伊万里焼・有田焼

伊万里焼・有田焼 イマリヤキ・アリタヤキ

白・藍・赤の色彩が鮮やかに広がる曲線美
日本が誇る優美かつ華やかな磁器

Description / 特徴・産地

伊万里焼・有田焼とは?

伊万里焼(いまりやき)・有田焼(ありたやき)は、佐賀県有田町周辺で作られている磁器です。薄く華奢な印象の伊万里焼・有田焼ですが、どちらも陶石から作られた磁器のために耐久性に優れています。
伊万里焼・有田焼の特徴は、キメが細かくなめらかな手触り、透明感のある白磁に染め付け呉須の藍と鮮やかな赤の配色です。元々伊万里焼と有田焼はほぼ同じもので、どちらも有田・三川内・波佐見で作られていましたが、出荷する駅や港の名前を使って有田焼・伊万里焼と呼ばれるようになりました。
現在の三川内焼(みかわちやき)や波佐見焼(はさみやき)ですら、有田焼や伊万里焼の名前で販売されていたこともありました。現在では有田で焼かれたものが有田焼、伊万里で焼かれたものが伊万里焼と呼ばれ、区別されています。ただし、古伊万里は伊万里で焼かれたものではありません。1650年(慶安3年)頃までに焼かれた焼き物を、古伊万里と呼びます。

History / 歴史

伊万里焼・有田焼 - 歴史

伊万里焼・有田焼の起源は江戸時代の1616年(元和2年)に遡ります。鍋島直茂により朝鮮から渡ってきた李参平によって陶石が発見され、焼き物の歴史が始まりました。1650年(慶安3年)頃の作品は、染め付け呉須のみで仕上げられたシンプルで厚みのある焼き物です。この頃はまだ上絵付がされておらず、1647年(正保4年)に初代酒井田柿右衛門により上絵付がなされるようになりました。
1640年(寛永17年)代には特徴的な赤絵の柿右衛門様式が生まれ、マイセンなどでも模倣されていました。1688年(元禄1年)になると赤や金を使った、華やかな金襴手様式(きんらんでようしき)が生まれ、焼き物の全面に模様が描かれるようになりました。1870年(明治3年)にはワグネルの影響で石炭窯が作られ、原料がコバルトになった呉須もまたたく間に全国へ広がりました。

General Production Process / 制作工程

伊万里焼・有田焼 - 制作工程

  1. 1.成土 材料となる陶石を採掘し、泉山陶石か天草陶石のどちらか選別します。選別された陶石は、機械で粉末にされます。最初にクラッシャーである程度の大きさに砕いた後、スタンパーで粉末にして、水の入った水槽に入れて水簸(すいひ)を行います。水簸により鉄分などの不純物を取り除いたら、余分な水分を抜いて陶土のできあがりです。
  2. 2.成形 成形にはろくろなどを使いますが、その前に土こねを行います。土こねの目的は、陶土の中にある空気を抜くことと水分や粒を均一にすることです。陶土の中に空気やムラがあると、ヒビなどの原因になります。なお、土こねは土もみとも呼ばれ、全ての陶芸で必須の工程です。土こねが終わった陶土は、機械ろくろや手ろくろ、型成形、鋳込みなどで成形を行います。
  3. 3.仕上・乾燥 成形ができたら、高台やつまみ、縁などの細かい部分を作り上げます。伊万里焼や有田焼ではありませんが、模様彫りを行うのもこの段階です。なお、生地を急激に乾燥させるとヒズミなどの原因となってしまいますので、ゆっくり乾燥させます。
  4. 4.素焼 しっかり乾燥させたものは、約850~950度で焼成します。素焼きの場合も、温度を急激にあげることはせず、徐々に温度を上げることで破損を防ぎます。冷やす場合も同様で、徐々に冷やして破損を防ぎます。
  5. 5.下絵付 素焼きが終わってから施釉を行う前に下絵付をします。下絵付でよく使われる顔料は、酸化コバルトを主成分する染め付け呉須(ごす)です。伊万里焼・有田焼の美しい藍色は、この染め付け呉須により表現されています。なお、濃淡の調整は顔料の違いではなく、水によるものです。緻密で繊細なデザインにする場合は、下絵付の段階で線引きや染め付けダミを行うこともあります。
  6. 6.施釉 下絵付完了後、薄く均一に釉薬(ゆうやく)をかける工程を施釉と呼びます。釉薬の焼成することでガラス質になるという性質を活かし、焼き物を強化する、表面を滑らかにする、美しい光沢を出す、汚れを防ぐという目的で行われる工程です。高台部分についた釉薬をふき取ったら、しっかり乾燥させます。
  7. 7.本焼成 釉薬が乾いたら1300度程度の高温で16時間ほどかけて焼き上げます。上絵付を必要としない作品の場合は、本焼成が終われば完成です。
  8. 8.上絵付 本焼成が終わった焼き物に、さらに絵付けを行うことを上絵付と呼びます。伊万里焼・有田焼特有の赤絵を付けるのもこの段階です。上絵付に使う顔料は温度の制約を受けるため、上絵付後に行う上絵窯の焼成温度は700~800度程度とやや低めの温度になります。さらに金箔や銀箔を使った金彩・銀彩を施す場合は、上絵窯の後にもう1工程必要です。錦窯(にしきがま)または、金窯(きんがま)と呼ばれる工程で、金彩・銀彩の後に施釉を行い、400度程度の低温で焼成して完成となります。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

源右衛門窯 ゲンエモンガマ

源右衛門窯

手間ひまかけた本当にいいものは、食卓や住まいが多様化しても、お使いになる方のこころに響きます。 源右衛門窯は、ものづくりの原点に忠実な器づくりを目指します。

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今右衛門 イマエモン

今右衛門窯の色絵磁器は、江戸期の美意識と品格を今に伝え、国の重要無形文化財保持団体として認定されております。

柿右衛門窯 カキエモンガマ

柿右衛門窯

重要無形文化財「柿右衛門(濁手)」として総合指定を受けており、『濁手素地』と呼ばれる、柔らかく温かみのある乳白色の素地が特徴です。

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深川製磁 フカガワセイジ

深川製磁の製品は、すべて初代深川忠次の「工藝思想」を継承しており、 透きとうるような 青色の染付は、フカガワブルーと呼ばれています。

Where to Buy & More Information / 関連施設情報

伊万里・有田焼伝統産業会館

伊万里・有田焼伝統産業会館 写真提供:佐賀県観光連盟

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