播州そろばん

播州そろばん バンシュウソロバン

「読み、書き、そろばん」の精神が生きる
独特の丸みがあるひし形が美しい、そろばんの一大産地

Description / 特徴・産地

播州そろばんとは?

播州(ばんしゅう)そろばんは、兵庫県の南東部に位置する東播磨の中心に位置する小野市を中心に作られているそろばんです。温暖な気候に恵まれた小野市では、農業の閑散期の手仕事として算盤づくりが行われてきました。
播州そろばんの特徴は、部品ごとに作業工程を分業化していることです。生産量の多さと技術の高さから、兵庫県を代表する伝統工芸品になりました。
現在生産されている播州そろばんの源は、長崎県から伝わった「大津そろばん」と言われています。近江商人で賑わい交通の要でもあった大津は、大阪や京都などの商業が盛んな地域に近く、もともと算盤の生産が盛んでした。
播州そろばんは、学校や商店など身近な場所で使われる算盤を量産するようになり、子どもが使いたくなるカラーや形、使い勝手を追求した算盤や、ユニークな形のおもちゃのような算盤も開発してきました。
近年はコンピューターや電卓の普及で、算盤の需要が減ってきましたが、育児や学校教育に必要なアイテムとしてアプローチを続けています。

History / 歴史

算盤(そろばん)は、室町時代の末期に、中国から長崎経由で滋賀県大津市に伝わりました。大津は商業地の大阪、京都に近いため算盤製造が発達し「大津算盤(おおつそろばん)」が完成します。
1580年(天正8年)に豊臣秀吉が、小野市の隣町である三木市の三木城を攻略すると、一部の住民たちが大津に逃れました。大津で算盤(そろばん)の技法を習得した住民が帰郷後、地元で製造を始めたのが播州(ばんしゅう)そろばんの起源です。
江戸時代にはいると、日本各地で寺子屋が開設され「読み、書き、算盤(そろばん)」の習得が奨励されるようになりました。寺子屋が爆発的な増加をみせ、特に商業が盛んな地域で算盤の人気が高まります。幕末には算盤の問屋が8軒と下請けが200軒以上となっていました。
日清戦争後には、小野市で大川式製珠機が発明されて大量生産が可能になり、第二次世界大戦後の学校教育法が施工された後は、経済発展と共に算盤の需要が伸び続けました。
電卓の普及により需要が減少したものの、現在でも年間50万丁以上を生産しています。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.枠材作り(わくざいづくり) アフリカ・インドネシアより輸入された硬い黒檀(こくたん)の木や、積層教化材で枠を作ります。木を大割りにした後、裁断して、各部位に合わせた板加工が必要です。さらに細かく切断していき、枠の各部分に合わせた板に加工されます。
  2. 2.珠作り(たまづくり) 播州算盤(ばんしゅうそろばん)は分業制をとっており、100を超える工程を多くの職人たちの手を経て一丁の算盤(そろばん)が作られます。
    原木を選定し、十分乾燥させた後に行うのが、珠削りです。
    主に珠に使用する材料は「斧が折れる」とも言われる堅い木材、オノオレカンバです。高級そろばんには柘植(つげ)や黒檀、紫檀(したん)などの材料を使用します。
    原木を輪切りにした後、丸い形に木を打ち抜いていき、珠の形へと削りこんでいく工程です。最近は細長い丸棒を切って珠加工する技術もあります。
  3. 3.軸作り(ひごづくり) 軸(ひご)の材料には、主に真竹(まだけ)を使用します。高級そろばんの軸に使用する材料は煤竹(すすだけ)です。
    竹は寸法に合わせて切断した後、小さく割っていき、丸く加工し磨き仕上げをしていきます。
    播州そろばんの製造は分業制です。算盤を作るための材料である、枠(わく)・珠(たま)・軸(ひご)はそれぞれ別の工場で作られます。
    材料が揃ったら、後工程を担当する職人のところへ運ばれて、いよいよ組み立てです。
  4. 4.枠加工(わくかこう) 枠加工は、枠板に穴を開ける工程です。上下と左右の枠板に鉋(かんな)をかけて表面を綺麗に削ったら、溝と穴をあけていきます。鉋(かんな)とは、木材の表面を削って滑らかに仕上げる道具です。この工程で枠に開けた穴や溝は、軸や裏棒がはまる穴や裏板がはまる溝になっていくのです。
    次に裏板を、裏板用の板から作り、上枠と下枠の間に入る「はり」という板に穴をあけます。竹の軸を通す穴を作り、「はり」に溝を彫り、セルロイドを埋める作業です。
    竹軸(たけひご)を切って軸を用意しておき、「ほぞ」を作って最後に枠の組み合わせられるようにしておきます。実際の組み立て工程に入る前に、試しに行われるのが「仮組み」です。仮組みをすることによって微調整が必要かどうかを確認しておくと、後工程がスムーズに進みます。
  5. 5.軸の差し込みと珠入れ 「はり」に軸を差しこみ、軸に珠を入れていきます。
  6. 6.組み立て 珠が入ったら、下の枠と右の枠・裏板・裏棒を順次取り付けていき組み立てます。
  7. 7.目竹どめ、裏棒どめ、すみどめの穴あけ 上下枠に裏棒どめ、目竹どめ、すみどめ用の穴を開け、アルミニウムの針金を刺して、鋏(はさみ)で切ります。この作業によって裏棒、軸、左右枠がしっかり押さえられて丈夫な算盤になります。
  8. 8.磨き 算盤を使用する時に手でつかむ枠の部分を丹念に磨きあげ、針金を切ったあとに鑢掛け(やすりがけ)をします。紙やすりや椋(むく)の葉で擦り磨きをして、算盤の見栄えにも関わる美しい艶をもたせて播州そろばんの完成です。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

株式会社ダイイチ ダイイチ

Where to Buy & More Information / 関連施設情報

ひょうごふるさと館