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若狭塗 ワカサヌリ
卵殻や貝殻、松葉などを用いて海底を思わせる文様を描き、漆を幾重にも塗り重ねて研ぎ出すことで生まれる、重厚で華やかな表情が特徴。水や熱にも強く、若狭塗箸など日用品にも広く受け継がれています。1978年(昭和53年)、国の伝統的工芸品に指定されました。
Description / 特徴・産地
若狭塗とは?
若狭塗(わかさぬり)は、福井県小浜市を中心に作られている漆器です。1978年(昭和53年)2月6日に、国の伝統的工芸品に指定されました。
若狭塗の大きな特徴は、卵殻や貝殻、松葉、ヒノキ葉、菜種、籾殻などを使って模様を付け、その上から色漆などを塗り重ね、研ぎ出すことで複雑な文様を表すことです。
模様付けには、卵殻を用いる「卵殻模様」、貝殻を用いる「貝殻模様」、松葉やヒノキ葉、菜種、籾殻などで文様を作る「起こし模様」などがあります。さらに色漆を重ねる「合塗り」を行い、作品によっては金箔なども用いて奥行きのある色彩を作ります。
その後、漆を塗り重ね、砥石による荒研ぎ・中研ぎ・仕上げ研ぎを行って、塗膜の中に隠れていた模様を徐々に表します。さらに炭研ぎ、胴摺り、仕上げ磨きを重ねることで、滑らかで深い艶を生み出します。
木地には、トチ、ミズメザクラ、ケヤキ、ヒノキ、ホオ、カツラなどが用いられます。箸にはサクラ、シタン、モウソウチクなどが用いられ、器物と箸では下地づくりにも異なる技法があります。
若狭塗では、木地づくりを除く多くの工程を一人の塗師が手がける伝統があり、模様付けから塗り、研ぎ、磨きまでを一貫して行います。そのため、受け継がれた技法を基本としながらも、職人ごとに異なる模様や表情が生まれます。
現在では、盆、箱、茶器、酒器などの器物に加え、若狭塗の技法を生かした箸も小浜を代表する工芸品として広く作られています。
History / 歴史
若狭塗の起源については諸説ありますが、江戸時代初期に小浜の塗師・松浦三十郎が、中国から伝わった漆器の技法や意匠を参考に、海底の景色を表現した漆塗りを考案したことに始まると伝えられています。
小浜市に伝わる説明では、小浜の豪商が国外から入手した色漆塗の盆を松浦三十郎が模して制作したことが起源の一つとされ、初期の技法は「菊塵塗」と呼ばれたと伝えられています。
その後、技法に改良が加えられ、「磯草塗」などが考案されました。17世紀中頃には、卵殻や貝殻、金銀箔などを用い、漆を塗り重ねて研ぎ出す、現在につながる若狭塗の技法が整えられたとされています。
小浜藩はこの漆器を「若狭塗」と名付け、藩の産業として保護・奨励しました。職人たちはさまざまな塗りや文様を考案し、「菊水汐干」など多彩な意匠が生まれました。
江戸時代中期から後期には若狭塗の生産が盛んになり、器物や調度品などが作られました。幕末の1860年には、皇女和宮の降嫁に際して若狭塗の箪笥が献上されたと伝えられています。
明治時代以降も小浜の特産品として制作が続けられましたが、生活様式の変化などによって、伝統的な器物を制作する職人は減少しました。一方で、近代以降は塗箸の生産が大きく発展し、小浜を代表する産業の一つとなりました。
1978年(昭和53年)2月6日には、「若狭塗」が国の伝統的工芸品に指定されました。
現在も小浜市では、卵殻や貝殻などによる模様付け、漆の塗り重ね、研ぎ出し、磨きといった伝統技法が受け継がれています。
Production Process / 制作工程
- 1.布貼り(ぬのはり)
若狭塗の工程は60以上に及びますが、大きくいくつかに分けることが可能です。最初の木地(きじ)作り以外の工程は分業されていません。すべてをひとりの職人が手がけます。木地には、ケヤキ、トチ、ホオ、クリ、サクラ、ミズメザクラなどの堅牢な木が使われますが、木を選ぶ際にはゆがみが出ないかを見極めることが大切です。選んだ木を加工に適した状態まで乾燥させてから、製品の形にカットして、正確なサイズに仕上げます。
この木地の継ぎ目や裂け目を補強し、穴をふさぐために、布や和紙を貼ります。これが、「布貼り」です。木地がひび割れを起こしたり、ゆがんでしまうことを防ぐ役割があるので、この作業は丁寧に行なわなければなりません。 - 2.下地付け(したじづけ) 次に行なうのは「下地付け」です。採取してごみを除去した生漆(きうるし)、焼いた粘土を粉にした地の粉(じのこ)、のりを良く混ぜて、刷毛(はけ)で木地全体にむらなく塗って、表面を平らに整えます。その上に、細かい石の粉でできた砥粉(とのこ)と生漆を混ぜた錆漆(さびうるし)を、へらできれいに塗ります。完成した作品では下地は見えませんが、仕上がりの美しさはこの下地付けにかかっているといってもよいでしょう。
