- 木工品・竹工品
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秋田杉桶樽 アキタスギオケタル
熟練の技が繊細な木目をつなぐ
木の香りとぬくもりをまとった伝統の桶樽
Description / 特徴・産地
秋田杉桶樽とは?
秋田杉桶樽(あきたすぎおけたる)は、秋田県の大館市、能代市周辺で平安後期頃から作られている桶や樽です。素材には秋田杉を使い、職人の手によって一つ一つ制作されています。柾目(まさめ)と呼ばれる木目のまっすぐな材料を使い、竹や銅製の箍(たが)を嵌めて仕上げた蓋のない製品を桶と呼び、板目の材料を使った蓋のある製品を樽と呼んでいます。
秋田杉桶樽の特徴は、秋田杉の香りと優れた吸水性です。秋田杉には独特の良い香りがあり、お酒の味をより一層よいものにすると言われています。また、湿気に強く収縮が少ないため、狂いが少ない製品を製作することができることも特徴です。塩分濃度を調整するという独特の長所もあり、漬物を漬けるのにも適しています。秋田杉は木目も美しく、職人による丁寧な手仕事と共に、現代まで受け継がれています。
History / 歴史
秋田杉桶樽の起源は古く、秋田城遺跡で発掘された桶などの破片は平安時代後期に制作された、最古のものと推定されています。江戸時代に当時の秋田藩主から奨励されたこともあり、産業として定着し大規模に生産されるようになりました。秋田藩の家老が記した「梅津政景日記(うめづまさかげにっき)」には、1612年 (慶弔17年)に、城下で秋田杉を使った酒樽が使用されていたとの記述があります。このように江戸時代頃から庶民に愛用されてきた秋田杉桶樽は、当時から現代と変わらない形のものが使用されていました。
明治時代から大正時代にかけては桶や樽の需要が増加し、頑丈な秋田杉桶樽は庶民に好まれていました。当時は洗濯用の盥(たらい)やご飯を保存する御櫃(おひつ)、醤油樽など様々な用途に用いられましたが、1960年代ごろからプラスチック製品の台頭などにより徐々に姿を消していきます。
近年はその高い品質や木のぬくもりなどが見直されるようになりました。
Production Process / 制作工程
- 1.木取り(きどり)
まず、材料となる秋田杉の丸太から、製品の大きさに合うように扇形の木片を割り出す「寸甫割り(すんぽわり)」を行います。この木片が「くれ」です。丸太の中心から割り出したくれは、製品の大きさに合わせてナタで割り、90日~100日前後自然乾燥させた後、30日ほど人工的に乾燥させます。製品の目的に合わせ、「柾目(まさめ)ぐれ」「板目ぐれ」を割り出していきます。
- 2.銑(せん)がり
銑(せん)とは、両手で持って使う特殊な刃物の名前です。この銑(せん)を使い、職人はウマと呼ばれている作業台に跨って切り出した木片を目的のサイズに合うように削っていきます。
- 3.正直(しょうじき)突き
正直(しょうじき)とは、大きなかんなのことです。この工程で、くれの継ぎ目を揃えていきます。1つの桶を完成させるのには、17枚~18枚のくれが必要です。正直(しょうじき)を使ってさらに木片を削った後は、「けがた」という定規のようなものを使ってくれの形と角度を整え、正確な寸法と角度に削り上げていきます。
- 4.くれ立て
くれを竹釘(たけくぎ)で止めながら継ぎ合わせ、桶の形を成形していく工程です。見た目にも美しく仕上がるように、隣り合うくれの木目や色味も合わせます。きれいな円形状になるように外枠を組んでいくことが重要です。この際、形が崩れるのを防ぐために、仮たがを使って仮止めを行います。
- 5.かんな仕上げ
外丸かんな、内丸かんなと呼ばれる、歯に丸みのあるかんなを用いて内側と外側にかんなをかけ、表面を仕上げる工程です。内側を削る際は、仮止めした製品を両足でくるくると回しながら、外丸かんなをかけていきます。また、内側には底板を入れるための溝が必要です。そこで、この溝を掘るために使用される道具が罫引き(けひき)です。この罫引き(けひき)を使って掘った溝は「蟻切り」と呼ばれます。
- 6.たがかけ、底入れ 竹で出来たたがをはめ、底板を入れた後に木づちと手足を使ってたがを締めていきます。最もたがに適していると言われているのが、真竹と呼ばれる竹です。竹たがを作る際は、表面が滑らかになるよう丁寧に削る必要があります。最後にくれを外側から締めて完成です。
Representative Manufacturers / 代表的な製造元
清水桶屋 シミズオケヤ
漬物桶・洗い桶・手桶など木製の水廻り生活用具として欠かせないものだった桶を、現代生活に使える用具として見直すもの作りをしております。
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創業1990年
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定休日不定休
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代表清水 康孝
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営業時間8:30~17:00
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住所
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HP
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電話0185-52-7779
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見学不可
株式会社沓澤製材所 クツザワゼイザイショ
山林経営から製材品・壁面材・人工乾燥材・内装材・桶・樽及び花器・小木工品まで生産・製造しています。
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創業1927年 (昭和2年)
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定休日日・祝祭日・その他(夏季・年末年始の休業日など)
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代表沓澤 一英
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営業時間9:00~17:00
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住所
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HP
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電話0186-48-3141
Facility Information / 関連施設情報
森林資料館 五城目城
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住所
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電話018-852-3110
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定休日12月1日~3月31日
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営業時間4月1日~10月31日:9:00~17:00 / 11月1日~11月30日:9:00~16:00
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アクセスJR奥羽本線「八郎潟駅」より秋田中央交通バス八郎潟線で10分、五城目バスターミナルよりタクシーで10分
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HP
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