京漆器

京漆器 キョウシッキ

優美で繊細、かつ堅牢な工芸品
室町時代より受け継がれてきた伝統

Description / 特徴・産地

京漆器とは?

京漆器(きょうしっき)は、京都周辺で作られている漆器です。また、茶の湯の文化と合わせて発展してきた経緯から、わび・さびといった内面的な美しさを持っています。
京漆器の特徴は、他の漆器と比べて木地が薄く繊細な雰囲気を感じることです。その薄さにより、独特の繊細さがより強調されていると言って良いでしょう。
京漆器で作られている伝統工芸品は、箸やお重といった食器類ばかりではありません。なつめ・炉縁・茶棚などの茶道具、進物盆・祝膳・文庫などの祝儀調度品、箪笥・飾り棚・花器などの家具や調度品も作られています。
美しさだけでなく、丈夫さの面でも優れており、下地の工程で米糊などを使いません。下地で漆の割合が多いため、耐久性の高い堅牢な漆器ができあがるのです。ただし、漆の割合が多い分コストがかかり、漆の硬化管理でも手間がかかるという側面も持ち合わせています。

History / 歴史

京漆器は794年(延暦13年)以降に確立され、栄え始めたのは室町時代と言われています。茶の湯の文化とともに京漆器が広まりました。
京漆器の装飾の1つである蒔絵(まきえ)が生まれたのは、奈良時代です。この技法が平安時代に受け継がれ、やがて平蒔絵や高蒔絵、研出し蒔絵などの技法が生まれていきました。寺院や貴族が蒔絵師を抱えるようになったのは、鎌倉時代からです。蒔絵のデザインにも、時代ごとの特徴が反映されるようになりました。
安土桃山時代の京漆器は、優美でありながらも武士の好みも反映した華麗なデザイン。江戸時代になると、華やかさの中にも緻密で味わい深いデザインとなりました。特に本阿弥光悦のデザインは斬新で、尾形光琳にも影響を与えたのです。尾形光琳の確立した技法は、琳派として現代にまで受け継がれています。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.木地(きじ)づくり 木地とは、京漆器のベースとなる部分です。椀物なら椀物木地(または挽物(ひきもの)木地)、箱なら板物木地、曲げわっぱのような曲線の形を作るなら湯曲げ木地を作ります。木地の材料となる木材は、ヒノキ、スギ、ケヤキ、トチ、キリなどが使われます。
  2. 2.漆塗りの下地 下地を施す目的は、強化と仕上げの美しさです。6つの工程でしっかり下地を施すことで、痩せを防ぎます。
    まずは木地の継ぎ目を補強するために、溝を掘って刻苧液(漆、米糊、木地粉、綿を混ぜたもの)を埋める「刻苧(こくそ)」を行います。次に素地の強化と、木地が水分を吸収するのを防ぐために、生漆(きうるし)を直接素地の表面に塗る「木地固め(きじかため)」を行い漆器の強度高めます。「布着せ(ぬのきせ)」では生漆が乾いて木地が固まったら、文字通り木地に麻布を着せます。糊漆を使って麻布を貼り付けることで、痩せなどを防ぎ、素地を強化することが目的です。「布着せ(ぬのきせ)」が終わると次は「地付け(じつけ)」の作業に移ります。「地付け」は、砥の粉(とのこ)、地の粉、漆、水を練り合わせたものを、ヘラでつけていく作業です。地付けを行うことで、布着せで着せた布の凸凹や質感を抑え、素地をさらに強化します。漆器の型が整ったら「くくり錆(くくりさび)」を行います。砥の粉、漆、水を混ぜたものを錆と呼び、錆を付けて乾燥させます。最後に「錆付け(さびつけ)」の工程に移り、くくり錆を複数回繰り返し、下地は終わりです。
  3. 3.漆塗りの下地研ぎ(したじとぎ)、中研ぎ(なかとぎ) 下地の工程が終わった表面は、ざらざらしています。水と砥石を使ってツルツルに仕上げる工程が、下地研ぎです。続いて、仕上げ錆固めといって、生漆を擦り込み作業を行います。1日以上乾燥させたら、同色の漆で「下塗り・中塗り」をした後、炭を使ってツルツルに仕上げる「中研ぎ」を行い、本工程は完了です。なお、漆は乾燥するまでに時間がかかるため、薄く塗ることで、漆が垂れてくるのを防ぎます。
  4. 4.上塗り(うわぬり) 上塗りで使う漆は、濾し紙(こしがみ)を使ってゴミを取り除いたものを使います。なお、京漆器で使う濾し紙(こしがみ)は吉野紙です。上塗で黒漆を塗る場合は真塗り、色がついた漆を使う場合は「色漆塗り」、木目の美しさを作品に生かす場合は「透漆塗り」など、様々な技法を使い分けます。
  5. 5.節上げ 表面に付着したほこりを除去する工程です。ほこりを除去する際には、鳥の羽軸の先を使い、丁寧に取り除いていきます。完全に乾いてしまってからでは取れないため、刷毛目が落ち着いた頃合いで行う工程です。
  6. 6.蝋色仕上げ(ろいろしあげ) 漆器特有の、つややかな表面を作る工程です。炭で表面を研ぎ、油砥の粉で磨きあげ、漆を綿で擦り込むという3つの作業を繰り返し、最後になたね油と角粉(つのこ)を使って、手で丁寧に磨き上げます。
  7. 7.加飾(かしょく) 加飾とは、漆器に装飾を加える工程です。大きく分けて、「蒔絵(まきえ)」、「螺鈿(らでん)」、「青貝(あおがい)」の3つの技法があります。「蒔絵」とは、漆で絵を描いた後に金粉や銀粉で仕上げていく手法で、「平蒔絵(ひらまきえ)」、「高蒔絵(たかまきえ)」、「研出し蒔絵(とぎだしまきえ)」の3種類に細分化されます。「螺鈿」は、夜光貝などの美しい光沢をもつ貝を漆の表面に付着させ、デザインする技法です。青貝の技法も「螺鈿」と同じですが、薄貝を使うという点が異なります。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

株式会社表完工房 ヒョウカンコウボウ

伝統工芸品・京漆器・茶道具の製造および販売を行っています。塗師 川瀬表完による京漆器と茶道具の数々をご覧ください。

株式会社象彦 ゾウヒコ

創業以来、京都で培ってきた美意識を生かした蒔絵の逸品や、暮らしにに寄り添う漆器を販売しています。

漆器のアソベ シッキノアソベ

京漆器は千二百年余りの歴史を持つ日本の食器。しつらいと作法で磨かれた日本独自の文化にはかかせない品。 日本の心をもう一度思い出し、胸を張って世界へ伝えてゆくことが「アソベ」の使命だと考えます。

Where to Buy & More Information / 関連施設情報

京都伝統産業ふれあい館(京都市勧業館-「みやこめっせ」地下1階)

京都伝統産業ふれあい館(京都市勧業館-「みやこめっせ」地下1階)

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