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京黒紋付染 キョウクロモンツキゾメ
気品と艶のある黒が美しい京名物
手間を惜しまない職人技光る黒い宝石
Description / 特徴・産地
京黒紋付染とは?
京黒紋付染(きょうくろもんつきぞめ)は、京都府京都市、亀岡市などで作られている染色品です。
京黒紋付染の特徴は、葬儀の際に着る喪服や婚礼の際に着る黒留袖といった礼服としての冠婚葬祭の衣装として用いられており、深い気品ある上質な黒色に染め上げる点です。生地が絹織物で上品な黒を表現するために化学染料を使ってはいるものの、昔ながらの染料である紅あるいは藍などで、三度黒(さんどぐろ)と黒染料(くろせんりょう)の2種類の技法で染める黒引染(くろひきぞめ)か、黒浸染(くろしんせん)という技法を用いて染色されています。
また、生地に氏や家系を示すものであるため伝統工芸士により正確で美しい家紋が施されています。約2万種類あるといわれているもののうち、一般的に用いられている平安紋鑑の約4千種類が手描き、または型紙による型刷りで「紋章上絵付け」されています。
History / 歴史
京黒紋付染の歴史は10世紀頃まで遡り、17世紀頃に黒染として確立したとされています。もともと古くは僧侶の法服や、武家の紋服とあいて用いられており、明治に入って現在のように冠婚葬祭の際に着用する礼服の羽織袴として需要が増加してきました。
戦後においては、日本欧米の文化が進出していったなかでも。京都の黒染業は伝統工芸品といての確固たる位置づけを維持し続け、今日に至っています。
また黒染業の最盛期であった1902年~1903年(明治35年~36年)頃には、一般的な技法として五倍子汁(ふし)・桃皮汁(とうひ)・檳榔子汁(びんろうじ)・鉄漿(おはぐろ)の4種類の染液を使い、18回以上繰り返し染め上げるという労力を要していました。
しかし、大正時代には合成染料が用いられるようになったほか、黒引染の手法も行われ、合成染料を用いた黒浸染が一般的になるのと同じくして藍染を専業としていた紺屋は、黒浸染への転業を余儀なくされました。
Production Process / 制作工程
- 1.検品 まだ生地を染め上げていない白地の状態で、繊維に染みやかすれといった汚れがないかを丁寧に検品します。
- 2.墨打ち(すみうち) 検品に合格した白生地に袖や前身ごろなどの位置を決める「墨打ち」を行います。
- 3.紋糊置き(もんのりおき)
紋章に墨がつかないようにする家紋部分の防染を行います。防染にはもち米を糊状にのばして、墨打ちしている袖・胸・背部分に紋糊を両面に置きます。
紋糊にはさまざまな種類があり、男女で大きさや型も異なります。 - 4.枠掛け(浸色) 紋糊が乾燥するのを待ち、生地に色むらができないように間隔を空けて枠の針にかけ、しわが寄らないようにしっかり生地を張ってかけるよう気を付けます。
- 5.下染め 漆黒の深みのある黒に染め上げるため、紅や藍を用いて三度染めする「三度黒引染」をおこない、上品で気品のある京黒紋付染に仕上げる下準備とします。
- 6.黒染め
生地の目方や状態、種類に合わせた繊維を染色するためにつくった染浴を95度の高温に設定し、染浴の釜に生地を浸して染め上げます。
その際にも色むらにならないように、何度も釜から引き上げ、生地の染まり具合を見ます。 - 7.水洗い・紋洗い・乾燥 余分な染料洗い流し、防染のために両面に置いていた紋糊をはずし、紋場に染みた染色液の染みや汚れを洗い流し、乾燥させます。
- 8.整理 染めあがった生地の風合いをだし、柔軟性を引き出します。その後さらに防水加工を行ないます。
- 9.湯のし 染色中にしわが寄ったり縮んだりした生地を整えて、蒸気をあてながら両端を針で張ってローラーにかけ、ピンキング作業をおこないます。
- 10.紋上絵(もんうわえ)
紋場に墨で筆や竹コンパスを使い、丁寧に絵付けします。
黒染には黒浸染・黒引染の染法を使います。黒引染では、表裏表を1工程とした刷毛で黒染めする作業を3工程行います。
1度目は木のエキスから抽出されたログウッドで五寸幅の刷毛を使い引染めし、2度目はログウッドに中間媒染液を加えたノアールナフトール液で引染め、3度目はログウッドの強い酸化力を持つ重クロム酸カリ液で染めあげ、赤みの強い艶のある黒に仕上げます。
Representative Manufacturers / 代表的な製造元
株式会社京都紋付 キョウトモンツキ
黒染め一筋で「黒を極める」事を追求していく上で、「深黒(しんくろ)」という加工技術を生み出しました。この深黒の技術をもって、洋装部門においても究極の黒を実現していきます。
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創業1915年 (大正4年)
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定休日土日祝、年末年始、お盆、祇園祭(7月16・17日)
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代表荒川 徹
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営業時間9:00~17:00
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住所
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HP
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電話075-315-2961
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見学不可 / 2017年5月から開催予定
馬場染工業株式会社 バンバセンコウギョウ
140年以上続く老舗黒染屋として長年培ってきた黒染めの技術により、代々伝わってきた「秀明黒」を受け継ぎ、着物は勿論のこと、お洋服の特長を活かした染め直し・染め替えをいたします。
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創業1870年 (明治3年)
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定休日土日祝
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代表馬場 洋子
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営業時間9:00~17:00
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住所
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HP
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電話075-221-4759
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見学可
Facility Information / 関連施設情報
京都伝統産業ミュージアム(京都市勧業館-「みやこめっせ」地下1階)
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住所
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電話075-762-2670
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定休日年末年始(12/29~1/3)
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営業時間9:00~17:00(入館は16:30まで)
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アクセス京都市営地下鉄東西線「東山駅」より徒歩7分 京都市営バス京都駅から5番線「京都会館・美術館」前下車すぐ
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