図書寮解(ずしょりょうげ)」に紙の産地として越中が記述されており、この頃には既に紙が生産されていたと考えられます。また、平安時代中期の律令の細則「延喜式(えんぎしき)」では、租税として越中の和紙を納めていた旨の記載が確認できます。
なかでも八尾和紙の生産が盛んになったのは、江戸時代の1688年~1704年(元禄年間)です。富山藩2代藩主の前田正甫によって売薬が奨励されるようになり、越中和紙は薬包紙(やくほうし)や顧客名簿である懸場帳(かけばちょう)、薬売りが持ち歩く鞄の素材としての需要が高まっていきました。
また、五箇山和紙は江戸時代に加賀藩の御料紙(ごりょうし)として使用されており、発展を遂げています。伝統的な製法を受け継いできた越中和紙は、1984年(昭和59年)に国の伝統工芸品の指定を受けました。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.水浸または雪晒し 乾燥保存していた白皮を、1日~3日ほど川または水槽などの水に浸します。水浸を行うことで白皮を柔らかくして、残っていたゴミなどを取り除くことが可能です。また、雪に2週間程度を楮(こうぞ)をさらして漂白する、「雪晒し」も行われます。
  2. 2.煮熟(しゃじゅく) 大釜を用いて、苛性(かせい)ソーダやソーダ灰、石灰(せっかい)などが入ったアルカリ性の溶液とともに、白皮を約2時間煮ます。煮熟することで、アルカリ性の溶液が白皮の繊維を溶かします。
  3. 3.アク抜き、洗浄 煮熟が終わったら一晩そのまま放置し、水を何回も替えながらしっかりとアクを取り除きます。
  4. 4.漂白洗浄 障子紙(しょうじがみ)など白い紙を作る場合は、次亜塩素酸ナトリウムやさらし粉を用いて漂白洗浄を行います。
  5. 5.塵取り 水に浸しながら、繊維の中に残っているゴミや変色した繊維を取り除きます。きれいな和紙に仕上げるために、手作業で丁寧に塵取りすることが重要です。
  6. 6.叩解(こうかい) 叩解は、繊維を叩き(たたき)ほぐす作業です。杵(きね)や木槌(きづち)などを用いて手作業で行うほか、打解機や刃を回転させて叩く「ピーター」などの機械によっても行われています。叩かれた繊維は、粘り気を帯びていることが特徴です。
  7. 7.紙漉き(かみすき) 木製の大きな水槽のような漉槽(すきふね)の中に、水、柔らかくなった繊維、トロロアオイという植物の根から抽出した「ネリ」を入れて混ぜ合わせ、紙料を作ります。ネリには粘性があり、水中で繊維がくっつかないようにする働きがあります。
    越中和紙の漉き方は「流し漉き(ながしすき)」です。すだれ状の簀(す)を桁(けた)という木製の枠に固定し、これで紙料をすくい、揺すって簀の上に均等に広げます。漉き終わったら、紙床板(しきづめ)という板に積み重ねていき、紙床(しと)を作ります。
  8. 8.圧搾 紙床(しと)を一晩そのままにしておき、翌日に圧搾機を使用して数時間から1日をかけて水分を抜いていきます。
  9. 9.乾燥 脱水後の紙床から紙を1枚ずつはがして、天板に貼り付けるようにのせて乾燥させます。乾燥には、日光による自然乾燥や蒸気を利用した機械による乾燥などがあります。
  10. 10.選別 キズの有無、厚みの均一さなどを確認します。
  11. 11.型染め 模様のある和紙を作るときには、型染めによって模様を入れます。型染めは染料が繊維の奥にまで入り込むので、布地がよれてもきれいな模様を維持できることが特徴です。
  12. 12.出荷 障子紙として出荷する場合は、裁断を行います。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

有限会社桂樹舎 ケイジュシャ

富山市の伝統工芸「八尾和紙」。和紙小物、型染め和紙、和紙作り体験などを通して、型染め和紙の魅力を伝えていきます。

Where to Buy & More Information / 関連施設情報

五箇山和紙の里 道の駅「たいら」(五箇山)

五箇山和紙の里 道の駅「たいら」(五箇山)

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