仙台箪笥写真提供:宮城県観光課

仙台箪笥 センダイタンス

欅や栗などの木目を生かした重厚な漆塗りと、龍・唐獅子・牡丹などを打ち出した豪華な飾り金具が特徴。指物・漆塗り・彫金、三つの職人技が融合し、堅牢さと格調高い美しさを生み出します。2015年(平成27年)、国の伝統的工芸品に指定されました。

Description / 特徴・産地

仙台箪笥とは?

仙台箪笥(せんだいたんす)は、宮城県仙台市を中心とする地域で作られている木工家具です。2015年(平成27年)に国の伝統的工芸品に指定されました。

重厚な漆塗りと、鉄板を鏨(たがね)で打ち出して作る華やかな飾り金具が大きな特徴です。木地には欅(けやき)を主体に、栗、杉、桐などが用いられ、それぞれの木材の性質を生かして箪笥が作られます。塗りには、欅の美しい木目を生かしながら透明感のある艶に仕上げる「木地呂塗り」や、漆を木地に摺り込む「拭き漆」などの技法が用いられます。

仙台箪笥は、木材を精密に加工して木地を組み上げる「指物師」、漆を塗り重ねて木目の美しさを引き出す「塗師」、鉄板に文様を彫り、打ち出して飾り金具を作る「金具師」という専門職人の分業によって作られます。それぞれの高度な技術を組み合わせることで、堅牢さと装飾性を兼ね備えた独特の姿が生み出されます。

一棹の箪笥には、小さなものを含め200個以上の金具が使われることもあります。龍や唐獅子、牡丹、鳳凰などを題材にした立体的な文様は仙台箪笥を象徴する意匠の一つで、重厚な漆の艶とともに、その華やかな外観を特徴づけています。

History / 歴史

仙台箪笥 - 歴史

仙台では18世紀後半頃から箪笥が作られるようになり、19世紀に入ると、現在の仙台箪笥につながる特徴的な形式が整い始めたと考えられています。江戸時代末期には、仙台藩の城下町に集まった職人たちによって製作され、武士が刀や羽織、裃(かみしも)、文書などの大切な品を収納するための実用的な家具として用いられました。

初期の代表的な仙台箪笥は「野郎箪笥」と呼ばれ、幅約4尺(約120cm)の一体型の箪笥が原型とされています。堅牢な木地に漆を施し、鉄製の金具を取り付けることで、収納家具としての実用性と装飾性を兼ね備えた独自の様式へと発展していきました。

明治時代になると、欅の木目を美しく見せる木地呂塗りや、鉄板を鏨(たがね)で立体的に打ち出す飾り金具の技術が発達しました。牡丹や唐獅子、龍などを大胆に表した華やかな金具も作られるようになり、仙台箪笥を象徴する意匠が形成されていきました。明治中期以降には欧米への輸出も行われ、明治後期から大正時代にかけて生産が盛んになりました。

戦時中は資材不足などの影響によって生産が大きく縮小しましたが、戦後は職人たちによって伝統的な技術が受け継がれ、生活様式の変化に合わせたさまざまな製品も作られるようになりました。

1990年(平成2年)には宮城県知事指定伝統的工芸品となり、2015年(平成27年)6月18日には国の伝統的工芸品に指定されました。現在も、指物、漆塗り、金具という専門職人の技を組み合わせながら、仙台箪笥の伝統が受け継がれています。

Production Process / 制作工程

仙台箪笥 - 制作工程 写真提供:宮城県観光課

  1. 1.原木の準備 原木を伐採し、丸太のまま3~4年保存します。
  2. 2.大割(おおわり) 丸太を大割(おおわり)し、4寸(約12cm)角に切り分けた後、風通しが良い保管場所に移し、15年ほど自然乾燥させます。
  3. 3.小割(こわり) 自然乾燥された角材を、厚みが8分(約24mm)になるように切り分け、屋内でさらに10年ほど自然乾燥させます。
  4. 4.木取(きどり) 仙台箪笥の表面には、美しい木目の欅(けやき)材を、箪笥の本体に使用する木材として杉材などを選びます。箪笥の内部には、杉や桐などを各用途によって仕分けし、各木材の切断箇所を決定します。
  5. 5.加工 仙台箪笥の表面にあつらえるために、製作する箪笥の大きさに合わせて、突き板や単板に加工します。
    冷暖房環境に適応させるため、加工した突き板に桐材を貼り付けます。
  6. 6.組立 木取りした木材の表面を荒削りし、板接ぎ(いたつぎ)を行い、全体を組み立てます。
    桐材や杉材を使って引き出しを製作し、箪笥の形に合わせて、大きさや幅を微調整していきます。
  7. 7.漆塗(うるしぬり) 木地の表面を丁寧に研ぎ、凹凸や傷を整えた後、天然漆を塗って仕上げていきます。仙台箪笥では、欅(けやき)の美しい木目を生かす「木地呂塗り」が代表的な技法として用いられています。

    木地呂塗りでは、透明感のある漆を薄く塗り、適度な温度と湿度を保った「室(むろ)」で乾燥・硬化させます。その後、塗面を丁寧に研ぎ、再び漆を塗る作業を繰り返します。塗りと研ぎを重ねることで木目が鮮明に浮かび上がり、奥行きのある艶と深みのある色合いが生まれます。

    製品によっては、拭き漆など異なる仕上げ方法が用いられることもあります。木材の表情を見極めながら漆の塗り方や仕上がりを調整することが、仙台箪笥の美しさを支える重要な工程です。
  8. 8.乾燥 漆を乾かすために、「ムロ」と呼ばれる高湿の保管場所に置きます。
    乾いたら、漆塗と乾燥の工程を十数回程度繰り返して行います。
  9. 9.手打ち金具製作 職人が和紙に起こした様々な紋様を、一枚の鉄板に鏨(たがね)で手打することにより、絵柄を打ち出します。
    打ち出す紋様によって、手作りの鏨(たがね)を何十種類も用い、手打ちの工程を繰り返していきます。
    複雑な線の紋様は、一目ずつ打ち出し、膨らみがある部分は裏から打ち出します。
  10. 10.金具塗装 彫りおわった金具のすべてを、一つずつ丁寧にさび止めをほどこし、その上から塗装をおこないます。
    金具の用途によって、銅や銀の鍍金(メッキ)のほか、いぶしの色付けを選択しながら塗り分けし、豪華な飾り金具を完成させます。
  11. 11.仕上げ 漆塗りをほどこした箪笥(たんす)に、飾り金具を取り付けて仕上げます。
    飾り金具の取り付けは、さびることがない真鍮(しんちゅう)製の釘(くぎ)を用いて、慎重に打ち付けていきます。

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