名古屋黒紋付染

名古屋黒紋付染 ナゴヤクロモンツキゾメ

漆黒に染め上げられたつややかさ
洗練された上質な黒色の色彩美

Description / 特徴・産地

名古屋黒紋付染とは?

名古屋黒紋付染(なごやくろもんつきぞめ)は、愛知県名古屋市周辺で作られている染織品です。婚礼や葬儀の際に着用されている衣類で、名古屋では江戸時代の頃から藩士から一般市民の間で親しまれてきました。
名古屋黒紋付染の特徴は、家紋の型を使って染める「浸染(ひたしぞめ)」、または家紋をあとから手描きする「引染(ひきぞめ)」の2つの方法で作られる、鮮明な黒色です。
「浸染」では名古屋特有の「紋当網付(もんあてあみつけ)技法」で、高温の染料に生地を浸けて染色を行います。「引染」では家紋を入れる部分に防染糊を施して、生地が染まっていない箇所にあとから紋を手描きします。

History / 歴史

名古屋黒紋付染の歴史は、1611年(慶長16年)まで遡ります。当時、尾張藩の呉服などを製造していた尾張藩紺屋頭の小坂井新左衛門は、染色技術を黒紋付染へと確立していきました。
もともとは「紋糊伏せ(もんのりふせ)」と呼ばれる技法を用いていましたが、1830年~1843年(天保元年~天保14年)には現在の金網を使った家紋の染め抜きに通じる技法が生まれ、明治時代に入ってからはほぼ現在の製作技術になりました。
1818年~1829年(文政元年~文政12年)には現在黒紋付染に従事している製造元の職人たちの祖先1,260名余りが存在していたことを、1848年(弘化5年)に著された「尾張・濃州紺屋惣帳」で確認できます。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.つもり 黒色に染め上げた際に色むらなく綺麗に染め上げるために、白生地のアクを抜いておきます。アクが抜けた生地に袖や襟などの身頃を墨付けし、紋章の位置を決定します。
  2. 2.紋型はりつけ 紋章を入れる部分に、家紋をかたどった厚紙を生地の両面に貼り合わせます。
  3. 3.紋当網付け(もんあてあみつけ) 型紙が外れたりずれたりするのを防ぐため、家紋に型紙を貼り合わせた部分の上から、直径5センチほどの真鍮(しんちゅう)の金網「紋当金網(もんあてかなあみ)」をあて、糸で締め付けます。
  4. 4.下染め 型紙に染料が染みこまないようにするため、生地を水に浸します。その後、下染めの工程に入り、「紅下(べにした)」または「藍下(あいした)」の2種類の染料から選びます。紅下は女物や関西風好みのものとされ、藍下は男物や関東風とされており、染め上がりの風合いが若干違います。染料を決めたら染色浴槽と呼ばれる容器に、80度~90度の熱湯で溶かした染料を用意して生地を浸けこみます。色むらにならないように時々生地をゆすりながら10~15分間染め上げます。
  5. 5.本黒染 本黒染に用いる技法は、「黒浸染」あるいは「黒引染」の2種類です。黒浸染では90~95度の染色浴槽に必要に応じた黒色染料を入れて、下染めした生地を浸けこみ、色むらのできないよう時々ゆすりながら30~40分間染め上げます。その後は生地を一晩浸け込み、紋当金網と型紙を生地から取り外します。生地を丁寧に洗い、余分な染料を落としてから自然乾燥させます。
  6. 6.紋上絵(もんうわえ) 型紙と紋当金網によって白く染め抜かれた紋場(もんば)に、にかわ(動物性の有機タンパク質)の少ない上質な墨を使い、極細の筆と分度器、定規を使って職人の熟練した技により手描きで家紋を入れます。この家紋はクリーニングに出して洗ったとしても落ちることはなく、汚れても丁寧に洗うことによって綺麗な状態によみがえります。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

山勝染工株式会社 ヤマカツセンコウ

着物文化を絶やすことなく、すべての日本人の心に、未来に残すことこそ自分の使命だと信じております。「名古屋黒紋付染め」を通じ、着物文化の素晴らしさを1人でも多くの方へと伝えて参ります。