本塩沢 写真提供:新潟県

本塩沢 ホンシオザワ

優美で独特なシャリ感を持つシボの風合い
落ち着いた上品さを漂わせる精緻な絣模様

Description / 特徴・産地

本塩沢とは?

本塩沢(ほんしおざわ)は新潟県南魚沼市周辺で作られている織物です。越後上布(えちごじょうふ)で知られる塩沢地方を代表する織物のひとつで、「塩沢お召(めし)」の名前で親しまれてきました。この地方は麻織物や絹織物の生産が盛んで、他にも「塩沢紬」や「夏塩沢」などの絹織物が知られています。
本塩沢の特徴は、湯の中で揉んで作るシャリ感のあるシボの風合いと、十字絣や亀甲絣(きっこうかすり)などの精緻な絣模様です。越後縮(えちごちぢみ)のような麻織物の縮の技法を取り入れ、絹糸に通常の7~8倍の強い撚り(より)をかけた「八丁撚糸(はっちょうねんし)」や、右撚り・左撚りの強撚糸を緯糸に使用して織り上げた後、ぬるま湯の中で揉みこんでしぼを出します。そのため、出来上がるしぼはとても繊細で、シャリ感のあるさらりとした風合いの織物に仕上がります。
本塩沢の絣糸は、「手括り(てくくり)」や「手摺込み(てすりこみ)」、「板締め」、「型紙捺染(かたがみなっせん)」などの技法を用いて染められます。柄あわせをしながら織り上げる模様は細かく鋭い絣模様で、シボの優美さとともに落ち着いた上品さを醸し出します。

History / 歴史

731年(天平3年)に越後から朝廷に献上した麻布が正倉院に残っていることから、越後地方では約1200年前の奈良時代からすでに麻布が織られていたことがわかっています。乾燥に弱い麻織物にとって、雪深いこの地方は理想的な環境です。その環境の中、古くから上質な麻織物である越後上布が織られてきました。
本塩沢は、越後地方で古くから織られてきた越後上布の技術の中から生まれました。越後上布の特徴は、手括りによる絣模様や湯もみによるシボですが、本塩沢はその技法を絹織物に取り入れたものです。
1864年(文久4年)の「覚」に運上品のリストの中に「絹縮」の記載があることから、江戸時代から織られていたことがわかります。1661~1672年(寛文年間)に、堀次郎将俊によって考案された強撚糸を用いたシボのある織物が広まり作られるようになったのが、本塩沢の始まりと言われていますが、はっきりしたことはわかっていません。
同じく越後上布をルーツとする塩沢紬との違いは、塩沢紬が経糸に生糸、緯糸に真綿の紬糸を使用しているのに対し、本塩沢は経緯糸ともに生糸を使用し、仕上げに湯もみでシボを付ける点です。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.図案・設計 原図案や見本に沿い、方眼紙を使って柄の位置を決め、絣製図を作ります。この段階で、糸の長さや絣の入る位置などを細かく設計しておきます。この製図に基づいて絣定規を作成します。
  2. 2.撚糸(ねんし) 本塩沢には経糸(たていと)、緯糸(よこいと)ともに生糸を使用します。使用する生糸を経糸・緯糸の地糸と経糸と緯糸の絣糸など用途に応じて分け、規格に沿った撚りをかけていきます。この「下撚り」と呼ばれる作業で、糸の太さや強さを均一にします。
  3. 3.付け、くびり 本塩沢の十字絣や亀甲絣を組み合わせた絣模様は、蚊絣と呼ばれる細かい絣で構成されています。はじめに、緯糸の絣糸を張り台に張り、絣定規を使って模様の位置に墨で印をつけていきます。「手括り」による絣模様では、墨で印をつけた部分を綿糸で硬く括って染めていきます。糸で括った部分には染料がつかず染まらずに残りますが、括り方が十分でないと括った部分に染料が入り込み、絣がくずれる原因になってしまいます。
  4. 4.摺込み(すりこみ) 「手摺込み」では、墨付けされた生糸に摺込み用のヘラで染料を摺込んだ後、約100℃の蒸気の中で色を定着させます。
  5. 5.強撚糸(きょうねんし) 緯糸の地糸は下撚りの後、精錬して染色を行います。その後、澱粉粉(でんぷんこ)で糊付けし、シボを出すための追撚を行います。右撚りと左撚り別々に、1mあたり1800回の強い上撚り(うわより)をかけ、右撚りの強撚糸と左撚りの強撚糸を作ります。これにより、織り上がった布がシャリ感のある風合いに仕上がります。
  6. 6.機織り準備、織 織りに使うのは2つの綜絖(そうこう)がセットされ、筬(おさ)で打ちこみをする高機(たかはた)という織機です。足で織機を操作し、綜絖目と筬が上下に動くことで、そこに通した経糸が上下につられ緯糸が行き来する隙間ができます。
    経糸は、地糸と絣糸がずれないように合わせ、張り具合を調整しながら巻玉に巻き取ります。巻き取った経糸を織機の綜絖の目に1本ずつ通し、さらに2本ずつ筬に通していきます。経糸の標準的な本数は約1500本です。緯糸には地糸の右撚り強撚糸と左撚り強撚糸、絣糸の3種類を使用します。緯絣糸はまず糸を1本ずつ分ける絣起こしを行ってから、織り用の管(くだ)に巻き取ります。地糸の右撚り強撚糸と左撚り強撚糸も、それぞれ別の管に巻き取っておきますが、その際、左右間違えないよう一方に印を付けておきます。準備が整ったら、経絣と緯絣を一本一本ていねいに手で合わせ、さらに右撚り、左撚りの糸を慎重に織っていきます。
  7. 7.仕上げ 布が織り上がったら汚れや糊を落とし、シボを出すための湯もみを行います。湯もみにより小しぼで布が約1割縮み、本塩沢独特の波状の凸凹であるしぼが出ます。湯もみをした布を決められた幅に巻き上げ、最後に織りむらや汚れの検査を行って、独特のシャリ感のある本塩沢が完成します。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

やまだ織株式会社 ヤマダオリ

伝統的工芸品である塩沢の絹織物に染の技術を導入し、オリジナリティを高めた製品作りに積極的に取り組んでおります。 塩沢の代表的織物である本塩沢は、『雪の中のきれ』のブランド名で製造、販売し、多くの方々にご愛用いただいております。

Where to Buy & More Information / 関連施設情報

つむぎの里

  • 住所
  • 電話
    025-782-0019
  • 定休日
    冬季間:12月~3月、水曜日
  • 営業時間
    8:30~16:30、17:00
  • アクセス
    JR上越線「塩沢駅」より徒歩15分 JR上越新幹線「越後湯沢駅」より車20分 関越道「塩沢石打インター」及び「六日町インター」より6km
  • HP