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東京本染注染 トウキョウホンゾメチュウセン
ぼかしとにじみが生み出す絶妙な風合い
表も裏も美しく染め上げる江戸の技巧
Description / 特徴・産地
東京本染注染とは?
注染(ちゅうせん)とは、その名の通り染料を生地に注ぎ染める染色技法。何層にも重ねた生地の上面と下面から染料を注ぐことで、裏表なく生地の両面が染め上がるのが特徴です。とりわけ関東地方で染め上げたものが東京本染注染と呼ばれています。
現在もこの技法を用いて浴衣や手ぬぐいなどが作られていますが、職人や工場の数は減りつつあります。注染は日本独自の技術で、中でも一枚の型を使って何色も染め出す差し分け染めは日本にしかない染織技法です。また、熟練の職人による緻密な手加減で2色以上の染料をかけて濃淡を表現するぼかし染めといった技法もあります。
多くの工程のその一つひとつを手作業で行うため、作品は唯一無二の仕上がりに。職人の手作業ならではの繊細なぼかしや、にじみが生み出す独特の風合いが注染の魅力です。
History / 歴史
注染は150年以上続く伝統の技法。それまで主流だった長板中形(ながいたちゅうがた)いう染色技法に代わる形で、明治時代に広く普及しました。防染糊(ぼうせんのり)の付け方を工夫することで一度に複数の生地を両面とも染色できたため大量生産を可能にした画期的な技法でした。
注染は日本各地で用いられる技法ですが、中でも東京は主要生産地。かつて東京(江戸)では手ぬぐいを贈答品として贈る文化もあり、日常で手ぬぐいを使用する機会が多く、染物は人々にとって身近なものだったことも関係しているようです。
かつて隆盛を極めた注染も、ライフスタイルの変化や化学繊維などの出現により需要と共に生産工場も減りつつあります。それでも注染は手ぬぐいや浴衣にとどまらず、現代の生活スタイルの変化に合わせながら生地を洋服やバッグに仕立てた商品なども開発されおり、伝統的な注染の技術をつないでいます。
Production Process / 制作工程
- 1.練地(ねりじ)、生地干し 白い生地をお湯に浸し、歪みを取って染めやすくしたら天日干しにします。
- 2.生地巻き 布目をまっすぐにして、生地を丸巻きにします。
- 3.糊調合、型付け 水や石灰を加えて防染糊を調合。そして型紙を木枠に張り、生地を型台の上に伸ばして糊をヘラで塗ります。生地を折り返しながら糊の型付けを何層にも重ねます。
- 4.染色 やかんを使って染料を表面から注ぎ、裏面からコンプレッサーで吸引します。片面が終わったらひっくり返し、表裏両面行います。
- 5.水洗い、乾燥 布地から防染糊や余分な染料を水で洗って落としたら脱水し、生地を干して乾かします。
- 6.仕上げ 生地が乾いたら再び巻いていき、ローラーでシワを伸ばして完成です。
Representative Manufacturers / 代表的な製造元
東京和晒株式会社 トウキョウワザラシ
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創業1889年 (明治22年)
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定休日土日祝・年末年始・夏季休暇
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代表瀧澤 一郎
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営業時間9:00~18:00
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住所
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HP
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電話03-3693-3333
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見学可 / 体験教室は有料