山鹿灯籠

山鹿灯籠 ヤマガトウロウ

和紙と糊だけを使い、骨組みや留め具を用いずに精巧な立体を組み上げる山鹿灯籠。金灯籠をはじめ、神殿や城などの建造物を細部まで再現する繊細な技と、紙とは思えない立体感が魅力です。2013年(平成25年)、国の伝統的工芸品に指定されました。

Description / 特徴・産地

山鹿灯籠とは?

山鹿灯籠(やまがとうろう)は、熊本県山鹿市で作られている和紙工芸品です。2013年(平成25年)12月26日に、国の伝統的工芸品に指定されました。

山鹿灯籠の最大の特徴は、木や金具を使わず、手漉和紙と少量の糊だけで精巧な立体構造を作り上げることです。内部の主要部分は空洞となっており、軽量でありながら、建築物や装飾品の細部まで立体的に表現します。

代表的なものに、山鹿灯籠まつりの「千人灯籠踊り」で用いられる金灯籠があります。このほか、神殿造り、座敷造り、城造り、矢壺、鳥籠、古式台灯など、多様な形の灯籠が作られています。

制作には、金紙や銀紙などに手漉和紙を貼り合わせる「裏打ち」、寸法を灯籠紙へ写す「歩つき」、各部品を和紙と糊だけで接着する「そくい糊つけ」など、山鹿灯籠独自の技法が用いられます。

建築物を表現する作品では、実物をそのまま縮小するだけではなく、完成した際に均整の取れた姿に見えるよう、灯籠師が長年の経験をもとに各部の寸法や形を調整します。

大宮神社への奉納品として受け継がれてきた一方、現在では置物、記念品、土産品、インテリア、ランプシェードなどにも技術が生かされています。

History / 歴史

山鹿灯籠の起源には諸説があり、景行天皇の巡幸にまつわる伝承がよく知られています。

伝承では、景行天皇の一行が九州を巡幸した際、菊池川一帯を覆った濃霧によって進路を阻まれ、山鹿の里人たちが松明を掲げて一行を現在の大宮神社の地まで案内したとされています。その後、人々が大宮神社へ灯火を献上するようになり、室町時代頃には和紙で作った灯籠を奉納するようになったと伝えられています。

ただし、これらは山鹿に伝わる起源伝承です。山鹿灯籠の存在を史料から確実に確認できるのは17世紀です。江戸時代の記録「嶋屋日記」には、1674年(延宝2年)7月16日に山鹿湯町で灯籠を見物したという記述があり、少なくとも17世紀中頃には灯籠が制作され、人々に鑑賞されていたことが分かります。

江戸時代、山鹿は宿場町であるとともに、菊池川を利用した物流の拠点として繁栄しました。周辺では楮の栽培や紙漉きも盛んになり、豊かな商業文化を背景に、和紙工芸としての山鹿灯籠の技術が発達していきました。

経済力を持った商人たちの支援もあり、灯籠は金灯籠から、神殿造り、座敷造り、城造りなど、より複雑で精巧な作品へと発展しました。大宮神社への奉納品のほか、藩主などをもてなすための工芸品としても作られました。

山鹿灯籠の制作技術は長く灯籠師の間で受け継がれてきました。近代には灯籠師・松本清記が、それまで秘伝とされてきた制作技術を整理して広く公開し、後継者育成や技術保存に大きく貢献しました。

2013年(平成25年)12月26日には、「山鹿灯籠」が国の伝統的工芸品に指定されました。現在も大宮神社への奉納灯籠をはじめ、金灯籠、建築物を模した作品、現代的なインテリアなどが灯籠師によって制作されています。

Production Process / 制作工程

  1. 1.裏打ち 灯籠に使用するのは手漉で作られた和紙と決められています。金紙や銀紙は、材料を選別したのち、和紙の裏打ちを行い乾燥させます。
  2. 2.歩つき(ぶつき) パーツごとに決まっている寸法に合わせた穴が開いている「歩紙(ぶがみ)」を使って、灯籠紙の上に針で突くように指標となる点をつけてゆきます。それにより、「折り線」となるもの、「切り線」となるものの区別をつけます。
  3. 3.蛍貝引き 歩つきでつけた点と点を結ぶように、蛍貝と呼ばれる金属製のヘラを用いて灯籠紙に線を引いてゆきます。
  4. 4.天井切り・支柱切り・六角切り 歩つき、蛍貝引きをした灯籠紙の「切り線」に沿って小刀で切り離してゆきます。灯籠の天井・束柱・六角となる部分が該当します。
  5. 5.型紙毛がき 曲線部などがある部位 は、型紙を用い、鉛筆で型取りしてゆきます。
  6. 6.擬宝珠(ぎぼし)切り・台座切り・灯袋切り・紋柱切り・欄間切り・弓切り・紋紙切り 型紙毛がきをした灯籠紙を、小刀で切り離します。のりしろを作らず、和紙の厚みの部分で糊つけをする擬宝珠の部分は、灯籠紙の断面を斜めにしておきます。
  7. 7.そくい糊つけ 切り離しが済んだ灯籠紙にそくい糊つけをして、各部位を作成してゆきます。
  8. 8.擬宝珠の小口つけ 擬宝珠の部分となる6枚の灯籠紙を丁寧に組み上げてゆきます。
  9. 9.全体組み立て 最後に各部位を組み立ててゆき、約200ものパーツから成っている金灯籠の完成となります。

Facility Information / 関連施設情報

熊本県伝統工芸館

熊本県伝統工芸館 写真提供:熊本県

  • 住所
  • 電話
    096-324-4930
  • 定休日
    月曜日(祝日または休日の場合は、その翌日)年末年始(12/28~1/4)
  • 営業時間
    9:30~17:30
  • アクセス
    電車:JR鹿児島本線 「熊本駅」下車後、バスまたは路面電 車に乗り換え12分バス・路面電車:「市役所前」下車徒歩5分熊本城周遊バス「伝統工芸館前」下車車:熊本インターチェンジから25分
  • HP

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