甲州手彫印章

甲州手彫印章 コウシュウテボリインショウ

同一のものはない唯一無二の印
熟練の技術を持つ職人が丁寧に造る

Description / 特徴・産地

甲州手彫印章とは?

甲州手彫印章は、山梨県甲府市、富士吉田市などで作られている印鑑です。印面彫刻業者や販売業者、印材メーカーなどが山梨県内に業者が全て集まっているように、他県には見られない地場産業となっています。
甲州手彫印章の特徴は、印材に柘(つげ)、水牛(すいぎゅう)、水晶(すいしょう)が指定されている点です。水晶研磨の技術があった甲州地方の特性を生かして、水晶の印章が生まれました。
印材が柘(つげ)または水牛(すいぎゅう)の場合は、起低刀を用いて文字部分を残すように粗彫りをし、判差刀を使って文字を整えます。印材が水晶の場合はタガネの丸刀を叩いて印面を掘り出し、同じくタガネの平刀を叩いて文字を仕上げていきます。印面は砥石を使って平らに仕上げ、文字は枠内に左文字で描きます。
甲州手彫印章で大切にされているのは、伝統的な道具と技法の継承です。完成した美しい印影を表現するために、印刀製作も伝承されています。

History / 歴史

山梨県の甲州手彫印章は、御岳山系から巨大で良質な水晶が発掘されたことから始まります。1837年(天保8年)には、甲府近郊の御岳に水晶の加工工場が設立されました。加工技術も数多く生まれ、加工職人や業者が増えていきます。板木師の彫刻技術が発達し、印材として水晶をはじめ柘(つげ)や水牛(すいぎゅう)も使われるようになりました。1854年(嘉永7年)の甲州買物独案内などの文献に山梨県の印章産業の発展をみることができます。
文献には甲府市内に御印版を取り扱う版木師という職人の存在の記載があり、別の文献では草などが混入した珍しい水晶の印材である「極上草入六角」や、水牛の印材の注文の記載などが見られます。当時には既に熟練した職人が存在し商売をし、様々な印材が流通していたことが推察できます。
1873年(明治6年)の太政官布告によって一般市民にも印章の需要が急に広がり、山梨県独特の出張販売や通信販売によって市場を拡大していきました。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.印面摺(いんめんすり) 大切な書類に印章(はんこ)をおすという習慣は、江戸時代には農民や一般の人々の間でも行われていました。当時から印鑑帳に印鑑登録がなされ、一人一人が自分の印章を持っていたのです。大切な財産を守る印章(ハンコ)は「自分の分身」として扱われるほど大きな役割を果たして来ました。どの人も唯一であるように、印章も自分だけの唯一のものが存在価値とされてきたのです。
    甲州手彫印章の主要な工程は、印材によって少し異なるものの多岐にわたっています。熟練した職人によって作り上げられる甲州手彫印章の印影には他に類を見ない趣きがあるのが特長です。最初の工程である印面摺では、柘(つげ)、水牛(すいぎゅう)、水晶(すいしょう)などの印材の印面を砥石(といし)で平らに仕上げます。
  2. 2.字入れ(じいれ) 印稿(いんこう)や字割(じわり)を行い、印面の枠に左文字を書く工程です。良い印章とは、字入れの工程が職人の手作業によってなされることとされています。製作する職人が彫刻する文字を手書きすることが、同じ物がないという安全も引き出すのです。伝統的な印章に用いられる書体はいくつかあります。小篆(しょうてん)・印篆(いんてん)・印相体・隷書(れいしょ)・古印体・楷書・行書・草書などです。
    小篆(しょうてん)は、中国を統一した秦の始皇帝が統一した文字の書体で、当時の公用文の書体でした。均一がとれた端正な美しさを備えた文字です。優美な印象を与えるため、女性のための実印や銀行印などにふさわしいと言われています。
    印篆(いんてん)は、小篆を基本にして作られた書体です。最も多く印章に使用されている風格のある書体で、古代中国では官位の象徴として用いられました。現代では実印に採用されることが多く、権威を感じさせるような雰囲気のある書体です。
    印相体(いんそうたい)は、印鑑独自の書体です。印篆を基にしたもので、丸枠との接点をとりデザイン化しています。
    隷書(れいしょ)は、古代中国の秦で考案された書体で、小篆を簡単に直線化した書体です。
    古印体(こいんたい)は隷書を元にして日本で発明された書体で、古来より国之印、寺社之印、私印などが製作されてきました。大和古印体(やまとこいんたい)とも呼ばれ、製作する職人の個性や持ち味がでる書体です。
    楷書(かいしょ)は、漢字を習う時の基本的な書体で、馴染みが感じられます。
    行書(ぎょうしょ)は、基本的な書体である楷書をくずしたものです。草書ほどは書体をくずしておらず、ちょうど楷書と草書との中間の書体です。女性に好まれる柔らかさや優しさ、麗しさが感じられます。
    草書(そうしょ)は、筆で流暢に書いたような流れのある書体です。
  3. 3.彫り(ツゲ及び水牛の場合) 彫りに適した起低刀(きていとう)を使用して、粗彫りをして文字部分を残します。
    文字を整える作業は細かい判差刀(はんさしとう)を使用して、押しながら彫る押切刀法または彫刻を引きながら彫る引切刀法で彫り、仕上げます。
  4. 4.彫り(水晶の場合) 印面の反対側を墨で黒塗りして、印面の文字を見やすくしていきます。金属のタガネ製の丸刀を叩きながら印面を彫り出します。文字仕上げはタガネ製の平刀を叩きながら行います。そして、同じくタガネ製のさらい刀を叩きながら深彫りし、凹面を整形していきます。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

望月煌雅 モチヅキコウガ

やまなしの名工、甲州手彫印章伝統工芸士の望月煌雅が一本一本丁寧に制作します。 経済産業大臣指定伝統的工芸品「甲州手彫印章」や、名刺に押すと丁度良いサイズの名刺手彫印、他産地とのコラボ商品なども扱っております。

株式会社天野製作所 アマノセイサクショ

ただ物を製造するメーカーではなく仲間とともに成長し、共感しながらこころのこもったものづくりのできる企業を目指してきた結果、業界内においては国内トップシェアを誇る企業として成長致しました。

信玄印/山梨物産株式会社 ヤマナシブッサン

天皇皇后両陛下の行幸啓を賜りました印章の本場甲州の伝統を受け継ぎ、修練を積み重ねた匠の技が内閣総理大臣、韓国大統領の印章を謹製する功績を実らせました。 全国のお客様から大切な印章のご用命に実績に証明された確かな技術をお選び頂いております。

Where to Buy & More Information / 関連施設情報

かいてらす(山梨県地場産業センター)

See other Other crafts / その他の工芸品一覧

See items made in Yamanashi / 山梨県の工芸品