川連漆器

川連漆器 カワツラシッキ

堅牢な木地に漆を幾重にも塗り重ねて生まれる、丈夫さと落ち着いた光沢が特徴。日常の器として使いやすく、蒔絵や沈金などの加飾も施され、実用性と品格ある美しさを兼ね備えています。1976年(昭和51年)、国の伝統的工芸品に指定されました。

Description / 特徴・産地

川連漆器とは?

川連漆器(かわつらしっき)は、秋田県湯沢市川連町を中心に作られている漆器です。椀、鉢、皿、盆、重箱など、日常生活で使われる器を中心に作られてきました。1976年(昭和51年)12月15日に、国の伝統的工芸品に指定されました。

川連漆器の大きな特徴は、丈夫な木地づくりと、厚みのある漆塗りです。椀などの丸物には主にブナやトチなどの広葉樹が用いられ、荒挽きした木地を燻煙乾燥させることで、木材の狂いや歪みを抑えながら乾燥させます。

塗りの工程では、木地に漆を塗って下地を整え、中塗りを重ねた後、仕上げに「花塗り」と呼ばれる技法を用います。花塗りは、上塗りした漆を研いだり磨いたりせず、そのまま平滑に仕上げる技法です。漆の流れや刷毛の動きを見極めながら塗ることで、ふっくらとした質感と自然な光沢が生まれます。

製品によっては、漆器の表面に文様を彫り、漆を摺り込んで金箔や金粉を施す「沈金」や、漆で文様を描いて金粉などを蒔く「蒔絵」による装飾も行われます。

現在では伝統的な椀や重箱、盆などに加え、皿、カップ、小物、インテリア用品など幅広い製品が作られており、日常の中で使いやすい漆器として技術が受け継がれています。

History / 歴史

川連漆器 - 歴史

川連漆器の歴史は、約800年前の鎌倉時代にさかのぼると伝えられています。1193年(建久4年)頃、源頼朝の家人で稲庭城主となった小野寺重道の弟・道矩が、現在の湯沢市川連町大舘地区に館を築き、家臣に刀の鞘や弓、鎧などの武具へ漆を塗らせたことが始まりとされています。

当初は武具への漆塗りを中心としていましたが、その技術は次第に生活用品へと広がっていきました。17世紀頃になると、川連村を中心に椀を作る職人が増え、本格的な漆器産業として発展していきました。当時、約26戸が椀師を生業としていたという記録も残されています。

江戸時代中期から後期にかけては、藩の許可を得て販路が他国にも広がり、椀だけでなく膳や重箱など、さまざまな日用品が作られるようになりました。また、沈金や蒔絵などの装飾技法も取り入れられ、実用的な漆器に加えて装飾性の高い製品も作られるようになりました。

明治時代になると産地としての組織化が進み、1896年(明治29年)には川連村漆器同業組合が設立されました。その後、水車式や足踏み式のろくろ、さらに電動ろくろの導入などによって生産技術も変化し、漆器産地として発展を続けました。

第二次世界大戦後は、家庭用の汁椀や旅館向けの膳・椀などの需要が高まり、川連漆器は日常使いの漆器として各地へ出荷されるようになりました。1976年(昭和51年)12月15日には、国の伝統的工芸品に指定されました。

現在も湯沢市川連町では、燻煙乾燥や花塗り、沈金、蒔絵などの伝統的な技術が受け継がれながら、現代の生活に合わせたさまざまな漆器が作られています。

Production Process / 制作工程

川連漆器 - 制作工程

  1. 1.原木 椀などの丸物には、ブナ、トチノキが、また、重箱などの角物、丸盆のような曲物にはホオノキ、スギ、ヒバなどの木材が使われます。
  2. 2.木取り 原木を輪切りにします。その後、節や傷みなどを避けながら、作る製品に合わせた大きさに木材を切り出します。
  3. 3.荒挽(あらびき) 木取りしたブロック状の木材を器の形に削る工程です。木材をろくろに取り付けて、内側はくり抜き外側はおおまかに挽いていきます。
    その後、荒挽きした木地を煮沸し、木材に含まれる木渋などを取り除きます。
  4. 4.乾燥 さらに木のゆがみを防ぐために、1か月以上煙の循環する中に置き、燻煙乾燥させ十分に乾燥させます。
  5. 5.仕上挽き(しあげびき) 木地の最終工程です。乾燥し寸法が安定した木地を再度ろくろに取り付けて、鉋(かんな)を移動させて表面を挽きあげ、なめらかで美しい状態に仕上げます。さらに椀の底部分を削り、椀の形が完成します。
  6. 6.地炭つけ、柿とぎ ここから、川連漆器の特徴でもある下地の工程です。柿渋と炭粉を混ぜたものを、藁でできた刷毛でしごくように塗りつけてゆき、乾燥したらそれを研ぎます。次に柿渋を塗り、同じように乾燥後に研ぎます。
  7. 7.地塗り 駒毛と呼ばれる馬の尻尾から作られた刷毛で、擦り込むように生漆を塗りつけてゆきます。柿研ぎとこの地塗りを5~6回繰り返すことで、水分が木地に浸透するのを防ぎ、ゆがみのない堅牢な漆器へと仕上げることができます。下地の最終工程です。
  8. 8.中塗り・上塗り・花塗り 塗りの工程に入ります。下塗りをしたのち、徐々に仕上げの色に近づくよう漆の色合いを調整しながら、中塗り、上塗りへと進めます。塗っては研ぐという工程を6~7回くり返しますが、そのつど漆をしっかりと乾燥させてから塗り重ねてゆく必要があります。気温や湿度などによって繊細に変化する漆の性質を正確にとらえることが要求される工程です。
    仕上げは、「塗り立て」または「花塗り」とよばれる技法を取り入れています。漆を塗ったあと、研がずにそのまま乾燥させる技法です。塗りムラや刷毛の目が出ないように塗ってゆく高度な技術が必要であり、また、埃をつけることができないため、細心の注意が必要となる作業です。
    その後、用途によって、漆器をより華やかに仕上げるための「沈金」や「蒔絵」で加飾が施されます。
    川連漆器は、工程ごとの分業で成っており、何人もの職人の手によって完成する漆器です。また、工程数が多いため、完成までに多くの工程を経て完成します。

Representative Manufacturers / 代表的な製造元

くつさ工芸 クツサコウゲイ

Facility Information / 関連施設情報

湯沢市川連漆器伝統工芸館

湯沢市川連漆器伝統工芸館

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