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越中福岡の菅笠 エッチュウフクオカノスゲガサ
100年以上変わらない伝統の技
良質な菅草から生み出される縫い笠の文化
Description / 特徴・産地
越中福岡の菅笠とは?
越中福岡の菅笠(えっちゅうふくおかのすげがさ)とは、富山県高岡市、砺波市、小矢部市、南砺市で作られる伝統工芸品です。
北陸の厳しい冬を越す福岡の菅は、全国でもトップクラスの品質を誇り、日本各地に納品されています。
福岡地域で製作する菅笠は多種にわたりますが、いずれもが丸いのが特徴です。
笠の直径は3cm単位で変更可能。要望に合わせたサイズで笠骨を作り、カサスゲという菅草を使って縫い上げます。
角笠、富士笠、大野笠、胴深笠、三度笠、次郎長笠、妻折笠、市女笠など古くからの定番のほか、ヘルメット帽や乙女笠、細骨のマカロン、六角形の六方といった、伝統だけにとらわれない新たな笠も生み出されています。
お土産用の豆笠も根強い人気があり、いずれも基本的に100年以上変わらない伝統の技を守っています。また、従来、染料をはじいていたカサスゲの染色に成功、染めスゲを取り入れた新商品も製作しています。
History / 歴史
富山県高岡市福岡町では昔から菅笠の生産が行われてきました。その起源は、400年ごろまでに起きていた小矢部川の氾濫で泥沼と化した沿岸に、質のよいスゲが自生したことに始まります。
そのスゲで蓑を作ったところ、軽くて質がいいと好評だったため、村の副業として菅笠作りへと発展。その後、本格的に産業化したのは1670年ごろ、加賀前田家5代当主である前田綱紀の保護と奨励を受けたことによります。
幕末になると菅笠作りは最盛期を迎え、元治元年(1864年)には年間210万枚出荷し、全盛を誇りました。
それでも、昭和30年代までは農業用より踊りや民芸品としての需要が増加し、年間100万枚を上回る出荷数でしたが、現在では3万枚程度まで減少しています。
しかし、地元栽培の良質なスゲを活かした高度な生産技術は今なお受け継がれ、現在では日本全国の90%をここで生産しています。
Production Process / 制作工程
- 1.スゲ干し
7月下旬~9月、植え付けから1年ほど成長したスゲを刈り取り天日干しします。
バラ干し:
晴天の日に刈り取ったスゲをばらし、丸一日かけて天日干しします。
扇干し:
スゲを葉先で結束し、扇状に広げ、晴天の日に4~5日ほど天日干しします。
表裏交互にして乾燥させると、初めは緑色だったスゲもだんだんと白くなっていきます。 - 2.笠骨づくり(通年)
竹を割って笠骨をつくります。
材料の竹はニガ竹、カラ竹、モウソウ竹を用います。
竹の性質に合わせ、ニガ竹は曲げやすいので中骨、カラ竹とモウソウ竹は丈夫なので外輪骨に使用します。 - 3.スゲ選り
笠の使う部分によって、スゲを選り分けます。
幅の広いスゲを「親スゲ」(笠の表面に使用)、中幅のスゲを「シカケスゲ」(笠骨の内側にクモの巣状に巻き付けるのに使用)、いちばん細いスゲを「ヨリコ」(笠骨の外輪骨などを結び付けるのに使用)と呼びます。 - 4.仕掛け
竹を割ってヘラ状にしたサシビラという道具を使い、1本のシカケスゲを上下に裂いて2本にします。
仕掛けはハサンケとも呼ばれます。
笠骨に「シカケスゲ」を1本ずつクモの巣状に巻きつけます。 - 5.ノズケ 笠骨の外輪竹と、小骨(竹ひご)の間に親スゲを入れ、糸で止めます。
- 6.スゲコキ コキベラを使って、ノズケをしたスゲの表面をコキベラでこすり、光沢を出しつつ柔らかくします。
- 7.笠縫い
長さ10cmほどの笠針に黄色い糸を通し、一目一目外周から中心部へと渦巻状に縫っていきます。
縫い終わったら、スゲの端を編み込んで結びます(頭止め)。この作業を頭止めといいます。
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