- 3.中塗り(なかぬり) 下地付けを終えたあと、「錆研ぎ」をします。錆研ぎとは、錆漆をしっかり乾燥させたあと、砥石(といし)に水をつけて研ぎ、平らにすることです。その後、模様付けに使う漆が砥粉に吸い込まれないように中塗り漆を塗ります。
- 4.模様付け(もようつけ) 中塗りの上に、卵の殻、貝殻、青貝、籾(もみ)がらなど、さまざまな自然の素材をちりばめて模様を描きます。模様は、漆を塗ってから乾く前につける必要がありますが、漆の乾く速度が速すぎると、きれいに模様がつきません。乾く速度が最適な時期は冬なので、模様付けは12月から3月のあいだに行なわれます。
- 5.合塗り(あいぬり) 模様付けのあとは、塗りと研ぎ出しを何度も繰り返します。「合塗り」とは、2色以上の色漆を塗り重ねることで、これによって独特と艶と色彩が生まれるのです。
- 6.箔置き(はくおき) 合塗りをした上に金箔を配置することが「箔置き」です。優雅で美しい輝きを添えることができます。
- 7.塗込み(ぬりこみ) 漆を塗り重ねて製品に強度を出し、研ぎ出すことで、つけた模様を浮き上がらせる技法を「塗込み」といいます。
- 8.石研ぎ(いしとぎ) 荒砥石・中砥石・仕上げ砥石というように、目の粗い砥石から細かい砥石までを順番に使って、模様がしっかり出るまで研ぎます。「石研ぎ」はほかの漆器では見られない、若狭塗独自の工程です。
- 9.炭研ぎ(すみとぎ) 石研ぎのあと、「艶塗り漆」や「さし漆」を塗ります。その後、ホオノキを原料とした荒炭や中炭、チシャやサルスベリを原料とした呂色炭(ろいろすみ)を順番に使って、表面をさらになめらかに研いでいきます。
- 10.磨き(みがき) 砥粉と菜種油(なたねあぶら)を混ぜて練った「油砥粉」を布につけて、こすりながら磨きます。さらに、真綿に生漆を含ませて磨き、最後に菜種油と研磨剤のベンガラを手指につけて、円を描くように磨けば完成です。
Representative Manufacturers / 代表的な製造元
株式会社 ひらの伊 ヒラノイ
伝統工芸品である若狭塗箸の中から厳選した「ひらの伊」ならではのお箸を販売ご紹介しています。
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創業1907年 (明治40年)
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代表平野 旦男
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住所
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HP
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電話0770-52-1506
Facility Information / 関連施設情報
福井県産業会館 - 常設展示場
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住所
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電話0776-41-3611
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定休日年末年始
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営業時間9:00~17:00
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アクセスJR北陸本線「福井駅」より市内バス10番「産業会館前」下車
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HP
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