岡崎石工品

岡崎石工品 オカザキセッコウヒン

子弟相伝により石の魅力を最大限引き出す
400年の年月をかけて熟成された伝統技術

Description / 特徴・産地

岡崎石工品とは?

岡崎石工品(おかざきせっこうひん)は、愛知県岡崎市周辺で作られている石工品・貴石細工です。室町時代後期に誕生し、安土桃山時代に原型が作られた伝統工芸品で、良質な岡崎花崗岩が手に入りやすかったことで発展していきました。茨城県の真壁、香川県の庵治、そして愛知県の岡崎が日本三大石材産地と呼ばれています。
それぞれの地域で個性は異なり、真壁地方では良質な花崗岩(かこうがん)を潤沢に採取できるため、圧倒的な石の種類と産出量があります。かたや庵治地方の石材は、他の産地にはない斑の模様を持っていることから世界でも有数の高級品とされています。
岡崎石工品の特徴は、長い歴史をもつことと、岡崎御影(みかげ)など石目に特徴がある石材が多いことです。また、岡崎は石都(せきと)と呼ばれるまでに石材技術が発展していき、1979年には伝統的工芸品に指定されました。

History / 歴史

安土桃山時代に岡崎城主の田中吉政が、城下町の石垣や堀などの建設に優秀な石工職人がいた河内や和泉から呼び寄せました。そして、彼らが移り住んだことで、岡崎独自の技術が磨かれていき現在につながる岡崎石工品が確立します。
岡崎地方では、質の高い花崗岩が近隣の山から手軽に採取できたことで石の文化が広がっていき、当初は、数十軒しかなかった石屋が、戦後の最盛期には350軒まで拡大する岡崎の主要な地場産業となりました。石燈籠を運ぶ輸送手段として矢作川(やはぎがわ)を利用できたことも産業が発展した理由の一つです。
最盛期を迎えた戦後の高度成長期には、効率的な作業を行うために機械化が急激に進み、石工品も従来の手作業から効率が上がっていきます。また、自動車産業が発展したことで石工品の販路も広がったため、石工団地が作られました。
現代も、職業訓練校が設立され岡崎石工品の伝統技術を継承されています。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.玉 岡崎石工品には、6つの部位が定められています。玉・笠・火袋・受・柱・地輪とあり、それぞれを彫っていった後に組み立てるという作業です。基本型がこの6つによって構成されますが、変化型というものもあります。ここで解説するのは玉・笠・火袋・受・柱で構成される生け込み型の織部型燈籠製作工程です。
    まず玉を作るには、下場造りから始まり、荒石の中心を出していく芯出し、玉の直径を墨出ししていく矩(かね)出し、荒取りと工程を経ていきます。そして、荒造りで墨出しをした荒石にこやすけで加工をし、びしゃんやたたきなどの道具を使って仕上げを行います。
  2. 2.笠(1) この工程では、天場造り、下場造りを行います。芯出しで荒石の中心を出したら、矩出しで、削っていき下場に四角形を墨出しします。玉と同じく荒出し、墨出し、荒造りを行います。
  3. 3.笠(2) 荒造りの後は、笠にびしゃんやたたきを用いて仕上げを加えます。
  4. 4.火袋(1) 火袋の工程でも、天場造り、下場造りを行い、荒石を機械を使って所定の寸法に切断します。
  5. 5.火袋(2) さらに芯出し、矩出し、荒取りの工程をほどこしたら、荒造りで4面体を作ります。穴掘りの工程を行い、墨出ししていきます。
  6. 6.火袋(3) 最後は、びしゃん、こべら、たたきを駆使して仕上げていきます。
  7. 7.受 受を作る際にも、これまでの部位と同様の工程を行います。
  8. 8.柱(1) 柱では、荒取りまで同様の作業を行った後、荒石に他とは違う道具のせっとうとのみを使って荒造りを施します。
  9. 9.柱(2) 柱の上の部分に、こべらを使って、彫刻をほどこし、下の部分には、仏像の模様を彫っていきます。そして、びしゃんで仕上げます。
  10. 10.完成 全ての部位を組み立てたら作業完了です。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

石嶽石工業有限会社 イシタケイシコウギョウ

石の仕入れから、切削・製造・加工・販売・施工まで、全ての作業をしております。一つ一つ丁寧に拘りを持ち、お客様の思いを忘れず100%+α以上の完成度を求めて製品を作りあげています。

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