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山鹿灯籠 ヤマガトウロウ
紙の産地が生んだ室町時代からの精巧な工芸品
和紙と糊だけで臨場感溢れる建造物を模倣
Description / 特徴・産地
山鹿灯籠とは?
山鹿灯籠(やまがとうろう)は、熊本県山鹿市周辺で作られている和紙です。熊本県の夏の風物詩、「山鹿灯籠まつり」で、優美に踊る浴衣姿の女性が頭に乗せている「金灯籠(かなとうろう)」もそのひとつですが、灯りをともす灯籠とは異なり、実在の建造物を1/20から1/30ほどの大きさにし、細部まで精巧に再現したものも灯籠と呼ばれています。神殿造り、座敷造り、城造りなどがあり、毎年、山鹿灯籠まつりに合わせ、灯籠師たちの手によって作られた壮大かつ繊細な作品が大宮神社に奉納されます。
山鹿灯籠の特徴は、材料に和紙と糊だけを使い、留め具なども一切使わずに立体構造を作り上げる点です。定規や小刀、ハサミ、コテなどの道具を使用しますが、曲線部分は、のりしろを作らずに紙の厚み部分のみを使って貼り合わせるなど、すべての工程において繊細な作業が続きます。
また、建造物を実際に目の前で眺めているかのような臨場感を出すために、縦横の比率も実際の縮尺に、独自の変化を加えるなど、灯籠師の熟練の技によって紙とは思えないほどの重厚さや豪華さを生み出しています。2013年(平成25年)には国の伝統的工芸品として指定されました。
History / 歴史
山鹿灯籠の歴史は諸説ありますが、最も語られる一説は第十二代天皇、景行天皇の時代まで遡ります。
天皇一行が九州を巡幸中、山鹿を流れる菊池川で濃い霧に遭遇した際に、山鹿の里人が皆でたいまつをかかげてお迎えし、現在の大宮神社まで無事に導いたという伝説によるものです。それ以降、毎年大宮神社に灯火を献上していましたが、室町時代に入ってからは、灯火が紙で作られた金灯籠に代わったと言われています。
さらに江戸時代には、富豪たちがより豪華な灯籠を灯籠師に作らせたことで、座敷造りや五重塔など現在のような灯籠が奉納されたという記録が残されています。
山鹿で紙づくりが行われたことも、山鹿灯篭が発展した理由の1つとされています。1592年(文禄元年)に始まった文禄・慶長の役の際に、加藤清正が高麗より連れ帰ったのが慶春・道慶の紙漉き職人でした。二人は和紙づくりの役職をあたえられ、のちに現在の山鹿市鹿北町芋生に移住した慶春が、山鹿に紙漉きの技術を伝授したと言われています。
和紙作りは周辺の地域へと発展し、山鹿周辺は重要な紙の産地となってゆきました。これが山鹿灯篭に大きく影響していると考えられています。
Production Process / 制作工程
- 1.裏打ち 灯籠に使用するのは手漉で作られた和紙と決められています。金紙や銀紙は、材料を選別したのち、和紙の裏打ちを行い乾燥させます。
- 2.歩つき(ぶつき) パーツごとに決まっている寸法に合わせた穴が開いている「歩紙(ぶがみ)」を使って、灯籠紙の上に針で突くように指標となる点をつけてゆきます。それにより、「折り線」となるもの、「切り線」となるものの区別をつけます。
- 3.蛍貝引き 歩つきでつけた点と点を結ぶように、蛍貝と呼ばれる金属製のヘラを用いて灯籠紙に線を引いてゆきます。
- 4.天井切り・支柱切り・六角切り 歩つき、蛍貝引きをした灯籠紙の「切り線」に沿って小刀で切り離してゆきます。灯籠の天井・束柱・六角となる部分が該当します。
- 5.型紙毛がき 曲線部などがある部位 は、型紙を用い、鉛筆で型取りしてゆきます。
- 6.擬宝珠(ぎぼし)切り・台座切り・灯袋切り・紋柱切り・欄間切り・弓切り・紋紙切り 型紙毛がきをした灯籠紙を、小刀で切り離します。のりしろを作らず、和紙の厚みの部分で糊つけをする擬宝珠の部分は、灯籠紙の断面を斜めにしておきます。
- 7.そくい糊つけ 切り離しが済んだ灯籠紙にそくい糊つけをして、各部位を作成してゆきます。
- 8.擬宝珠の小口つけ 擬宝珠の部分となる6枚の灯籠紙を丁寧に組み上げてゆきます。
- 9.全体組み立て 最後に各部位を組み立ててゆき、約200ものパーツから成っている金灯籠の完成となります。
Facility Information / 関連施設情報
熊本県伝統工芸館
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住所
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電話096-324-4930
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定休日月曜日(祝日または休日の場合は、その翌日) 年末年始(12/28~1/4)
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営業時間9:30~17:30
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アクセス電車:JR鹿児島本線 「熊本駅」下車後、バスまたは路面電 車に乗り換え12分 バス・路面電車:「市役所前」下車徒歩5分 熊本城周遊バス「伝統工芸館前」下車 車:熊本インターチェンジから25分
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HP
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