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大阪浪華錫器 オオサカナニワスズキ
金属でありながら柔らかで繊細
熟練の職人による手仕事のぬくもり
Description / 特徴・産地
大阪浪華錫器とは?
大阪浪華錫器(おおさかなにわすずき)は、大阪府大阪市周辺で作られている金工品です。原料の錫はかつて国内で採掘されたものを使用していましたが、現在はタイ・インドネシアなどから輸入しています。
大阪浪華錫器の特徴は、一点一点職人の手による加工を行うために微妙な違いがあり、金属でありながら人の手のぬくもりを感じられることです。錫は軟らかく機械加工が難しいため、ほとんどの作業を人の手によって行います。
大阪浪華錫器に使用される錫は非常に安定している金属で、耐久性が高いことも魅力です。また、酒の味をまろやかにするとされ、酒器や花器にも利用されています。
ビール用のタンブラーの内側には手作業で細かな凹凸がつけられ、持ちのよい泡を発生させるとともに、厚みのある飲み口が滑らかな口当たりを演出します。茶筒などはろくろ挽により正確に削り出されるため、気密性がよく、湿気・酸化を防ぎ茶の保存に適しています。
History / 歴史
日本で錫(すず)が使われるようになったのは飛鳥時代のころで、正倉院宝物にも数点保存されています。錫は金・銀に並ぶ貴重品とされ、宮中で使う器や神具としてごく一部で愛用されてきました。江戸時代の初期には、京都を中心とする関西圏で錫加工を生業とする職人がいたことが、『人倫訓蒙図彙(じんりんきんもうずい)』などの文献に記されています。
大阪の錫器製造の始まりは、1679年(延宝7年)『難波雀』に「錫引き、堺い筋」とその記録があり、江戸中期には流通のよい上方で生産されていたことが確認できます。
江戸中期以降国内最大の生産地となり最盛期(大正の終わり~昭和の初期)には、50件近くの工房と300人を超える職人がいたといわれています。
第二次世界大戦の勃発とともに多くの職人が招集されたり、材料の入手が困難になったりと生産が厳しい時代もありましたが、1983年(昭和58年)3月には当時の通産大臣山中貞則から「大阪浪華錫器」として伝統的工芸品に指定されました。
Production Process / 制作工程
- 1.原材料 「錫(すず)」という金属を使います。近年ではタイ・マレーシア・インドネシアなどからの輸入品を用いています。
- 2.鋳造工程
錫の融解温度は約230℃と低いので、都市ガスでも容易に溶かすことができます。鍋に錫地金をいれて溶かし、液状になった錫(湯と呼びます)を、セメント・土・金属などでできた鋳型に柄杓で注ぎ込みます。この時に型の温度が低いと注いだ湯がすぐに固まってしまうので、何度も型に湯を注いでは鍋に戻したり、鍋の湯につけたりと時間をかけて鋳型を適切な温度まで温めます。
温度調節を行い、鋳型を外すタイミングを見極めながら作業を行います。型から外したら、注ぎ口からはみ出した余分な錫を切り取ります。 - 3.切削工程 丸い形のものはろくろを使って切削し、形を整えます。茶筒などはここで正確に筒口と蓋を合わせる職人の技により、形のよい製品になります。花瓶のように細長いものや一つの型で鋳造できないものは、上下に分けて鋳造したものをそれぞれ内側・表面と切削し、接合して仕上げます。このとき、ざらざらの鋳肌を削り取る・形を整える・仕上げなど用途によって、いくつかの鉋(かんな)を使い分けます。昔から使われている「トクサ」「ムクの葉」などもつやを出すために用いる時もあります。
- 4.中仕事 ろくろで作れない持ち手や注ぎ口などの付属部分をつける工程です。切る・曲げるなどの加工や、叩いて槌目模様をつける作業も行います。
- 5.模様入れ工程 ろくろで仕上がったものに漆やエナメルを使い模様(絵)を入れます。硝酸液に浸すと、他の部分だけが腐食して梨地状(細かい不規則な凸凹が並んだ地模様)になります。絵柄の浮き具合を確かめて、水洗いをしてから黒や朱色の漆を塗っては拭く作業を繰り返すと、絵柄は光って浮き出します。季節によっても腐食の度合いが変わる繊細な工程です。
- 6.仕上げ工程 漆が乾いたら再度ろくろにかけてつやをだし、持ち手などをつけます。
Representative Manufacturers / 代表的な製造元
株式会社大阪錫器 オオサカスズキ
大阪錫器は江戸時代より続く技術、それを伝える職人たちの信念、そしてそれを支えて下さる皆様方のご協力とともに歩んでまいりました。歴史と技術に裏打ちをされた商品を多数そろえさせて頂いておりますので是非一度ご覧下さい。近年、今のライフスタイルに合わせた製品も多く作られております。
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創業1949年 (昭和24年)
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定休日土日祝日
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代表今井 達昌
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営業時間9:00~17:00
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住所
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HP
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電話06-6628-6731
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見学可 / 要問合せ
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