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大阪欄間 オオサカランマ
木目の美しさと彫りの技が光る
彫刻芸術に匹敵する高い技術力
Description / 特徴・産地
大阪欄間とは?
大阪欄間(おおさからんま)は大阪府大阪市や岸和田市、吹田市周辺などで作られている欄間です。
欄間は、日本家屋において、部屋と部屋、あるいは部屋と廊下の境となる場所で、天井と鴨居の間に取り付けられる部材です。採光や換気などを目的としており、障子や細工を施した板などを使って、光や空気が通り抜けられるようになっています。
大阪欄間の特徴は、「彫刻欄間」や「透かし彫り欄間」など、さまざまな技法があることです。風景などの図柄を、立体的に彫り込んで浮き上がらせる「彫刻欄間」は、屋久杉などの天然木の木目を活かし手間がかかる分、大阪欄間の代名詞といえます。
桐などの板に、模様をくりぬいた「透かし彫り欄間」や、細い板をバランスよく組み込んだ「筬(おさ)欄間」、幾何学模様を緻密に組んだ「組子欄間」、竹の節を活かして模様をつくる「節抜(よぬき)欄間」などがあります。また、井波欄間(いなみらんま)などと比べると柔らかい図柄が多く、板も薄くて、採光などの機能性を重視したものとなっています。
History / 歴史
大阪欄間の起源は、17世紀初頭まで遡ると言われています。1604年(慶長9年)に建立された和泉市の聖神社や、17世紀初めに再建された四天王寺に、その技術の端緒を見ることができます。
元々、欄間はお寺や貴族などの特権階級の、権威を表す一つの手段としても使われていました。そのため欄間の中心はかつては京都にありましたが、江戸時代中期に、一般庶民の住居にも取り入れられるようになって、欄間の製造の中心は大阪に移ってきます。
当時の大阪は、多くの物資が集まる天下の台所で、堀江(現在の大阪市西区)、横堀(現在の中央区あたり)の川沿いには多くの木材問屋が集まっていました。そのため、この周辺に欄間の職人も数多く集まるようになり、やがて欄間の一大生産地として、全国に出荷するようになっていったのです。また、商業の中心である大阪には、富を得た商人も多く集まっていたため、欄間の需要にも結び付いたとみられています。
大阪欄間は、300年もの時を超えて現在もその技が引き継がれ、1975年(昭和50年)には、国の伝統工芸品に指定されました。
Production Process / 制作工程
- 1.選木(せんぼく) 大阪欄間の製造工程を、一番イメージしやすい彫刻欄間を例にして説明します。まず、欄間の材料となる木材を選びます。素材となるのは、古木と言われる樹齢2~300年を超える 杉・檜・桐その他欄間にふさわしい素材を選択します。
- 2.製材 選んだ木材から、欄間の素材となる部分を切り出す工程です。欄間の大きさに合わせて、板の厚みや幅、長さなどを決めて、製材します。
- 3.乾燥 製材した木材は、風の当たらない湿気の少ない場所に立てかけて、最低でも3か月以上時間を置き乾燥させます。材質によっては、完全に乾燥するまでに数年かかるものもあり乾燥がうまくいかないと作業の途中でひび割れたりすることがあります。
- 4.木取り(きどり) 乾燥を終えた木材に墨付けし、必要な大きさに寸法切りを行います。
- 5.下絵描き 木取りをした木の表面に、筆と墨で直接下絵を描きます。素材となった木の持つ特性や繊維の流れ、削った場合の強度などを考慮して、全体のイメージを持ちながら細かい図柄を決めて行きます。この時に上彫りにするか並彫りにするかを決定します。
- 6.挽き(ひき)仕事 細い歯の鋸(のこぎり)で下絵に従って、大まかに不要な部分を切り落として行きます。
- 7.繰り(くり)仕事 挽き仕事で不要な部分を切り取った箇所の荒れを、小刀で削りながら細かく丁寧に修正していく作業です。やすりなどで仕上げた場合とは異なり、杢目が潰れずに杢目の美しさが際立ちます。
- 8.荒彫り 下絵に従って、ノミで荒く模様を彫り出していく工程です。木の繊維や強度などを考慮しながら作業を進めます。
- 9.彫り 荒彫りした後下絵に従って、図柄を細かく彫り進めます。全体の立体感が出たら彫りの仕上がりになります。
- 10.面取り(めんとり) 彫刻を施した部分と、外周との区切りをつけるため、面取り、及びつくり出しをします。
- 11.磨き加工
艶を出すため浮造り(うづくり)を使い木蝋やイボタ蝋で磨きます。
桐や杉など、針葉樹の木材の表面を引き締めて杢目を際立たせ、艶を出します。また艶出しは表面の保護などに効果があると言われています。
注:
浮造り 刈萱(かるかや)の根を水にさらして干して束ねたもの。
木蝋 うるしの実から搾り取ったもの
イボタ蝋 イボタの木に寄生するイボタロウムシの分泌物から作った蝋 - 12. 額縁組 最後に額縁を組んで、彫り上げた欄間を組み込んで出来上がりとなります。
Facility Information / 関連施設情報
日本工芸館
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住所
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電話06-6641-6309
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定休日月曜日、第2火曜日、年末年始、展示替の時
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営業時間10:00~17:00
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アクセス大阪市営地下鉄「なんば駅」より徒歩8分
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HP
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