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秩父銘仙 チチブメイセン
経糸に先染めした絹糸を用い、ほぐし織によって生まれる柔らかな輪郭と大胆な色柄が特徴。表裏で模様がほぼ同じに見える美しさも魅力で、鮮やかなデザインの着物地として親しまれてきました。2013年(平成25年)、国の伝統的工芸品に指定されました。
Description / 特徴・産地
秩父銘仙とは?
秩父銘仙(ちちぶめいせん)は、埼玉県秩父市、横瀬町、小鹿野町、皆野町、長瀞町を中心に作られている絹織物です。2013年(平成25年)12月26日に、国の伝統的工芸品に指定されました。
秩父銘仙は、先に糸を染めてから織る先染めの平織りを基本としています。なかでも模様銘仙では、経糸を粗く仮織りした状態で型染めを施す「ほぐし捺染」と、仮織りに使った緯糸を取り除きながら本来の緯糸を織り込む「ほぐし織り」という独特の技法が用いられます。
ほぐし捺染では、布になってから模様を染めるのではなく、経糸そのものに文様を染めます。そのため、本織りの際に経糸がわずかにずれることで文様の輪郭に柔らかなかすれが生まれ、秩父銘仙ならではの表情となります。
また、経糸と緯糸に異なる色を組み合わせることで、見る角度や光の当たり方によって色合いが変化して見える「玉虫効果」が生まれることがあります。特に補色関係にある色を組み合わせると、この効果が際立ちます。
原料には、生糸、玉糸、真綿からつむいだ糸などの絹糸が用いられます。かつては着物地として広く親しまれましたが、現在ではストール、バッグ、小物、インテリア用品などにも技術が生かされています。
History / 歴史
秩父地方では古くから養蚕と絹織物の生産が行われてきました。知々夫彦命が養蚕と機織りを伝えたという伝承も残されていますが、現在の秩父銘仙につながる織物産業は、江戸時代に発達した「秩父太織」にその基礎を見ることができます。
秩父太織は、養蚕や製糸の過程で生じた玉繭やくず繭などから取った太い絹糸を使って織られた、厚手で丈夫な平織りの絹織物です。その丈夫さから「鬼秩父」とも呼ばれ、農家の仕事着や庶民の日常着として広まりました。
明治時代になると、秩父の絹織物は品質や意匠の改良が進み、次第に「銘仙」と呼ばれるようになりました。明治30年代に秩父太織が東京の百貨店で紹介された際、「銘撰」として扱われたことが「銘仙」という名称の由来の一つともいわれています。
1908年(明治41年)には、坂本宗太郎が経糸に文様を染める「しごき捺染法」を考案しました。この技術が改良され、後の「ほぐし捺染」へと発展します。仮織りした経糸に型染めを施し、仮の緯糸をほぐしながら本織りすることで、大胆な柄とかすれを生かした独特の表現が可能になりました。
明治後期には木製力織機の導入も進み、生産量が増加します。大正時代から昭和初期にかけては、幾何学模様や植物文様など鮮やかでモダンな意匠の銘仙が女性のおしゃれ着として全国的に流行し、秩父の主要産業の一つとなりました。
その後、洋装化や生活様式の変化によって着物地としての需要は減少しましたが、産地では伝統技術の保存と継承が続けられています。2013年(平成25年)12月26日には、秩父銘仙が国の伝統的工芸品に指定されました。
現在も「ほぐし捺染」「ほぐし織り」などの技術を受け継ぎながら、着物地だけでなく、洋装品や小物など新たな製品づくりにも取り組んでいます。
Production Process / 制作工程
- 1.整経
織物に必要な本数と長さに合わせて経糸をそろえ、一定の張力になるよう整えます。模様銘仙では、この後に仮織りや染色を行うため、経糸の並びや幅を正確に整えることが重要です。 - 2.仮織り
整経した経糸を、粗い間隔で仮の緯糸を入れながら織ります。これは完成品として織るためではなく、経糸の位置を固定し、後のほぐし捺染で文様を正確に染めるための工程です。
仮織りした経糸は、帯状の状態で次の染色工程へ進みます。 - 3.ほぐし捺染
仮織りした経糸の上に型紙を置き、染料を使って文様を染めます。布になってから模様を染めるのではなく、経糸そのものに文様を染めることが、秩父銘仙の大きな特徴です。
型を替えながら複数の色を重ねることで、さまざまな文様を表現します。本織りの際に経糸がわずかにずれることで、輪郭に独特のかすれが生まれます。 - 4.蒸し・水洗い・乾燥
染色した経糸を蒸して染料を定着させます。その後、必要に応じて水洗いを行い、余分な染料や糊などを取り除きます。
処理を終えた経糸は十分に乾燥させ、次の工程に備えます。染料の種類や製品によって、処理方法は異なります。 - 5.巻き返し
乾燥させた経糸を、本織りに適した状態になるよう巻き直します。
染められた文様の位置や経糸の並びを確認しながら、糸が絡んだり張力にむらが出たりしないよう丁寧に整えます。文様を大きく崩さないように扱うことが重要です。 - 6.ほぐし織り
仮織りに使った緯糸を少しずつ抜き取りながら、本来の緯糸を織り込んでいきます。この技法を「ほぐし織り」と呼びます。
