江戸べっ甲

江戸べっ甲 エドベッコウ

品薄の甲羅から作られる貴重品
火と水が生みだすアメ色の芸術

Description / 特徴・産地

江戸べっ甲とは?

江戸べっ甲(えどべっこう)は、東京都文京区・台東区・墨田区などで作られている装飾品です。江戸時代の初期に誕生した工芸品で、タイマイと呼ばれるウミガメの甲羅から作られています。
江戸べっ甲の特徴は、独特の光沢と天然素材ならではのぬくもりです。主成分がタンパク質であるため、汗や整髪料などに弱い性質を持っていますが、きちんと手入れをすれば長く使うことができます。
火と水を使って形を整形していることから、加工がしやすくさまざまな製品が生まれました。また、ヒビなどの修理も容易です。
1992年(平成4年)、ワシントン条約で原料の輸入が禁止されて以降、べっ甲は品薄となっています。キューバではタイマイを食べる習慣があるために甲羅が余っているのですが、輸出はされていません。現在国内の業者は、輸入禁止前に集めた在庫や端材などを使ってべっ甲製品を作っています。
現在は主に、べっ甲製品は、帯留め、かんざし、ネックレス、ブローチ、メガネのフレームなどが制作されています。

History / 歴史

1603年(慶長8年)、江戸幕府が開設された頃が江戸べっ甲の起源です。1688年(元禄元年)頃に貼り合わせの技法が伝えられ、様々な形のべっ甲細工が生まれるようになりました。
タイマイから作られているべっ甲製品が「べっ甲」と名付けられた経緯には、奢侈禁止令(しゃしきんしれい)が関係しています。海外から輸入されるタイマイは、高級品であるために禁制品とされました。しかし、ある藩主の上申により国内でとれた鼈(すっぽん)の甲羅を使う許可が出されて以降、タイマイが使えるようになるまで鼈(すっぽん)の甲羅を使ったことから、鼈甲(べっこう)という名前で呼ばれるようになりました。
それまでのべっ甲製品には、「玳瑁如意(たいまいにょい)」や「螺鈿紫檀五弦琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」などのように、タイマイの名前が使われています。1982年(昭和57年)2月、江戸べっ甲が伝統工芸品としての指定を受けました。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.デザイン べっ甲製品を作る際は、複数の甲羅からデザインにあった部分を選んで使います。甲羅の部位や、個体によって色や柄、粘り、強度が異なるためです。完成品に適した材料選びのためにも、どのような品をどのようなデザインで作るのか決めておくことが重要となります。
  2. 2.材料の選別 デザインが確定したら、デザインに合った甲羅を選びます。べっ甲製品は、複数の甲羅を重ねて厚みを出すため、重ねる部分はなるべく色・柄ともに似通ったものを選ぶ必要があります。なお、製品の大きさやデザインによっては、木型が必要です。木型はたいていヒノキで作ります。
  3. 3.切り出し・荒削り 切り出しとは、使う部分を糸鋸(いとのこ)で、実際の製品よりも少し大きめに切る工程です。切り出しが終わったら、荒削りを行います。荒削りとは、甲羅の表面についた傷を取り除いてなめらかにする作業です。まず「ガンギ」と呼ばれるヤスリで表面を滑らかにし、続いてサンドペーパーや砥草(とくさ)を使ってきめ細かい表面に加工していきます。表面の加工が丁寧に行われていないと、この後の工程で行われる張り合わせで甲羅がうまく密着しません。また、厚みが足りない場合は、爪などの透明度が高い部位を使って厚みを補います。
  4. 4.張り合わせ 荒削りまで終わった材料を水に浸し、熱と鉄板、圧力を使って張り合わせる工程です。タイマイの甲羅そのものが膠(にかわ)を含んでいるため、接着剤は必要としません。水分を含ませた柳の板で水に浸した材料をはさみ、熱した鉄板の上に乗せたら万力を使って圧力をかけます。水の浸し加減、熱加減、圧の加減やかける時間の全てで職人の技量が問われる工程です。カラーべっ甲を作る場合は、荒削りまで終わった白甲を、水ではなく染色液につけて着色します。着色後に行う張り合わせの工程は同じです。
  5. 5.成形 小刀やヤスリを使って形を整えます。曲げや型抜き、切断、彫刻を行うのもこの工程です。メガネフレームなど、左右対称でなければならない製品は、成形の段階で丁寧に調整を行います。
  6. 6.仕上げ・磨き バフという機械を使って磨きます。光沢を出すために蝋(ろう)を付けて仕上げ磨きをしたら、完成です。カラーコーティングされたべっ甲製品を作る場合は、磨きまで終わってからカラーコーティングを施します。

Where to Buy & More Information / 関連施設情報

江戸鼈甲屋.com