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岩谷堂箪笥 イワヤドウタンス
欅や桐などの木材を用いた堅牢なつくりと、漆塗りの深い艶、重厚な飾り金具が特徴。指物・漆塗り・彫金の高度な技術が結びつき、実用性と風格を兼ね備えた箪笥として受け継がれています。1982年(昭和57年)、国の伝統的工芸品に指定されました。
Description / 特徴・産地
岩谷堂箪笥とは?
岩谷堂箪笥(いわやどうたんす)は、岩手県奥州市江刺を中心に、盛岡市などで作られている木工家具です。1982年(昭和57年)に国の伝統的工芸品に指定されました。
岩谷堂箪笥の特徴は、重厚な木地に施された漆塗りと、精緻な飾り金具です。木地には主にケヤキやキリなどが用いられ、木目の美しさを生かしながら堅牢な箪笥に仕上げられます。漆塗りには、木地に漆を摺り込んで仕上げる「拭き漆塗り」や、木目を生かしながら透明感のある艶を引き出す「木地呂塗り」などの技法が用いられます。
また、岩谷堂箪笥を特徴づけているのが、箪笥の表面に取り付けられる華やかな飾り金具です。金具には、鉄板を鏨(たがね)で彫り、裏側から打ち出して立体的な文様を作る「手打ち彫り」のほか、岩手県に受け継がれてきた鋳物技術を用いて作る金具があります。龍や唐獅子、花鳥、唐草などを題材にした文様が施され、漆塗りの木地とともに重厚な意匠を生み出しています。
伝統的な箪笥のほか、階段としても利用できる階段箪笥や、移動できるよう車を付けた車箪笥など、用途に応じたさまざまな形も作られてきました。現在では、伝統的な技術や意匠を生かしながら、現代の住環境に合わせた家具や小型の収納用品なども製作されています。
History / 歴史
岩谷堂箪笥が作られる岩谷堂周辺には、古くから木工や鋳物などの工芸技術が受け継がれてきました。平安時代末期、藤原清衡が平泉へ本拠を移す以前にこの地域で産業の振興に取り組んだことが、岩谷堂の木工産業の遠い源流になったとも伝えられています。
現在の岩谷堂箪笥につながる家具づくりが本格的に始まったのは、江戸時代中期の天明年間(1781~1788年)とされています。当時の岩谷堂城主・岩城村将は、米作に偏っていた地域の産業を発展させるため、家臣の三品茂左衛門に木工家具の商品化や塗装技術の研究を命じました。こうした取り組みを背景に、長持や車付箪笥などの家具が作られ、地域の産業として発展していきました。
文政年間(1818~1830年)には、鍛冶職人の徳兵衛が箪笥に用いる彫金金具を考案したと伝えられています。漆を施した木地に、龍や唐獅子、花鳥などを表した重厚な金具を組み合わせる様式が次第に整い、現在の岩谷堂箪笥につながる特徴が形づくられていきました。鍵を備えた堅牢な金具も用いられ、大切な品を収納する家具として使われました。
明治時代になると、箪笥が一般家庭にも広く普及するようになり、岩谷堂箪笥の生産も盛んになりました。北上川の舟運などを利用して各地へ出荷され、漆塗りと装飾性の高い金具を備えた家具として知られるようになりました。
第二次世界大戦の影響によって生産は一時大きく縮小しましたが、戦後には再び製作が始まりました。その後、生活様式の洋風化や洋家具の普及によって需要が減少する時期もありましたが、昭和40年代以降は首都圏での展示会開催や生産体制の整備など、産地の再興に向けた取り組みが進められました。
1982年(昭和57年)3月5日には、国の伝統的工芸品に指定されました。現在も、木地づくり、漆塗り、金具製作など、それぞれの工程に受け継がれてきた職人の技術を生かしながら、岩谷堂箪笥が作られています。
Production Process / 制作工程
- 1.木取り 岩谷堂箪笥に使用される木材は、主にケヤキ、キリ、クリなどとなっています。特に、岩谷堂箪笥の特徴である木目が美しく表れるケヤキを使用することが多く、北上山系に豊富に自生するケヤキの中から、樹齢約300年以上の木を使用します。切り出した原木を数年ねかせた後製材し、さらに、製材した木材を野積みして自然乾燥させる「野ざらし」という工程を数年かけて行います。これは、木材による狂いや割れを少なくするための重要な工程になります。続いて、この素材を無駄のないように取る「木取り」と呼ばれる工程を行います。
- 2.切り込み、組手加工 「木取り」のあと、木地加工、組み立てと作業を進めます。熟練の職人の手で鑿(のみ)や鋸(のこぎり)を使って板材を組み合わせていきます。本体の組み立て作業の後、カンナで表面を滑らかにします。
- 3.前仕上げ 本体を組み立てた後、引き出しを製作します。まず、組手を加工し、その後、表面にカンナをかけて滑らかにし、外枠を組み立て、底板の取り付け作業を行います。本体と引出しがぴったりと収まるまでカンナで削り、狂いのないように仕上げていきます。
- 4.漆塗り
箪笥本体の外側を漆で塗装します。漆を塗ることで、美しさ、重厚感を出すうえに、耐久性を持たせることもできるようになります。漆塗りには「拭き漆」と「木地呂塗り」の2種類があり、「拭き漆」は、生漆を木地に塗り、余分な漆を布などで拭き取って硬化させる工程を繰り返します。「木地呂塗り」は、木地を砥石で砥ぎ、その木地に砥粉と混ぜた漆を塗って乾燥させ、さらに研ぎ出します。
次に、生漆を塗り、乾燥させてまた研ぐ、漆を塗っては研ぐという作業を繰り返し行います。下塗り、中塗り、上塗りとして木地蝋漆を塗り、この段階でも研ぐ作業が入ります。仕上げに、生漆を塗っては磨きを数回繰り返し行い、岩谷堂箪笥独特の美しさと透明感を出していきます。 - 5.金具の製作(下絵つけ)
岩谷堂箪笥の飾り金具は「手打ち彫り」と「南部鉄器金具」の2種類があります。「南部鉄器金具」は、岩手県に受け継がれてきた鋳物技術を用いて作られる金具です。その工程は、鋳型の中に鋳型に溶けた鉄を流し込み、冷却後に型から取り出して仕上げます。
「手打ち彫り」は、まず、鉄板または銅板に下絵を貼り付けます。龍、唐獅子、花鳥、唐草など、伝統的な文様が用いられます。 - 6.金具の製作(彫金) 鉄板、または銅板の表から下絵に沿って、鏨を用いて図柄を彫っていきます。
- 7.金具の製作(打ち出し)
鏨で文様を彫った後、板の裏側から槌などで打ち出して立体感を持たせます。
次に、金具を切り抜いてヤスリをかけます。さらに、さび止めや色上げを施して仕上げていきます。 - 8.金具の取り付け 箪笥本体の木地に、彫金した飾り金具や引手を取り付け完成させます。飾り金具は文様が映える位置に取り付けられます。これら一連の工程は木地加工、漆塗り、金具製作など、それぞれの工程に熟練した職人の技術が生かされ、長く使い続けられる頑強で重厚な家具となります。
Representative Manufacturers / 代表的な製造元
株式会社岩谷堂タンス製作所 カブシキガイシャ イワヤドウ タンスセイサクジョ
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創業1782年 (天明2年)
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代表三品 健悦
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住所
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HP
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電話0197-35-6016
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