岩谷堂箪笥

岩谷堂箪笥 イワヤドウタンス

漆の風合いと木目が美しい格調高い家具
龍、花鳥、唐草、松竹等、浮彫金具の美しい意匠

Description / 特徴・産地

岩谷堂箪笥とは?

岩谷堂箪笥(いわやどうたんす)は、岩手県奥州市江刺区や盛岡市で作られている木工品です。現代の岩谷堂箪笥は、衣装箪笥や整理箪笥のほか、茶箪笥や書棚、座卓なども作られていますが、かつては箪笥としての機能だけでなく、階段にも利用できる階段箪笥や、火事などのとき移動が可能な車付きの車箪笥(車付箪笥)など、興味深い箪笥が作られていました。
岩谷堂箪笥の特徴は、大きな存在感と箪笥に施された美しい飾り金具です。金具には「手打ち彫り」と「南部鉄器金具」の2種類あり、箪笥一棹に60~100個もの美しく浮き彫りされた絵模様の金具が施され、格調ある家具に仕上がっています。岩谷堂箪笥は漆塗りが施されていますが、塗りと磨きの工程を繰り返し行う「拭き漆塗り」と「木地蝋塗り」の2種類があり、どちらも木目が美しく使うほどに深い風合いが生まれる重厚な家具となっています。

History / 歴史

岩谷堂箪笥は、1100年代の平泉が藤原氏によって繁栄していた時代に、産業奨励を推し進めた藤原清衡が力を注いだ産業が起源と言われています。当時は、長持ちなどの大型の家具が主に作られていました。
江戸時代中期の1780年代、岩谷堂城主である岩城村将が、米の生産だけに頼った経済を変革しようと、木工品の商品化に力を入れ、現在の岩谷堂箪笥の原型となる箪笥の製作や塗装の研究に尽力し、階段箪笥、車付きの箪笥など、特徴ある箪笥を作成しました。1820年代には、彫金金具を飾ることを考案し、現代の形状へと引き継がれています。
明治時代になると、箪笥は一般家庭にも広まり、同時に、漆塗りと手打彫り金具の美しい意匠を施した岩谷堂箪笥の需要が増してくるようになりました。
1950年代の一時期には生産が低迷しましたが、伝統を守り続けた重厚な家具が現代生活にも定着し、現在に至っています。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.木取り 岩谷堂箪笥に使用される木材は、主にケヤキ、キリ、クリなどとなっています。特に、岩谷堂箪笥の特徴である木目が美しく表れるケヤキを使用することが多く、北上山系に豊富に自生するケヤキの中から、樹齢約300年以上の木を使用します。切り出した原木を数年ねかせた後製材し、さらに、製材した木材を野積みして自然乾燥させる「野ざらし」という工程を数年かけて行います。これは、木材による狂いや割れを少なくするための重要な工程になります。続いて、この素材を無駄のないように取る「木取り」と呼ばれる工程を行います。
  2. 2.切り込み、組手加工 「木取り」のあと、木地加工、組み立てと作業を進めます。熟練の職人の手でノミやノコギリを使って板材を組み合わせていきます。本体の組み立て作業の後、カンナで表面を滑らかにします。
  3. 3.前仕上げ 本体を組み立てた後、引き出しを作成します。まず、組手を加工し、その後、表面にカンナをかけて滑らかにし、外枠を組み立て、底板の取り付け作業を行います。本体と引出しがぴったりと収まるまでカンナで削り、狂いのないように仕上げて行きます。
  4. 4.漆塗り 箪笥本体の外側を漆で塗装します。漆を塗ることで、美しさ、重厚感を出すうえに、耐久性を持たせることもできるようになります。漆塗りには「拭き漆」と「木地蝋塗り」の2種類があり、「拭き漆」は、漆をへらで塗っては布で磨くという作業を何度も繰り返し行います。「木地蝋塗り」は、木地を砥石で砥ぎ、その木地に砥粉と混ぜた漆を塗って乾燥させ、さらに研ぎ出します。
    次に、生漆を塗り、乾燥させてまた研ぐ、漆を塗っては研ぐという作業を繰り返し行います。下塗り、中塗り、上塗りとして木地蝋漆を塗り、この段階でも研ぐ作業が入ります。仕上げに、生漆を塗っては磨きを数回繰り返し行い、岩谷堂箪笥独特の美しさと透明感を出していきます。
  5. 5.金具の製作(下絵つけ) 岩谷堂箪笥の飾り金具は「手打ち彫り」と「南部鉄器金具」の2種類があります。「南部鉄器金具」は、800年の歴史を持つ南部鉄器の鋳造技術によって作られています。その工程は、鋳型の中に鉄を溶かし入れ、冷えた後取り出して仕上げるというものです。「手打ち彫り」は、まず、鉄板または銅板に下絵を貼り付けます。唐獅子や龍、唐草などの下絵となるデザインは、伝統的に受け継がれ大切に守られてきました。
  6. 6.金具の製作(彫金) 鉄板、または銅板の表から下絵に添って、鏨を用いて図柄を彫っていきます。
  7. 7.金具の製作(打ち出し) 彫金した板を裏からハンマーで打ち出します。この作業でさらに立体的な仕上げにすることができます。次に、金具を切り抜いてヤスリをかけます。さらに、錆止めや色上げを施して仕上げて行きます。
  8. 8.金具の取り付け 箪笥本体の木地に、彫金した飾り金具や引手を取り付け完成させます。飾り金具は文様が映える位置に取り付けられます。これら一連の工程はすべて職人の手作りによって作り出され、長く使い続けられる頑強で重厚な家具となります。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

株式会社岩谷堂タンス製作所 カブシキガイシャ イワヤドウ タンスセイサクジョ

有限会社 藤里木工所 ユウゲンカイシャ フジサトモッコウショ

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