彦根仏壇

彦根仏壇 ヒコネブツダン

惜しみなく施された蒔絵や金箔
豪華絢爛な高級仏壇の代名詞

Description / 特徴・産地

彦根仏壇とは?

彦根仏壇(ひこねぶつだん)は、滋賀県彦根市で作られている仏壇です。高級な素材を惜しげもなく使用した、4尺以上の大型仏壇が多く、高級仏壇の代名詞ともなっています。
彦根仏壇の特徴は、蒔絵(まきえ)や金箔をふんだんに取り入れた豪華絢爛さです。仏壇の前面には、木地の木目を生かした木目出し塗りが施されています。
工部七職(こうぶななしょく)と呼ばれる、7種類の分野の専門技術を身につけた、それぞれ専門の職人(木地師、宮殿師、彫刻師、箔押師、蒔絵師、塗師、錺金具師)が、細かい手仕事の連携によって、一つの仏壇を作り上げていきます。製造期間はおよそ2か月から物によっては約2年です。
1975年(昭和50年)には、その高い品質と高度な技術が認められ、仏壇仏具の業界では初めて、国の伝統工芸品に指定されました。近年では、仏間のない家庭にもマッチするような、小型のユニット式仏間を作るなど、新たな試みにも取り組んでいます。

History / 歴史

彦根仏壇は、350年以上の長い歴史を誇り、その起源は江戸時代の中期頃と言われています。その当時、戦乱の備えとして武具や武器の製造を行っていた職人たちが、江戸の安定が広がる世情の変化に伴い、その技術を活かして仏壇を作り始めたのがきっかけです。
彦根城下と中山道をつなぐ彦根道の、「七曲(ななまがり)」と呼ばれる曲り道が続く地区に職人が多く集まり、仏壇製造の中心地となりました。現在でも、仏壇街として、仏壇の製造、販売に携わる老舗が軒を連ねています。
塗師、指扨師、錺金具師(かざりかなぐし)などが、専門的な技術を持ち寄った分業制で仏壇作りが始まりましたが、「工部七職」といわれる現在の分業システムは、その頃の流れを引き継ぐものとなっています。
彦根藩が仏壇の製造を保護したことや、庶民の家庭でも仏壇設置の文化が普及したことから、彦根仏壇は地場産業として活況を呈し、現在まで長く受け継がれています。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.木地 最初に、木地師が、欅(けやき)や桧(ひのき)、杉、松、栓(せん)などの天然の素材から選び抜いた素材で、仏壇の本体を作ります。釘を一本も使わない、ほぞ組みという組み立て方です。彦根仏壇には設計図はありません。仏壇の高さや奥行、幅その他、すべての値が刻まれた「杖(つえ)」と呼ばれる一本の棒を基準として、形作られていきます。彦根仏壇としては、大きさに基準はなく、「杖」は仏壇を一本作るたびに、注文内容に応じて新しく作られます。
  2. 2.宮殿(くうでん)高欄 宮殿というのは、須弥壇(しゅみだん)上部の屋根の部分、高欄は、須弥壇に置かれる手摺りのような部分です。宮殿師と呼ばれる職人が、小さな木の部品を作成し、それを丁寧に組み立てて作ります。破風(はふ)や虹梁(こうりょう)などの精密な部品は千個を超え、柱や屋根の瓦の一つ一つまで、本物の寺院と同じように、丹念で緻密に組み上げられていきます。
  3. 3.彫刻 彫刻は、彫刻師が仏壇の装飾部となる素材に模様を彫りつける工程です。装飾が取り付けられる場所に応じて、丸彫りや重ね彫りなどの様々な手法や、100種類にも及ぶ彫刻刀を駆使し、花や仏、鳥獣や、雲、天女などを丹念に彫り上げます。特に、仏壇上部の欄間部分は、一枚板を使用した、奥行きや厚みのある装飾が用いられる部分で、繊細で卓越した技術が施されます。素材として使用されるのは、桧、松などです。
  4. 4.錺(かざり)金具 彦根仏壇の装飾には、仏壇一本につき300を超える金具が使われます。この装飾用の金具を作るのが、錺金具師です。平面的な模様を作る「毛彫」や、立体的な模様を掘り起こす「地彫」など、様々な技術を駆使して、実に多彩な錺金具が産み出されます。素材として使用されるのは、銅や真鍮で、金や銀などが用いられることもあります。
  5. 5.漆塗 漆塗は、仏壇の本体や宮殿、彫刻など、全体に天然漆を塗る工程です。木地に漆を塗ることで、仏壇の耐久性も高まります。塗師と呼ばれる職人が行う作業です。漆塗は、下地、中塗り、上塗りなどの多くの工程を経る中で、塗り、研ぎ、磨きを何回も繰り返すことによって、漆独特の深みのある表情が出てきます。特に、木目の美しさを引き立たせる木目出し塗りは、高度な技術を要する手法で、彦根仏壇の特徴です。
  6. 6.蒔絵(まきえ) 漆を塗った障子の腰板や引出、その他の部分に、模様をつける工程です。蒔絵師が、花鳥や山水、人物などの図柄を、色漆で丁寧に描いていきます。模様が描きあがったところへ、金粉や銀粉、色粉を蒔いたり、青貝を貼りつけたりして、より豪華に仕上げます。図柄を立体的にみせるために漆を盛り上げる、泥盛り蒔絵や、出来上がった模様の上から漆を塗り、模様を研ぎだしていく研出し蒔絵などの様々な技法が使われます。
  7. 7.金箔押(きんぱくおし) 豪華さが特徴の彦根仏壇には、仏壇一本に千枚以上の金箔が貼られます。この金箔を貼る作業が金箔押で、金箔押を行う職人が金箔押師です。箔押漆を塗った部品の上に金箔をのせた後、手で押して整えていきます。同じ金箔でも、押し手によって光沢や表情が異なるため、高度な技術が要求されます。
  8. 8.組立 組立は、工部七職の職人たちが作り上げたそれぞれの部品を組み上げて、一本の仏壇に仕上げる最終工程です。設計図がないので、全体像をイメージしてバランスを考えながらの作業となります。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

株式会社 永樂屋 エイラクヤ

「かぎりなく豊かな心」を社是とし、彦根の地で育まれた工部七職の技術を継承。 「お仏壇はご家族の心を継ぐ結び目」と考え、お仏壇のある暮らしの中でお役にたてるようこれからも製造直売に取り組んで参ります。

  • 創業
    1820年 (文政3年)
  • 定休日
    彦根本店、長浜店、水口店 年中無休 (年末年始を除く) 草津店 火曜日   大津店 日曜日
  • 代表
    宮川 孝昭
  • 営業時間
    9:00~18:00(水口店のみ 10:00~21:00)
  • 住所
  • HP
  • 電話
    0120-23-1466
  • 見学

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お仏壇は、一生に一度の買い物。せっかく買うなら日本の職人が手掛けたお仏壇と考え、品質や産地の違いについてわかりやすく説明し、納得して満足のいく仏壇購入をご提案します。

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