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高岡漆器 タカオカシッキ
凛とした品格を感じさせる洗練された漆器
幅広い味わいを表現する彫刻・錆絵・螺鈿の技法
Description / 特徴・産地
高岡漆器とは?
高岡漆器(たかおかしっき)は、富山県高岡市で作られている漆器です。高岡漆器の特徴は、「青貝塗」「勇助塗」「彫刻塗」の3つの技法に代表される幅広い作風を楽しめることです。
「青貝塗」は、貝がらの光沢がある部分を薄く削った「青貝」という材料を使い、菱形や三角形の細片を作り、細片を組み合わせて花鳥や山水などを表現する技法です。
貝を細工した装飾技法を総称して「螺鈿(らでん)」といい、一般には約0.3mmの厚さの貝が使われますが、高岡漆器では約0.1mmの厚さの貝も使われます。薄い貝を使うと、下地の漆の色が透けて映り貝が青く光って見えます。これは高岡漆器独自の技法です。
「勇助塗」は、江戸時代末期、石井勇助が中国の明時代の漆器に憧れ、研究を重ねて生み出した技法です。唐風の意匠に花鳥・山水・人物などを錆漆(さびうるし)で描き、青貝・箔絵・玉石などを施す、塗りの総合的な技法です。
「彫刻塗」は、木彫に朱・黒などの漆を塗り重ね、雷文や亀甲の地紋の上に、草花・鳥獣・牡丹・孔雀・青海波などを彫り出したもので、立体感と独特な艶が特徴です。
そのほか、プラスチックやガラスなどさまざまな素材を使った変り塗が登場しています。
History / 歴史
高岡漆器の歴史は、江戸時代初期の1609年(慶長14年)、加賀藩初代藩主・前田利長が高岡城を築城し、武具や箪笥、膳などの生活用品を作らせたのが始まりとされています。わずか、5年後に高岡城は廃城となりますが、廃城後、高岡は商工業の町に転換しました。
中国から、朱や黒の漆を何層も重ね塗りし、彫刻をほどこす堆朱(ついしゅ)や堆黒(ついこく)の技法が伝えられ、現在に続く技術が考案されました。彫刻彫、螺鈿、錆絵(さびえ)などの技術がそうです。
江戸時代中期の1764年~1772年(明和年間)に活躍した辻丹甫(つじたんぽ)の技法を元祖として「彫刻塗」が考案されました。辻丹甫の作品は高岡御車山祭で練り歩く高岡御車山(みくるまやま)にも使われています。その後も、19世紀前半に板屋小右衛門らの名工が出て「彫刻塗」が盛んになります。また、江戸時代末期の1850年(嘉永3年)には、石井勇助が中国・明代の漆器を研究し「勇助塗」を創始し、明治時代に盛んになりました。
最近では、さまざまな素材に塗りを施した「変り塗」が、インテリア関係者などに注目されています。
Production Process / 制作工程
- 1.木地工程
高岡漆器には、ケヤキ、トチノキ、カツラなどの木がよく使われます。
十分に乾燥させた木材を削り加工し、作品の木地を作ります。
高岡漆器は、主に以下の4種類の木地で製作されます。
●くり木地:木材をのみで削ったり彫ったりして作成した木地
●挽物木地(ひきものきじ):木材をろくろにかけ削って作成した木地
●曲物木地(まげものきじ):薄くした板を曲げて貼り合わせ輪状にした木地
●指物木地(さしものきじ):複数の板を組み合わせて作成した木地 - 2.下地工程 (1)地付け 木地の傷を補修して表面をなめらかにし、壊れやすい部分に布を貼って補強します。布を貼って補強することを「布着せ」といいます。その後、貼りつけた布目が埋まるように、目止めの粉をムラなく均一に塗ります。
- 3.下地工程 (2)中塗り 目止め処理が行われたところに漆を塗り、漆が乾いたら表面を研いでなめらかにします。ここで下地工程は終了です。
- 4.青貝工程 (1)図面作成
「青貝」の材料には、鮑(あわび)、夜光貝、蝶貝、孔雀貝(くじゃくがい)などの貝がらが使われます。
青貝工程とその効果を考慮して漆器の図案を作成します。この工程は重要で、創造力、優れた観察力や表現力が必要とされます。 - 5.青貝工程 (2)貝裁ち 図案を貝に移して貝を切り抜いていきます。直線的な部分は刃物で裁ち切り、小さなものは彫刻刀やノミで突き切り、鳥や動物など曲線のところは針を使って切り抜きます。特に、針を使って切り抜く「針抜き」作業には熟練の技が必要です。
- 6.青貝工程 (3)青貝付け
図案を木地に写し、青貝を貼りつけるところに接着剤となる漆を薄く塗ります。塗った漆の上に切り抜いた青貝を載せて貼り付けていきます。
- 7.青貝工程 (4)毛彫り
青貝を貼りつけた漆が十分乾いてから、人物の顔や花の芯などの細部を極細の針で描いていきます。ここで青貝工程は終了です。
- 8.上塗工程 (1)小中塗(こなかぬり) 青貝を貼り付けた木地全体に漆を塗ります。漆が乾いてからノミなどで青貝の部分の漆をはぎ取っていきます。
- 9.上塗工程 (2)上塗 全体に上塗りを行います。漆が乾いてから、全体を研磨用の静岡炭で磨き、次に呂色炭(ろいろずみ)で磨きます。最後に、砥の粉(とのこ。砥石を切り出したときに出る粉)をなたね油で練ったものを使って全体を磨き上げます。
- 10.上塗工程 (3)摺漆(すりうるし) 生漆(きうるし)をごく薄くすりこむように塗ります。漆が乾いてから、艶を出すためになたね油に角粉(つのこ、鹿などの角を焼いて粉にした磨き粉)を混ぜたものを使って手で磨きます。生漆を塗り乾いてから磨く作業を3回~4回繰り返すと完成です。
Representative Manufacturers / 代表的な製造元
高岡漆器株式会社 タカオカシッキ
長い歴史を誇る高岡漆器の特徴である螺鈿、彫刻の商品をはじめ 近年は「身に付ける工芸品」として 螺鈿を使った商品開発に力を入れている。
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創業1909年 (明治42年)
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代表國本 樹郎
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住所
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HP
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電話0766-21-0262
天野漆器株式会社 アマノシッキ
明治25年の創業以来培った「高岡漆器」の伝統技術を生かし、現代生活にあった商品づくりに専念しております。
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創業1892年 (明治25年)
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定休日定 休 日 土曜・日曜・祝日・夏季・年末年始 (ご連絡いただければ、時間外・定休日でもお待ちいたしております)
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代表天野 隆久
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営業時間午前9時~午後5時
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住所
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HP
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電話0766-23-2151
武蔵川工房 ムサシガワコウボウ
伝統工芸高岡漆器の青貝加飾の制作を中心に、広く青貝螺鈿加飾の可能性を探り、建築、家具、金属製品への青貝加飾も手掛け、創作に励んでおります。
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創業1910年 (明治43年)
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代表武蔵川 義則
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住所
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HP
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電話0766-26-0792
Facility Information / 関連施設情報
高岡市デザイン・工芸センター
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住所
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電話0766-62-0520
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定休日月曜日・祝日・年末年始
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営業時間9:00~17:00
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アクセスJR「高岡駅」よりバス、タクシーで30分
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HP
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