経糸に染められた文様を確認しながら織り進めますが、糸がわずかに動くことで文様の輪郭に柔らかなかすれが生まれます。これが秩父銘仙ならではの表情につながります。
また、経糸と緯糸に異なる色を用いることで、見る角度や光の当たり方によって色合いが変化して見える「玉虫効果」が現れることもあります。
Representative Manufacturers / 代表的な製造元
新啓織物 アラケイオリモノ
新啓織物は、1970年(昭和45年)に新井啓一が創業した、埼玉県秩父市の織物工場です。伝統的工芸品である秩父銘仙の企画、デザイン、製織、販売を一貫して手がけています。秩父銘仙を代表する「ほぐし織」は、仮織りした経糸に型染めを施し、一度解いてから緯糸とともに織り上げる技法です。機械化が難しい染色工程を職人が手作業で行い、昔ながらの半木製織機を用いることで、模様の輪郭が柔らかくにじむ独特の表情を生み出しています。着物や反物に加え、ストール、バッグ、ハンカチなど、現代の暮らしに取り入れやすい製品も制作し、希少な技法の継承と新たな可能性の開拓に取り組んでいます。
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住所
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HP
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電話0494-22-3140
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見学不可
碓井捺染 ウスイナッセン
碓井捺染は、埼玉県秩父市で秩父銘仙の染色技術を受け継ぐ工房です。先代から伝わる技を基盤に、1976年(昭和51年)に有限会社碓井捺染を設立しました。秩父銘仙を特徴づける「解し捺染」は、仮織りした経糸に型紙を用いて模様を染め、糸を解いてから本織りする技法で、輪郭がかすんだような柔らかな柄を生み出します。代表の碓井正男は埼玉県伝統工芸士に認定され、歴史ある銘仙柄の復刻にも尽力。伝統的な染色技術を守りながら、絹のストールや手ぬぐい、巾着、インテリア用品など、現代の暮らしに取り入れやすい製品も手がけ、秩父の染織文化を次代へ伝えています。
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住所
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電話0494-22-0393
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見学不可
逸見織物 ヘンミオリモノ
逸見織物は、1927年(昭和2年)に初代・逸見忠重が玉川織物から独立して創業した、埼玉県秩父市の秩父銘仙織元です。創業以来、約100年にわたり秩父銘仙を織り続け、現在は三代目へと技術が受け継がれています。仮織りした経糸に模様を染め、糸を解いてから織り直す「ほぐし織」の技法により、柄の輪郭が柔らかくにじむ、奥行きのある表情を生み出しています。伝統的な着物や反物の制作・販売、仕立てに加え、秩父銘仙の色彩や文様を生かしたバッグや小物なども展開。先人から受け継いだ技を守りながら、現代の生活に取り入れやすい製品を提案し、秩父の絹織物文化を次代へ伝えています。
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住所
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HP
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電話080-2673-3846
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見学不可
Facility Information / 関連施設情報
ちちぶ銘仙館
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住所
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電話0494-21-2112
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定休日年末年始(12月29日~1月3日)
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営業時間9:00~16:00
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アクセス西武秩父駅から徒歩5分御花畑駅から徒歩10分
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HP
Other Woven textiles / 織物一覧
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