別府竹細工

別府竹細工 ベップタケザイク

美術工芸品としても名高い竹編み細工
奈良時代より受け継がれる技術

Description / 特徴・産地

別府竹細工とは?

別府竹細工(べっぷたけざいく)は、大分県別府市を中心に県内から産出されたマダケを主材料として作られている竹製品です。
別府竹細工の特徴は、竹ひごを編み上げる「編組」という技法で、全て手作業で作られていることです。四つ目編み・六つ目編み・八つ目編み・網代編み・ござ目編み・松葉編み・菊底編み・輪弧編みの8つの編組を基本とし、編組の組み合わせ次第では200通り以上の編み方が可能と言われています。この8つの基本的な編組は、大分県で唯一、経済産業省より日本の伝統的工芸品として指定されています。
花籠、飯籠、盛り籠といった昔ながらの日用品に加え、籠バッグやバスケットなど現代風にアレンジされた製品も人気があります。また、美術工芸品として利用されることもあり、別府市内にある旅館の内装に竹編みの技法を施されたことが昨今話題となりました。
優れた技術による美しい竹細工は、日本だけでなく海外にも多くのファンを持つ工芸品として多くの方に認知されています。

History / 歴史

奈良時代の「日本書記」に、景行天皇(けいこうてんのう)が九州南部の熊襲征伐の帰りに立ち寄った別府にて、台所方が良質なシノダケから茶碗籠を作ったことが別府竹細工のはじまりであると言われています。
室町時代には、行商(商品を持ち歩いて販売する小売商人)用の籠が生産され、別府の竹細工市場が確立していきました。
別府が日本一の温泉地として知れ渡った江戸時代に入ると、各地から訪れた湯治客の飯籠(炊いた米を入れる籠)などの生活用品に土産物にと人気を博するようになり、竹細工市場はますます活性化して地場産業としても定着します。
1902年(明治35年)に、別府工業徒弟学校竹籃科が創立されると別府竹細工は単に土産物というだけでなく、優れた技術を要した工芸品へと成長していきました。1967年(昭和42年)には生野祥雲斎が竹工芸初の人間国宝となり、高度な技術の伝承は守られ続けていきました。
1979年(昭和54年)、通産省(現在の経済産業省)から日本の伝統的工芸品に指定され、現在に至るまで工芸品としてだけでなく芸術作品としても別府竹細工が広く親しまれています。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.伐採・油抜き 3〜4年経った良質な竹を竹林から伐採します。伐採した竹は苛性(かせい)ソーダを入れた水で15分間煮沸し、染み出た油を拭き取る油抜きという工程を行います。
  2. 2.天日乾燥 油抜き加工した竹を天日乾燥すると、美しい象牙色に変わります。天日乾燥した竹は「晒竹(さらしだけ)」と呼ばれ、竹製品生産者は主にこの晒竹を購入し製作します。
  3. 3.切断加工・荒割り 天日乾燥した竹は「菊割」という道具で必要な長さに切断されます。節の盛り上がりを削り取り、竹割り包丁で繊維に沿って半分に割ります。その半分をさらに縦に割る「荒割り」という工程を繰り返し行います。単純な作業のようですが、まっすぐバランスよく割れるようになるには3年ほどかかります。
  4. 4.剥ぎ 切断された竹は、「荒剥ぎ」→「小割り」→「薄剥ぎ」と徐々に薄く加工します。荒剥ぎはだいたい皮と身が4:6くらいの割合で剥いでいきます。
  5. 5.ヒゴの仕上げ 「すき銑(せん)」という道具でひごの厚みを均一にし、2本の幅取り小刀の間に竹を通して幅を揃えます。次に面取り刀で角を取り、作品に合った竹ひごに仕上げていきます。
  6. 6.底編み 竹編みの中で最も技術を要する底編みをします。底編みの難しいところは、底の平面を立体にしていく「腰の立ち上がり」で、竹ひごを火で熱しながら立ち上げていきます。
  7. 7.胴編み・首編み 続けて胴編みをしていきます。作品のデザインや用途によって編み方を変えたり崩したりして編組します。
  8. 8.縁仕上げ・取り付け仕上げ 縁仕上げをして編みの工程は終了です。縁仕上げの種類には、編み上げてきたひごをそのまま使う「共縁」、縁にする竹を当てて竹ひごや針金で固定した「当て縁」、竹や藤を巻いた「巻縁」などがあります。作品に応じて取手などを取り付けます。青物、白物は塗装しないので、この工程を終えて完成です。
  9. 9.塗装加工 編み上がった作品は染料による煮沸染色し、下地染めを行います。染色加工の有無によって呼び名が異なっており、青竹のままのものを「青物」、油抜き加工した竹を使用するものを「白物」、染色や漆塗りを施すものは「染物」・「黒物」と呼ばれます。また、下地染めした作品を乾燥させて、布で磨いていきます。力を入れすぎると竹に傷がつき艶がなくなってしまうので、注意深く均一に力をかけていきます。漆塗り仕上げには生漆を使いますが、作品の出来上がりによって朱合漆または生漆を使った「錆び付仕上げ」で仕上げることもあります。
    漆塗り仕上げを行った作品は、保湿性の高い木材などで作られた室で乾燥させます。適度な温度と湿度がないと漆は乾きません。乾燥した作品に必要な場合は装飾などを施して完成です。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

(有)竹工房オンセ

株式会社南風工藝

宮井竹工所

Where to Buy & More Information / 関連施設情報

別府市竹細工伝統産業会館

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