雲州そろばん 写真提供:島根県

雲州そろばん ウンシュウソロバン

職人の手によって180の工程を経て完成する逸品
珠をはじいた時の冴えた音は、一流の職人芸の証

Description / 特徴・産地

雲州そろばんとは?

雲州そろばん(うんしゅうそろばん)は、島根県仁多郡仁多町と横田町で作られている算盤(そろばん)です。現在でも手作り製法を維持し、材料の吟味などを含めて丁寧に作られています。
珠の原料は、主に栃木県・群馬県・埼玉県・岩手県から産出される樺(かば)や鹿児島県産の柞(いす)が用いられます。枠には黒檀、縞黒檀や特殊加工をした強化木、桁(けた)には加工竹と煤竹(すすだけ)などが用いられます。
雲州そろばんの特徴は、指に吸いつくような操作性の高さと、品質の高い珠です。指の動きに合わせた珠の素早い動き、弾いたときの冴えた高い音は極めて優れた組み立てからなる職人芸と言えます。珠の形、穴の大きさを全て揃え、珠と軸の間の間隔を均一作り上げる正確な技術から「質の雲州そろばん」とも言われています。
算盤の種類には主に携帯用算盤、学用算盤、問屋算盤があり用途によって長さ、大きさなどは様々です。柔らかく乾いた布で汚れを拭き取るなど、使用するたびに手入れすると長く愛用できます。
算盤は高温多湿を嫌うため、直射日光が当たらない涼しい場所での保管が必要で、水に濡らしてしまった場合は修理が必要になることもあります。水漏れが激しい場合は修理不可能になることもある大変デリケートな用具です。

History / 歴史

雲州そろばん - 歴史 写真提供:島根県

雲州そろばんを初めて作ったのは島根県仁多町の大工、村上吉五郎(むらかみきちごろう)です。1832年(天保3年)に仁多町産の樫(かし)、梅、煤竹(すすたけ)を用いて、広島(芸州)算盤を参考にして大工道具で製作した算盤が始まりです。
雲州地方は日本刀の材料になる玉鋼(たまはがね)の産地で、算盤(そろばん)の各部位に適切な種類の原材料と製造工程に欠かせない良質な刃物があったことで、雲州地域に算盤製作が根付きました。
算盤の製造方法が地域に公開されると製造量が増え、雲州算盤は地場産業へ発展し、第二次世界大戦後には製造工程が機械化され大量生産が進んでいきます。
近年は算盤の役割はコンピューターや電卓等へと移行しましたが、ますます機械化が進む現代社会でも幅広い年齢の方に人気です。
算盤は手や指を使うため脳の中枢神経を刺激し、頭の回転を良くすると言われています。指を動かす事は老化を防ぐことにも役立つと考えられており、現在、算盤は日本の文化として見直されています。

General Production Process / 制作工程

雲州そろばん - 制作工程 写真提供:島根県

  1. 1.<玉>の製造工程 そろばんの玉にふさわしい樹木を選定し、原木を十分に乾燥させてから、そろばんの玉を削っていきます。そろばんの玉に使う材料は、指に吸い付くような木肌と硬さが必要です。主にそろばんの玉にはツゲや黒檀(こくたん)・紫檀(したん)が使われます。
    硬質の木材をカットしていき、最終的にそろばん独特の玉の形へ磨きあげる作業には熟練した技術が必要です。玉の形へと仕上げていくために、まず原木を機械を使って輪切りにします。輪切りされた板から木材を丸形に打ち抜いた後で、一つ一つ玉の形になるように丁寧に削っていくのです。
  2. 2.<軸(けた)>の製造工程 そろばんの軸には、普及品のそろばんには主に真竹(まだけ)を材料として使用し、高級そろばんには、軸に煤竹(すすだけ)を用います。真竹をそろばんの寸法に合わせて切断し、さらに小さく割り、玉がよく動くように繊細に丸く磨いて仕上げをして完成です。
  3. 3.<枠>の製造工程 そろばんの枠には、輸入材の硬質な黒檀や、積層強化材が使われます。材料となる木材を大割りにしてから、寸法にあわせて裁断していき、上下左右などの各部位に合わせた加工が必要です。細かく切断した後で、枠の各部分に合った板に丁寧に加工されていきます。
  4. 4.「中棧(なかさん)」 そろばんの軸が通るように穴をあけてから、両面を削ります。上下面や表裏面など細部にわたって磨き仕上げが必要です。
  5. 5.「上下枠」 上下の枠板に穴を開けてから、上下と左右の枠板にカンナをかけ表面を綺麗に削ります。カンナは、木材を削り、木の表面滑らかに美しく仕上げる道具です。軸、裏棒をはめる穴や、裏板をはめる溝を作っていきます。裏板用の板から材料取りをして裏板を作ったら、次は上枠と下枠の間に入れるハリと呼ばれる板に穴をあける作業です。竹軸を通すための穴を通し、ハリに溝を彫ってセルロイドを埋めていきます。竹軸の準備が終わったら、次は枠の組み合わせをするためにホゾを作る作業です。
    最終の組み立て工程をする前には、仮組みをして、そろばんの各部位の微調整をするかどうかなどを確認しておきます。
    軸に玉入れ作業をしていき、下と右の枠、裏板、裏棒を順次取り付けていきます。上下の枠に裏棒止め・目竹止め・すみ止め用の穴を開け、アルミニウムの針金を刺していき、丈夫な算盤をつくる作業が必要です。
    そろばんを使用する際に手で握る場所であり、そろばんの木目の美しさが現れる枠を丁寧に磨き、針金を切ってヤスリがけを行います。紙やすりなどで丹念に磨きをかけて、実用的で見た目も艶の美しいそろばんに仕上げます。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

雲州マルホ算盤 ウンシュウマルホソロバン

雲州マルホソロバンは、実用性の上に伝統の腕から作り出される、味わいのある工芸的風格を持ち、 腕の良い職人によって、入念に作られています。

Where to Buy & More Information / 関連施設情報

島根県物産観光館

島根県物産観光館 写真提供:島根県