西陣織

西陣織 ニシジンオリ

緻密に計算された紋様の美
京の宮廷文化に育まれた千年以上の歴史ある高級絹織物

Description / 特徴・産地

西陣織とは?

西陣織(にしじんおり)は京都府京都市街の北西部で作られている絹織物です。西陣とは京都の北西部(上京区、北区)にあたる地域の名称で、西陣の織屋(織物業者)が製造する織物を西陣織といいます。
始まりは古墳時代と古く、室町時代に京都で起こった「応仁の乱」を機に西陣織の名称がつけられました。織屋によって製造工程が多少異なりますが、法律によって現在では12種類の品種が西陣織に指定されています。
西陣織は、紗(しゃ)や羅(ら)といった透かし生地や二重構造の風通といった、多彩な織り方が発達していことが特徴的です。そして生地は先染めをしてから織っているため、一般的な染色法である後染めよりも丈夫で、シワになりにくい点も魅力の一つです。
西陣織で生産される主な製品には、細い真絹で織った「紬(つむぎ)」、一般的に「お召し」と呼ばれるちりめん状の本しぼ織り、表裏で異なる色柄が表現できる風通などがあります。また、デザインはシンプルなものから雅やかなものまでさまざまです。
「西陣」「西陣織」は登録商標によって、その伝統が保護され続けています。

History / 歴史

西陣織 - 歴史

西陣織の起源は、渡来人が現在の京都に養蚕と絹織物の技術を持ち込んだ5~6世紀に遡ります。
平安時代に、高級な絹織物を作る官営の職業として普及し始め、現在の上京区にあたる地域には、職人の集まる「織部町」という町も作られました。その後、官営の織物工房が衰えると職人達が自ら工房を起ち上げ、織部町の近くの大舎(おおとねり)町で絹織物業が発展していきます。大舎人町で生産される絹や綾は高品質なことから珍重され、室町時代に「大舎人座」と呼ばれる組織が誕生してからは、受注の幅もさらに大きく広がっていきました。
京都で応仁の乱が起こると、大舎人町は壊滅してしまいます。しかし避難していた職人達が、応仁の乱で西軍の陣地であった地域(現在の上京区大宮)に戻り、織物業を復活させました。この頃に西陣という地名が生まれ、この地で作られる西陣織が日本の代表的な織物のブランドとして発展していくようになるのです。
明治時代になると、西洋からジャカート織機を導入し、高度な技術が実現できるようになりました。現在では、伝統的な着物以外に洋風着物やインテリアなど時代にマッチした製品の製造にも力を入れています。

General Production Process / 制作工程

西陣織 - 制作工程

  1. 1.図案(ずあん) 西陣織は織り上がった生地に染色していくのではなく、先染めした糸を使って生地を織る製法を用いるため、織り上がりのイメージを想定した図案を企画することが必要です。図案家は、メーカーから注文を受けると、伝統的な図柄に時代のニーズを組み合わせながら図案を描いていきます。
  2. 2.紋意匠図(もんいしょうず) 次に設計図を作ることが必要です。これを紋意匠図(もんいしょうず)といいます。卦紙(けいがみ)という方眼紙のような紙に拡大した図案を投影させ、鉛筆で型を書き写す「マワシ」、マス目に併せて色を塗る「ハツリ」を行ないます。卦紙のマス目で、ジャカート織機の経糸(縦糸)と緯糸(横糸)の組み合わせを示すのです。卦紙には糸色のほか、生地が織りやすいように工夫されたさまざまな情報や指示も盛り込まれています。
  3. 3.紋彫(もんほり) 織り機が紋意匠図の情報を読み取って図案通りの図柄を織り上げるために、紋彫(もんほり)という作業を行ないます。紋掘とは、紋紙(もんし)という紙に穴を開けていくことで、経糸と緯糸が上下する位置や色糸の組み合わせといった情報を一マスずつ指定する方法です。ピアノ式紋彫機などの機械を使って、正確に穴を開けていきます。また近年は、コンピュータグラフィックによる処理も普及しています。
  4. 4.撚糸(ねんし) 西陣織に使用される糸の準備では、まず撚糸(ねんし)と呼ばれる作業で、複数の原糸を撚り合わせ、糸の太さを調整します。さまざまな太さの糸を撚り出すことで、西陣織特有の風合いが生まれるのです。
  5. 5.糸染(いとそめ) 次に精錬によって黄ばみのもととなる動物性たんぱく質を取り除き、白い糸に仕上げます。そして注文通りの色合いに糸染を行ないます。この糸染は、織り上がりの風合いを左右する重要な作業ともいえます。
  6. 6.糸繰(いとくり) 生地が織りやすいよう、経糸と緯糸を糸枠に巻き取る糸繰(いとくり)を行ないます。かつては手動で糸を巻き取っていましたが、現在は機械による糸繰が主流です。
  7. 7.整経(せいけい)緯巻(ぬきまき) 経糸と緯糸を織機にセットします。織物に必要な何千本もの経糸は、全て本数と長さを揃えておかなければなりません。この作業を整経(せいけい)といいます。緯糸には、竹の管に巻き付けてから、緯糸を経糸に通す時に使う杼(ひ)にはめ込む「緯巻(ぬきまき)」を行ないます。
  8. 8.綜洸(そうこう) 経糸をジャカート織機の綜絖(そうこう)と呼ばれる部分に通します。これは、経糸と緯糸が西陣織の複雑な柄を編み出すための重要な工程です。
  9. 9.手機(てばた) 製織には手機(てばた)、ジャカート機、力織機、綴機(つづればた)が用いられます。近年は力織機が普及していますが、金襴などの繊細な織は手機によって人の手で作る必要があります。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

株式会社 あだち カブシキガイシャアダチ

あだちがお送りする製品、西陣織・つづれ織。誇り高い京都・西陣から発信する日本人の美意識を国内外に、「心」よりお届けします。

株式会社 細尾 カブシキガイシャホソオ

「細尾」は今、日本画誇る「帯」や「きもの」をはじめ、新しいテキスタイルとしての絹織物など生活を彩る品々を創り、発信しています。

小川織物 株式会社 オガワオリモノカブシキガイシャ

株式会社加地織物 カブシキガイシャカジオリモノ

インテリア向け西陣織ブランド「KYOGO」を立ち上げ国内外に上質でモダンな西陣織インテリア製品を提供しています。

Where to Buy & More Information / 関連施設情報

西陣織会館

京都伝統産業ミュージアム(京都市勧業館-「みやこめっせ」地下1階)

京都伝統産業ミュージアム(京都市勧業館-「みやこめっせ」地下1階)