岐阜提灯 写真提供:岐阜市

岐阜提灯 ギフチョウチン

上品で繊細な形と優美で清楚な絵柄
300年の伝統が心に沁みる灯りを演出

Description / 特徴・産地

岐阜提灯とは?

岐阜提灯は、岐阜県岐阜市で作られている提灯です。300年以上の長い歴史を誇っており、1995年(平成7年)には、その技術力の高さが認められて、国の伝統工芸品に指定されました。
岐阜提灯の特徴は、美濃地方で作られる良質の美濃紙や竹を材料に、秋の花々や花鳥、風景などの細やかな絵柄が描かれていることです。材料となる美濃紙は、薄くて丈夫なことで昔から知られており、美濃紙それ自体も、国の伝統工芸品の指定を受けています。竹ひごはあくまで細く、紙はあくまで薄く、繊細で優美な形と絵柄があいまって、見る人に上品で清楚な印象を与える提灯です。
お盆の時期には、盆提灯として各家庭などでも広く飾られているほか、照明やインテリアとして用いられることもあります。
岐阜提灯は、御所提灯と呼ばれる、上からつりさげる卵型のものが代表的です。この御所提灯を指して、岐阜提灯と呼ぶこともあります。その他にも、丸い形の御殿丸や、三本の脚が付いた、据え置き型の大内行燈などもよく知られています。

History / 歴史

岐阜提灯 - 歴史 写真提供:岐阜市

昔から、岐阜市のあたりは優れた和紙と竹の産地でした。このため、岐阜市では提灯と同様に、美濃紙と竹を材料とする和傘やうちわなどの工芸品も発達しています。
岐阜提灯は、徳川三代将軍の頃には幕府に献上されたといわれています。その起源については、慶長年間(1596年~1615年)とする説や、1650年(慶安3年)とする説など、諸説あります。
宝暦年間(1751年~1763年)には、岐阜町の提灯屋十蔵が、現在の岐阜提灯の形状につながる提灯を作り、尾張藩に納めていました。文政年間(1818年~1829年)には、草花などの彩色を施した岐阜提灯に人気が集まり、京都の公家の詠草にも詠まれています。
その後も岐阜提灯は継続して作られていましたが、まだまだ高級品で、一般庶民まで広く普及するには至っていませんでした。岐阜提灯の名前が広く知られるようになったのは明治に入ってからです。1878年 (明治11年)に明治天皇の岐阜市行幸の際に目に留まり、そこから岐阜の伝統工芸品として全国に知られるようになりました。

General Production Process / 制作工程

岐阜提灯 - 制作工程 写真提供:岐阜市

  1. 1.ドウサ引き 材料となる和紙に、コシと艶を与えるために、ドウサを塗って乾かします。ドウサというのは、にかわとミョウバンを水で煮込んだものです。ドウサを塗ることで、後に行う摺り込みの際の、顔料のにじみを防ぐ効果も得られます。白地に仕上げるもの以外は、この後に地色を塗ります(地色引き)。
  2. 2.摺り込み 摺込師(すりこみし)と呼ばれる職人が、火袋(ひぶくろ:提灯の紙を貼った卵型の部分)に貼る和紙に、絵柄を摺り込んでいく工程です。岐阜提灯の特徴の一つともなっています。まず、絵師の原画をもとに輪郭用の版木を作り、輪郭部分を摺ります。次に、色を付ける場所だけをくり抜いた型紙を作り、色を摺り込んでいきます。色の重ね方や接する部分などを考慮して、細かく何回にも分けて色を摺り込みますが、その回数分だけ型紙を作ります。多いものでは100枚を数えることもあります。
  3. 3.口輪作り・手板作り 提灯の上下に付く丸い輪の部分(口輪)や、提灯をぶら下げるための板(手板)などを作ります。材料は、スギやヒノキなどです。木地師の仕事で、大内行燈の脚部なども作られます。
  4. 4.装飾 木地師が作った口輪や手板、脚などに、「蒔絵(まきえ)」や「盛り上げ」と言われる技法で装飾を施します。「盛り上げ」というのは、白い胡粉(ごふん)を重ねて菊などを描き、立体感を出す技法です。
  5. 5.提灯の型組み・ヒゴ巻き 提灯の形を作る工程です。まず、提灯の張り型を組み合わせて、原型を作ります。次に、その張り型につけられた細かい溝に合わせて、竹ひごをらせん状に巻いていきます。太さ1㎜にも満たない竹ひごを、均等の張り具合で巻いていくのは至難の業です。
  6. 6.張り付け まず、提灯が伸びきらないように、張り型の背の部分にそって、竹ひごに糸をかけていきます。貼られた紙が破れないようにする役割もあります。次に、提灯の上下それぞれ竹ひご4、5本分の幅に、腰張りといわれる補強用の薄紙を貼ります。そのあと、竹ひごに糊を塗り、摺り込みを行った紙を、張り型の一区画ずつ、一枚置きに貼っていきます。一枚置きに貼るのは、模様の継ぎ目を合わせやすくするためです。一回りしたら、残りの紙を模様に合わせながら貼っていきます。
  7. 7.継ぎ目切り 火袋に紙を一枚張るごとに、のりしろ以外の余計な部分を剃刀で慎重に切り取ります。紙と紙の継ぎ目部分が太いと、灯りにもムラができるので、継ぎ目をなるべく細く、1㎜程度になるように細心の注意を払います。
  8. 8.提灯の型抜き 紙を貼った火袋を乾燥させたら、中の張り型を抜きます。へらで、丁寧に火袋に折り目を付けて、注意深くたたみます。
  9. 9.絵付けおよび仕上げ 摺り込みで絵柄を付ける技法と異なり、無地の状態で仕上げられた火袋に手描きで絵を付ける技法です。日本画の技法が用いられますが、灯りを灯した時に透ける色の具合の加減が難しく、また、同じ柄を寸分違わずにいくつもの提灯に描かなければならないため、高度な技と経験を必要とします。最後に、口輪や手板、房などを取り付けて完成です。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

合資会社 松井八五郎商店 ゴウシガイシャ マツイハチゴロウショウテン

株式会社 オゼキ カブシキガイシャ オゼキ

株式会社 浅野商店 カブシキガイシャ アサノショウテン

See other Other crafts / その他の工芸品一覧

See items made in Gifu / 岐阜県の工芸品