- 陶磁器
- 兵庫県
出石焼 イズシヤキ
長い年月をかけようやく完成した唯一無二の純白
シンプルが美しい清冽・精緻な白磁
Description / 特徴・産地
出石焼とは?
出石焼(いずしやき)は、兵庫県の豊岡市出石町で作られている磁器です。出石町は、現在は4軒の窯元が製造をしており、伝統を受け継いでいます。
出石焼の特徴は、国内でも珍しい白磁という点です。柿谷陶石という純白の原料を使って少しの濁りもなく完成した磁器は、他に例を見ないほどの圧倒的な白さを誇ります。
伝統の白磁彫刻一本を極める窯元、繊細な絵付けを施した個性豊かな器を作る窯元など窯元それぞれが独自の方針を持ち、多様な出石焼が作られています。絹のようなつややかな白さをもつ出石焼の器は、日常的に使う食器としてもふさわしく、300年余りの伝統がある出石皿そばは、出石焼の器に盛ることで洗練されて今も多くの人々に支持され続けています。
オリジナルの絵付けができる「絵付け体験」を気軽に行える所もあり観光客にも人気です。
History / 歴史
明和の1764年(宝暦14年)に伊豆屋弥左衛門が出石町に土焼窯を開設したことが、出石焼の始まりだと伝えられています。出石町で白焼きをはじめようと思い立った二八屋珍左衛門が、出石藩より援助を受けて有田におもむいて陶器の製造法を学びました。その後、一人の陶工を引き連れて帰ってきましたが、資金面で苦しくなり珍左衛門は丹波に移ることになります。残された陶工は珍左衛門の意志を受け継ぎ、出石町の土焼き職人となったことで、出石磁器が伝承されることとなりました。出石藩が窯の直営に乗り出しても、経営は思いのほか厳しかったとされています。
江戸時代後期になり、ようやく出石の窯業は活気を帯びていき、今の出石焼のルーツを築き上げた、鍋島藩窯の御細工職人を中心としたエリート集団・「盈進社(えんしんしゃ)」が登場します。
大量の白磁の原石が発見されたことも相まって、出石焼は改良を重ねられていきました。その結果、盈進社はこれまでにない白磁を生み出すことに成功し、1904年(明治37年)のセントルイス万国博覧会にて金賞を受賞して、出石焼は世界に多く知れ渡ることになります。
Production Process / 制作工程
- 1.磁土作り 原料は陶石(とうせき)は岩石の総称で、一般に石英が70%、絹雲母(きぬうんも)が30%から成っています。その陶石をすりつぶして練り固めると粘土のように弾力がでてきます。これが磁土とよばれるもので、昔は職人が自ら作っていましたが今は一括して依託しています。
- 2.成形
成形は以下の3段階に分かれます。
成形の前に重要なのが、よく「練る」ことです。磁土の中に入っている空気を抜いていく作業で、約1~2時間かけてじっくり練っていきます。次に成形ですが、ろくろを使用して形を整えていきます。形が整ったら、仕上げに底や表面を平らにするためろくろを使って削っていきます。 - 3.乾燥 20日~1カ月程の期間をかけて、室内で成形した作品を乾燥させます。
- 4.彫り 作品の表面に浮き彫りや透かし彫りを施す場合は、模様をつけていきます。浮き彫りとはノミなどを使って作品を削ることにより、像が浮きあがったように見える製法のことです。また、模様を素材に貼りつける貼花という方法もあります。
- 5.素焼 作品に模様を付けたら、いよいよ焼いていきます。800~900度の火の中に、12~20時間作品をそのまま入れます。焼き上がったら窯から出さずにそのまま2日間かけて冷まし、3日目に窯から出します。
- 6.絵付 絵付けには、下絵付けと上絵付けの2パターンあります。下絵付けは釉薬をかける前に絵や模様を描き、上絵付けは釉薬をかけた後に描くのですが、出石焼は下絵付けです。色絵(いろえ)、呉州(ごず)、金彩(きんだみ)、銀彩(ぎんでい)等でデザインを描いていきます。
- 7.釉薬(ゆうやく)をかける 釉薬は、薬といえども天然素材になり、長石・陶石・石灰石などを原料とします。釉薬には透明釉(つや出し用)と結晶釉(つや消し用)の2種類がありますが、いずれも作品をキズヤ汚れから保護するためのものです。
- 8.本焼 磁器の場合は、1250度~1300度の火でおよそ20時間かけて焼成します。
- 9.窯出し 素焼と同様に、本焼きも焼き上がりから2日かけて作品を冷まし、3日目に窯から引き上げます。出来上がるまでに1カ月以上かかってようやく作品の完成です。
Representative Manufacturers / 代表的な製造元
堀川陶房 ホリカワトウボウ
当窯では大型花瓶から小さな盃に至るまで、すべての段階を1人が丹念な手作業で仕上げています。 出石の焼物は白磁だけではありません。白磁はもちろん、青磁、黄磁、三島、掻落、刷毛目、粉引など陶器、磁器に限らず多種多様な焼物をお楽しみ頂けます。
-
創業1983年 (昭和58年)
-
定休日第三月曜日
-
代表堀川 修
-
営業時間9:00~17:00
-
住所
-
HP
-
電話0796-52-6393
-
見学不可
虹洋陶苑 コウヨウトウエン
-
住所
-
HP
-
電話0796-52-5945
上田陶磁器店 ウエダトウジキテン
明治創業の手作りを主体とした出石焼の窯元です。 透き通る白さと繊細な彫刻、手彫り、手描きの白磁、緻密な紋様が際立ちます。
-
創業1890年 (明治23年)
-
定休日元旦
-
代表上田 実生
-
営業時間9:00~18:30
-
住所
-
HP
-
電話0796-52-2002
Facility Information / 関連施設情報
ひょうごふるさと館
-
住所
-
電話078-252-0686
-
定休日元日
-
営業時間10:00~20:00
-
アクセスJR山陽新幹線「新神戸駅」より神戸市営地下鉄「三宮駅」下車徒歩5分
-
HP
Other Ceramic / 陶磁器一覧
- 伊万里焼・有田焼
- 波佐見焼
- 九谷焼
- 益子焼
- 信楽焼
- 備前焼
- 萩焼
- 小石原焼
- 美濃焼
- 常滑焼
- 砥部焼
- 笠間焼
- 唐津焼
- 薩摩焼
- 伊賀焼
- 三川内焼
- 上野焼
- 大谷焼
- 大堀相馬焼
- 壺屋焼
- 会津本郷焼
- 小代焼
- 越前焼
- 赤津焼
- 丹波立杭焼
- 四日市萬古焼
- 出石焼
- 京焼・清水焼
- 石見焼
- 天草陶磁器
- 瀬戸染付焼
- 三州鬼瓦工芸品