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江戸押絵 エドオシエ
江戸の昔そのままに
歳の市に粋を添える押絵の技術
Description / 特徴・産地
江戸押絵とは?
江戸押絵(えどおしえ)は江戸後期より、日本橋から浅草近辺で作られてきた工芸品です。現在では墨田区、江東区、葛飾区のほか、埼玉県や神奈川県の一部でも制作されています。
押絵とは、厚紙等の台紙に布を貼ったり、布に綿をくるんだりして厚みを持たせた部品を組み合わせ、立体的な絵に仕立てたもの。中でも江戸押絵は、絹織物や綿織物を使った部品に日本画の技法を用いて上絵や面相を描き、浮世絵の絵柄を表現しているのが特徴です。人物の似顔絵のみならず、風景や動植物などさまざまなものを題材として取り入れていますが、特に歌舞伎役者の押絵を作る際には、着物の作法や色合わせ、髪型等に関する深い知識が不可欠だと言われています。
現在の江戸押絵は羽子板、肖像画、額装のほか屏風や団扇の装飾などにも使われ、その美しさは広く楽しまれています。
History / 歴史
江戸時代は町人文化が栄えた時代で、江戸押絵もそれを反映して発達しましたが、名を馳せたきっかけは、羽子板に押絵が取り入れられたことでした。
それまで、羽子板はおめでたいもの(七福神や松竹梅等)が主な図柄でした。しかし歌舞伎が発展を遂げた元禄時代(1688~1704年)になると役者絵が描かれるようになり、文化・文政時代(1804~30年)には歌舞伎役者の似顔絵を押絵で作った役者羽子板が登場。歌舞伎人気の高まりと押絵技術の進歩が合わさり、役者羽子板は爆発的な売れ行きを記録したのです。
年の瀬には、羽子板の売れ行きで役者の人気が推し量れるほどで、これにより、江戸押絵は広く知られることとなりました。
Production Process / 制作工程
- 1.型紙づくり 下図を描き、のりしろを考慮しながら型紙を切り出します。
- 2.型の切り出し 厚紙に型紙をあて、土台となる型を切り出します。
- 3.綿を包む 切り出した厚紙に綿を載せ、絹織物などで包みます。
- 4.組み上げ 仕上がったそれぞれのパーツを、和紙であて紙をしながら重ねて組み上げます。
- 5.下地塗り、彩色 面相などを描く際には押絵に礬砂(どうさ)などで目留めをし、胡粉(ごふん)などで下地を塗り、顔料で彩色していきます。
- 6.上絵
着物の柄などの上絵は、膠(にかわ)と胡粉、顔料を用い、織物に合わせて調合し筆で描きます。
羽子板、額装など、それぞれ綿の入れ方、組み上げ方が異なります。