岩槻人形

岩槻人形 イワツキニンギョウ

丸みのある愛らしい顔立ちと、胡粉で仕上げるなめらかな白い肌、華やかな衣装が特徴。雛人形や五月人形、浮世人形など幅広い人形が作られ、頭・髪・衣装など各工程に専門職人の技が息づいています。2007年(平成19年)、国の伝統的工芸品に指定されました。

Description / 特徴・産地

岩槻人形とは?

岩槻人形(いわつきにんぎょう)は、埼玉県さいたま市を中心に作られている日本人形です。2007年(平成19年)3月9日に、国の伝統的工芸品に指定されました。

岩槻人形の特徴は、頭の輪郭が丸く、目がやや大きく、はっきりとした表情を持つものが多いことです。雛人形、五月人形、浮世人形などが代表的で、華やかな衣装と丁寧な面相表現によって、それぞれの人物や役柄を表します。

人形の頭には、桐などを彫って作る木彫頭や、桐粉と正麩糊を練り合わせて型抜きした桐塑頭が用いられます。表面には膠と胡粉を用いて地塗りや上塗りを重ね、滑らかで明るい肌に仕上げます。

面相描きでは、眉毛、まつげ、生え際、口紅などを細い筆で描き、人形の表情を整えます。髪には絹糸を用い、植え付けや結い上げなどによって髪型を仕上げます。

胴には藁胴や木胴などが用いられ、絹織物や綿織物で仕立てた衣装を着せ付けます。衣装には和紙を裏打ちすることもあり、布に適度な張りを持たせながら、襟や袖、裾の形を整えます。

岩槻では、頭、手足、胴、衣装、小道具などを専門の職人が分業で制作し、最後に組み立てる伝統が受け継がれてきました。現在も節句人形を中心に、さまざまな日本人形が制作されています。

History / 歴史

岩槻を含む埼玉県では、江戸時代に雛祭りが広まり、人形文化が発展するなかで、各地で人形作りが行われるようになりました。

岩槻における人形生産は、江戸時代後期にはすでに行われていたことが、近年確認された古文書などから分かっています。幕末から明治初期にかけて、人形職人や人形商が活動し、地域の人形産業の基盤が形成されていきました。

明治初期になると、農閑期に地雛などを作っていた職人の技術と、士族が内職として行っていた人形作りの技術が結びつき、雛人形をはじめとする節句人形の本格的な生産が進みました。

明治時代には五月人形などの生産も拡大し、岩槻は関東を中心に人形を供給する重要な産地へと成長しました。

大正から昭和にかけても人形産業は発展し、戦後には風俗人形や木目込人形など、制作される人形の種類もさらに広がりました。高度経済成長期には、岩槻には多数の工房や問屋が集まり、日本有数の人形産地として知られるようになりました。

2007年(平成19年)3月9日には、「岩槻人形」が国の伝統的工芸品に指定されました。

現在も岩槻では、頭作り、面相描き、髪付け、胴作り、衣装付け、小道具作りなど、専門職人による分業の技術が受け継がれ、「人形のまち」として人形文化が継承されています。

Production Process / 制作工程

  1. 工程1 頭の素地づくり
    岩槻人形の頭には、木彫頭と桐塑頭があります。

    木彫頭は、桐、ヒノキ、ホオなどの木材を用い、彫刻刀で荒削りをした後、顔の輪郭や鼻、口などを細かく整える「小作り」を行います。

    桐塑頭は、桐粉と正麩糊を練り合わせて作った桐塑を型に詰めて成形し、乾燥後に型から外して表面を整えます。

    どちらの方法でも、この段階で顔の基本的な形を作り、次の胡粉塗りに適した素地に仕上げます。
  2. 工程2 胡粉塗り・面相描き
    整えた頭に、膠と胡粉を用いて表面を仕上げます。

    国指定の伝統的技法では、「地塗り」「置き上げ」「中塗り」「切り出し」を行った後、胡粉による上塗りを3回以上重ねます。塗り重ねと研ぎを行いながら、滑らかで均一な肌を作ります。

    その後、細い筆を使って面相を描きます。国指定技法には、「まつげ描き」「まゆ毛描き」「毛描き」「口紅入れ」があり、人形の種類や役柄に合わせて表情を整えます。
  3. 工程3 髪付け
    頭に髪を付け、人物や役柄に応じた髪型に仕上げます。

    雛人形などでは、まず髪を植え付ける位置に「毛彫り」を施し、絹糸を用いて髪を植え付けます。

    植え付けた髪は、結い上げや鬢かけなどの技法によって整えます。人形の種類によって髪付けの方法は異なり、髪型や毛量を調整しながら仕上げます。
  4. 工程4 手足づくり
    手や足は、木彫りまたは桐塑によって作ります。

    木彫りでは木材を削って形を整え、桐塑では桐粉と正麩糊を練り合わせた材料を用いて成形します。指や手首などの細部まで丁寧に形を整えます。

    表面には胡粉を施して滑らかに仕上げ、人形の姿勢や仕草に合わせて手足の角度を調整します。
  5. 工程5 胴づくり
    人形の胴には、藁胴や木胴が用いられます。

    藁胴では、藁を人形の大きさに合わせて切りそろえ、台紙を取り付け、足板、脚、腕などを組み付けて胴の形を作ります。

    木胴では、木材に必要な溝を彫り、台紙、足板、脚、腕などを取り付けて形を整えます。

    この工程では、完成後の姿勢や衣装の厚みを考慮しながら、全体のバランスを調整します。
  6. 工程6 衣装づくり・着付け
    人形の種類や役柄に合わせて、絹織物や綿織物などを裁断し、衣装を仕立てます。

    必要に応じて裂地に和紙を袋貼りして裏打ちし、布に適度な張りを持たせます。これにより、襟、袖、裾などの形を整えやすくなります。

    仕立てた衣装を胴に着せ付け、襟の重なりや袖の広がり、裾の位置などを調整します。必要に応じて内部に綿などを入れて肉付けを行い、自然な姿に整えます。
  7. 工程7 小道具づくり
    人形の種類に応じて、扇、冠、笏、刀、弓、兜、家具などの小道具を制作します。

    木、竹、紙、金属、漆などさまざまな材料を用い、人形の大きさに合わせて細部まで仕上げます。

    小道具は単なる装飾ではなく、人物の身分や役柄、季節行事などを表す重要な要素です。
  8. 工程8 組み立て・仕上げ
    完成した頭、髪、手足、胴、衣装、小道具を組み合わせて、人形を完成させます。

    頭の角度、手足の位置、衣装の形、小道具の持たせ方などを細かく調整し、正面だけでなく横や後ろから見たときにも自然な姿になるよう整えます。

    最後に、胡粉の状態、面相、髪型、衣装、小道具、姿勢などを確認し、必要な調整を行って岩槻人形の完成です。

Representative Manufacturers / 代表的な製造元

株式会社 東玉 カブシキガイシャ トウギョク

株式会社 小木 カブシキガイシャ コボク

Facility Information / 関連施設情報

岩槻総本店

  • 住所
  • 電話
    048-756-1111
  • 定休日
    月・火曜日(5/6~9/30)、月曜日(10/1~10/31)、無休(11/1~5/5)※臨時休業日5/8~10
  • 営業時間
    10:00~17:00(5/6~10/31)、10:00~18:00(11/1~5/5)
  • アクセス
    【車】岩槻I.C.から1.5km約5分。専用駐車場あり(東玉総本店1F) 【電車】東武アーバンパークライン岩槻駅(JR大宮駅より12分)
  • HP

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