名古屋仏壇

名古屋仏壇 ナゴヤブツダン

多様な技術と風土が作り出した高級仏壇
美しき極楽浄土への扉

Description / 特徴・産地

名古屋仏壇とは?

名古屋仏壇(なごやぶつだん)は、愛知県名古屋市周辺で作られている仏壇です。原材料にはヒノキ、ケヤキ、ビャクダンなど、高級な材質の木材を使用しています。
名古屋仏壇の特徴は、台の部分が高く「みつまくり(台の前にある3枚の持ち上げ式扉)」を備えており、宮殿御坊造(くうでんおぼうつくり)という豪華絢爛な構造を持つことです。
その昔は木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)がたびたび氾濫していたため、水害から仏壇を守るために、台は高く作られるようになりました。台の中に仏具をしまうための収納があったり、「組木ほぞ組み」という釘を使わない組み立て式構造なので、分解・組み立てがしやすく、補修や「お洗濯」というお手入れも簡単に行えるという合理性も兼ね備えています。
名古屋仏壇の製造工程には、木地師(きじし)、荘厳師(しょうぐんし)、彫刻師、塗り師、蒔絵師(まきえし)、外金物師、内金物師、箔置き師の「八職」と呼ばれる職人がそれぞれ分業しており、職人全ての技術が揃わないと完成には至りません。これらの技術が造り出す仏壇は、「大きさ」+「木地型」+「宗派」+「造り」+「仕上」で組み合わされることから、数えきれないほど多種多様な型が存在しています。

