岐阜和傘

岐阜和傘 ギフワガサ

100工程にもわたる緻密な手仕事から生まれる
機能面だけでなく、デザイン面でも一級品の和傘

Description / 特徴・産地

岐阜和傘とは?

和傘は雨傘や日傘だけでなく、日本舞踊や伝統芸能用の舞踊傘や屋外のお茶会で使われる野点傘などがあります。
畳むと細身になる繊細な形姿が特徴で、高い技術によって均一に配置された竹骨も魅力のひとつ。デザイン性も兼ね備え、透け模様をはじめとした装飾技法も豊富に使われています。近年では新たな取り組みにも挑戦し、写真映えするデザインが若者から支持を得たり、お土産として外国人観光客から人気を博したりしています。
和傘には100ほどの細かな工程があり、それぞれに熟練の職人技が必要とされます。完成までに数カ月を要することもあり、1本の和傘の制作に携わる職人は数十人ともいわれます。それゆえ、最も手間がかかる工芸品のひとつとされています。

History / 歴史

岐阜和傘 - 歴史

岐阜県南部にある加納地区は全国屈指の和傘の生産地。岐阜和傘の技術はこの地で江戸時代より継承されています。城下町として栄えた加納地区では、武士の内職として和傘作りが行われていました。後に町人や農民も制作に携わることとなり、作業工程が分業化。こうして自然と生産性が高められていったのです。明治時代になると産業として成長し、大正から昭和初期にかけて最盛期を迎えました。
加納地区は美濃和紙の生産地と、和傘の材料となる良質な竹が採集できる木曽三川流域にほど近い場所に位置しています。さらに木曽三川のうち、伊勢湾へ注ぐ長良川は有用な海路でもあったため、江戸や大阪などへ船で運ばれ販売されると、全国的に岐阜和傘が知られていきました。
しかし、洋傘の普及で和傘生産は下火になったことや、和傘職人の高齢化、職人の成り手不足も相まって、現在までに製造元は数件に減少。今では手に入りにくく、さらに貴重な工芸品になりつつあります。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.骨削り 竹を数十本に細かく割って親骨と子骨に削り上げ、傘骨をつくる。
  2. 2.骨染め 削りあがった傘骨を釜茹でし、各々の傘に合わせた色に染める。
  3. 3.ためかけ 染められた親骨を火であぶり、クセを取る。
  4. 4.轆轤(ろくろ)づくり エゴノキという樹木を用い、和傘の柄と骨をつなぐ上下2カ所の轆轤を作る。
  5. 5.繰り込み 細竹に留具を付け、轆轤を入れる
  6. 6.骨組み 1本ずつ組み立てた親骨と子骨を糸でつなぎ合わせる。
  7. 7.傘張り 全体の形を整えながら、傘骨の間に紙を貼る。
  8. 8.仕上げ 傘に油を塗り、天日干しする。傘骨に漆を塗って完成。

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