東京琴

東京琴 トウキョウコト

美しい高音とクリアな音質で聴く人を魅了する
琴の流派を越えて愛される和楽器

Description / 特徴・産地

東京琴とは?

雅楽として中国から伝わった琴。その後16世紀ごろに日本国内で創作された筑紫琴が現在の琴の基礎となっています。それまでは京の文化として親しまれてきた琴が、江戸時代半ばになると江戸でも普及。江戸時代に活躍した筝曲音楽家である山田検校(斗養一)が琴を中心とした楽曲を作ったことで、江戸でも琴の生産が盛んになりました。東京琴の特徴は音量の大きさと、明瞭な音質。琴の長さや厚み、反り具合を変えることで音量を増やし、大きな琴爪によってクリアな音を奏でます。もう一つ、こだわりは奏者の力量や習熟度を鑑みた制作工程にも。琴をオーダーした奏者が理想の音が出せるよう、胴体部分である甲羅の削り具合を変えるなど職人による緻密な調整が施されます。琴の流派には山田流、生田流などがありますが、東京琴は流派に関係なく広く使われています。現在は文京区、世田谷区、渋谷区などで生産が行われています。

History / 歴史

琴が京都から江戸に伝播し大衆にも馴染みある楽器になると、演奏の場で担う役割も変わっていきました。それまで雅楽や三味線の伴奏に使われていた琴は山田検校により楽曲の主奏楽器へと変化。歌を伴って演奏するスタイル新しいスタイルが確立されると、山田検校の楽曲は江戸の町で大人気に。山田流の筝曲が発展するとともに、「山田琴」と言われる東京琴の原型が作られました。江戸での琴の製造が活発になり、曲調に合わせて高い音が出るように改良が行われて現在の東京琴へと至っています。19世紀半ばごろになると、現在と同様の技術・技法によって製造されるようになり、使われる材料もその頃から現在まで同じものに。東京琴の胴体部分には、桐、紅木、紫檀などが、琴の糸には絹糸が使われています。今日においてもプロの演奏家から学生まで広く演奏に用いられる和楽器の一つです。

Production Process / 制作工程

  1. 1.胴造り 乾燥させた桐などの木材を削り、木目がよく見えるようにしながらゆるやかな曲面の甲を造形します。
    甲の裏となる部分は釿(ちょうな)で削り外丸カンナで仕上げをした後、ノミで綾杉文様を彫ります。
  2. 2.甲焼き 加熱した焼きごてで、表面全体を焼き上げていきます。
  3. 3.包み部品造りと組み立て 包み部品といわれる口前などを製作し、甲羅に彫り込みを入れて接着します。
  4. 4.芯座打ち 絃を通す穴(芯座)を四分六板に木槌で打ち込みます。

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