History / 歴史

良質な資源を輩出する木曽地域に近い名古屋周辺は、かつて木材の集散地であり、仏壇製作に使用する材料を容易に調達できました。また、彫刻や漆塗りなどの仏壇に欠かせない高度な技術を持つ職人たち(神社仏閣の建築に携わる宮大工や寺大工)が多く存在していたことや檀家制度の確立が、名古屋仏壇を大きく発展させる礎であると言われています。
1695年(元禄8年)、高木仁右衛門が「ひろや」という仏壇専門店を創業したことから名古屋仏壇は始まります。その後、尾張藩が仏壇業者たちを保護し、「株仲間」が組織されると、その技術は確固たるものと成長していき、住吉町(現・名古屋市中区栄三丁目)、七間町(現・名古屋市中区丸の内三丁目、錦三丁目)周辺を中心に仏壇製作は盛んになりました。
幕末には下級武士の内職として広まるなど、様々な時代の変化とともに技術は育まれていきます。
1976年(昭和51年)に、名古屋仏壇は国の伝統的工芸品として経済産業省から指定されました。現在では名古屋市中区門前町、橘町周辺を中心として二百数十以上の仏壇・仏具専門業者が存在し、業界では日本一の密集地と言われています。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.木地造り 木地は製材された後、長年使い続けられてもズレが生じないようにするために十分に乾燥させます。
    その後、尺杖(目盛りの記された木材)を用いて用途に必要な長さに切断する木取りを行い、仏壇内外の部品を作ります。これをおおまかに仮組みしてみて、各部品の状態を見ながら調整していき、釘を使わず木と木を組み合わせて留める「ほぞ組み」をしていきます。名古屋仏壇特有の「みつまくり」・「直線長押(なげし)」などの型も「ほぞ組み」であり、この木地造りの段階で作られるのです。
  2. 2.宮殿(くうでん)造り 宮殿(くうでん)の屋根や須弥段などの装飾小物を作り、仮組みしていきます。宮殿は宗派や寸法によって細分化しており、その後の塗りや蒔絵の工程もそれぞれ違ってくるので、ほんの少しのズレでも影響を及ぼしかねません。
    名古屋では、浄土真宗大谷派の宮殿御坊様造り(くうでんおぼづくり)の仏壇が半数以上を占めているようです。
  3. 3.彫刻 名古屋仏壇の顔の一つでもある彫刻では、主に削りやすい松を使用しますが、他にも黒壇など様々な木材が用いられます。名古屋のシンボルである「鯱」が施されていたり、真宗大谷派では天女が多いといった、嗜好や宗派に合わせてそれぞれ彫刻もデザインされます。名古屋仏壇に多種多様な型が存在するのは、このようにニーズに合わせてデザインを変えていくことにもあると言えるでしょう。
  4. 4.塗り 木地に残る傷や割れを補修し、砥粉(とのこ)と胡粉(ごふん)を下地として塗ります。次に、砥粉と漆を混ぜた「堅地(かたぢ)」をヘラ付けし、乾燥したら砥石で研ぎます。漆塗装しやすくするため、下地の工程はその後も「下塗り」→「中塗り」→「中研ぎ」→「上塗り」と繰り返されます。
    下地が乾燥したら漆を塗り上げていきます。部位によって塗り方も「木目出し塗り」「呂色(ろいろ)塗り」、「箔蒔塗り」と様々です。呂色塗りには「呂色師」と呼ばれる専門の職人も存在します。
  5. 5.錺金具(かざりかなぐ)造り 錺金具(かざりかなぐ)は「銅」、「真鍮」といった板金を用いて作られます。名古屋仏壇の外側を飾る「表金具」と内側を飾る「内金具」に分けられ、それぞれ専門の職人が存在します。「たがね」と呼ばれるノミと金槌で、美しい幾何学模様や動植物を描いていきます。
  6. 6.蒔絵(まきえ) 塗りを施し乾燥させた木地に漆で絵柄を描き、金粉や銀粉を用いて蒔絵を施していきます。蒔絵には、絵柄の部分だけ摺り漆をして研磨した「平蒔絵(ひらまきえ)」、金粉を蒔き上げた「金蒔絵(きんまきえ)」、錆漆(さびうるし)で絵柄を高く盛り上げた「錆蒔絵(さびまきえ)」、立体的な蒔絵である「立蒔絵(たてまきえ)」があります。現在では、シルクスクリーン印刷やシールの蒔絵が使用される場合もあります。
  7. 7.箔押(はくおし) 塗りを施し乾燥させた木地に、接着剤として均一に箔押漆(はくおしうるし)を擦り込んだ後、綿で拭き上げて竹箸で金箔を丁寧に置いていきます。拭き上げる際、漆をどの程度残すかによって金箔の色艶は変えることができ、名古屋仏壇では「艶消し置(つやけしおき)」と言われる艶消し仕上げが用いられます。
    金箔を置き終えたら、綿で金箔を延ばし、はみ出した部分は油で拭き取っていきます。
  8. 8.組立 様々な職人たちによって作られた部品を組み立てていく作業にも「仕組師(しくみし)」と呼ばれる専門の職人の力があってこそです。錺金具を最初に取り付け、宮殿、蒔絵を組み込んでいき、最後に本体を仕組みます。各部位を磨き上げて入念な最終チェックを終えると完成です。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

株式会社 大黒屋仏壇店 ダイコクヤブツダンテン

伝統工芸品 名古屋仏壇の職人であった創始者から続く「仏壇は安らぎの所」との考えを守り、より豊かな心の安らぎを多くのお客様へお届けできるよう努めて参ります。 老舗としての誇りとこだわりで、名古屋を中心に5店舗を展開。作り手の"想い"がこもった確かな品を、充実の品揃えとお求めやすい価格でご提供いたします。

株式会社 菱田屋 ヒシダヤ

伝統的工芸品 名古屋仏壇」製造店である菱田屋には、永い歴史の中で培われた深い知識と、 優秀な技術の蓄積があります。また、「菱田屋5つの誓い」を掲げ、日々仏壇作りに取り組んでおります。

株式会社若山仏壇店 ワカヤマブツダンテン

高品質の仏壇、仏具を、創業80年の信頼と実績を活かして、ご提供させていただきます。仏壇の展示数は、500本以上です。