燕鎚起銅器 写真提供:匠の手制作プロジェクト

燕鎚起銅器 ツバメツイキドウキ

見る角度によって光の色合いが変化
一枚の板から生み出される造形美

Description / 特徴・産地

燕鎚起銅器とは?

燕鎚起銅器(つばめついきどうき)は、新潟県燕市周辺で作られている金工品です。江戸時代中期に誕生した伝統工芸品で、当時からこの地方の弥彦山で採取した銅を使ってやかんなどを生産していました。
鎚起とは槌(つち)で起こす打物のことで、銅という素材の伸展性を利用して、一枚の銅板を打ち起こしていく方法は職人の高い技術が要求されます。
燕鎚起銅器の特徴は、職人が鎚起することでできる光沢のある見た目や、長年手入れをすることで銅の風合いが増していくことです。一つの製品に数十万回も打ちを加えていくため、外側は陶器を思わせるほど滑らかに作ることが可能です。
作られる製品の多様さも魅力の一つで、日用品として使用する花瓶や水柱、急須などから美術的な作品まであります。銅の急須でお茶を入れると金属イオンが味を柔らかくする働きもあると言われています。1981年に伝統的工芸品に指定されました。

History / 歴史

金属加工の産地として有名な新潟県燕市は、江戸時代初期頃に和釘を作ったことから歴史が始まったと言われています。そして、江戸時代中期ごろに仙台の職人が燕市を訪れたときに、鎚起銅器の製作方法を伝えたことが燕鎚起銅器の起源です。このときに伝えられた鍛金技法は200年をゆうに超えて受け継がれています。
現在、鎚起銅器の産地は国内でただ一つ燕市のみとなっていますが、この地で発展した理由は、近郊の弥彦山から質の高い銅鉱石が採取できたことです。やかんの生産から始まった燕鎚起銅器ですが、明治時代に入ると日用品の枠を超えて彫金技術を取り入れて、美術工芸品の要素が加わりました。
急須や花瓶、美術品など長い時間をかけて味わいを増す銅器は長く愛用されていて、日常のなかになくてはならない製品となっています。さらに、1894年には、明治天皇へ花瓶を献上したこともあります。

General Production Process / 制作工程

燕鎚起銅器 - 制作工程

  1. 1.打ち起こし 鎚起銅器の製作工程は、作る銅器の形によって異なってきます。そこで、人気のある湯沸製品をもとに基本的の工程を解説していきます。銅板型取り、板金成形、加飾加工、仕上げと4つの工程です。最初の工程は、銅板の型取りとして、決められたサイズに切り取っていきます。打ち起こしの最初は、側面部分からです。専用の木製の台に当てて、側面部分を木槌で叩きます。木の台のへこみには重要な意味があり、側面や注ぎ口などそれぞれの場所によって異なるへこみを使います。また、銅板の堅さや伸縮状態にもよって、打ち付ける強さや微妙な角度を考慮する必要があります。職人の熟練の経験と技術がないと難しい作業です。
  2. 2.打ち絞り 次は、金槌で打ち縮める工程で、打起こしが終わった銅板を鳥口(とりくち)という金具に掛けます。当金(あてがね)とも言われる金具は、完成品によって様々な使い勝手がされるもので、ケヤキ製の台の上がり盤に挿して使用するものです。湯沸の口の部分を作るためには、何度も何度も叩くことが必要で、根気と集中力が求められます。
  3. 3.焼き鈍し 叩き続けていくと徐々に硬くなっていくので、いったん火炉で軟化させます。熱する温度は650度くらいで、柔らかくなっていきます。その後、引き続き叩いていき完成するまでこの作業を繰り返し行います。
  4. 4.成形 形状を整える成形の作業です。全体的にできるむらやひずみなどを整えて、バランスを考え美しい形状にしていきます。また、金肌は叩けば叩くほど光沢が生まれます。
  5. 5.彫金 形ができたら表面に加工していきます。タガネという道具を用いて、細かい模様を描いて彫り、打ち出す模様打ちを行います。また、金や銀をはめこむ象嵌(ぞうがん)の装飾をする場合もあります。彫金の工程を経て、銅一色だった製品に明るさや華やかさを作り出すことが可能です。
  6. 6.着色仕上げ 最後に、金肌の質感をより良くするために、溶液につけて変化させます。この着色方法は2種類あり、黒色系の方法では、錫(すず)を塗ったら800度で焼き、打ちならしていきます。そして、着色のために、緑青と硫酸銅を混ぜ合わした液体で煮込み、出来上がった銅器は味わいのある黒紫色に変化しています。赤色系では、黒色系よりさらに数時間煮込みます。黒色系は金古色、赤色系は宣徳色と呼ぶ色を作り出すことが可能です。燕鎚起銅器でできる製品は、一枚の銅板から打ったり縮めたりを繰り返すことで他にはない美しさがあります。伝統技術を受け継ぐ職人たちにとって、鎚起の技法は、燕鎚起銅器の命と言われる仕事なので、職人も熟練の技が必要です。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

玉川堂 ギョクセンドウ

玉川堂の鎚起銅器は、日々の暮らしの中、使いながら乾拭きを繰り返すことで色合いに深みとツヤが増し、円熟味を帯びていきます。

有限会社 富貴堂 フウキドウ

先代より受け継ぐ形と共に 素材を生かした銅器を制作しております。

Where to Buy & More Information / 関連施設情報

燕市産業史料館

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