大谷焼

大谷焼 オオタニヤキ

鉄分を多く含む土が生み出す、素朴で力強い風合いが特徴。大甕などの大型陶器では、二人一組で成形する独特の「寝ろくろ」が用いられ、酒器などの薄手で丈夫な器にも優れた技が息づいています。2003年(平成15年)、国の伝統的工芸品に指定されました。

Description / 特徴・産地

大谷焼とは?

大谷焼(おおたにやき)は、徳島県鳴門市大麻町大谷を中心に作られている陶器です。鉄分を多く含む粘土による素朴で力強い風合いと、大型陶器を作るための独特な成形技法「寝ろくろ」で知られています。2003年(平成15年)9月10日に、国の伝統的工芸品に指定されました。

大谷焼を代表する製品の一つが、藍染めに用いる藍液を蓄えるための「藍甕(あいがめ)」です。徳島では藍の生産が盛んだったことから、大型の甕が数多く作られ、大谷焼の発展を支えました。こうした大物陶器を成形する際には、二人一組となり、一人が器を成形し、もう一人が作業台の下に横になって足でろくろを回す「寝ろくろ」が用いられます。

原料には、鉄分を多く含む萩原粘土や讃岐粘土、姫田粘土などが用いられます。焼き上がった器には、土のざらりとした質感や落ち着いた色合い、金属を思わせる光沢などが現れ、大谷焼ならではの表情を生み出します。

現在では、伝統的な大甕や睡蓮鉢などの大型陶器に加え、湯呑み、茶碗、皿、鉢、酒器、花器など、日常生活で使われるさまざまな製品が作られています。各窯元では伝統的な技法を受け継ぎながら、現代の暮らしに合わせた新しい表現にも取り組んでいます。

History / 歴史

大谷焼 - 歴史

大谷焼の始まりは、江戸時代後期の1780年(安永9年)とされています。豊後国(現在の大分県)の焼き物細工師・文右衛門が四国遍路の途中に大谷村を訪れ、蟹ヶ谷で採れる赤土を使って、ろくろで火消壺などの雑器を作ったことが起源と伝えられています。

その後、徳島藩は大谷村に窯を築き、九州から陶工を招いて磁器の生産を試みました。しかし、原料を遠方から調達する必要があり、生産費がかさんだため、この藩窯は短期間で閉じられました。

1784年(天明4年)になると、藍商人の賀屋文五郎らの働きかけもあり、納田平次兵衛が信楽焼の職人を招いて陶業技術を学び、大谷村に連房式登窯を築いて陶器の生産を始めました。これが、現在につながる大谷焼の本格的な始まりとされています。

江戸時代から明治時代にかけて、徳島では藍の生産が盛んになり、染色に使う藍液を蓄えるための大型の「藍甕」が数多く必要とされました。大谷焼では、大型の甕を作るために「寝ろくろ」と呼ばれる独特の成形技法が発達し、大物陶器の産地として成長していきました。

その後、生活様式や産業構造の変化によって藍甕の需要は減少しましたが、窯元では技術を受け継ぎながら、湯呑みや茶碗、皿、酒器、花器など、日常生活に合った製品へと生産の幅を広げていきました。

2003年(平成15年)9月10日には、国の伝統的工芸品に指定されました。現在も鳴門市大麻町大谷では、大物陶器や寝ろくろの技法を受け継ぎながら、さまざまな陶器が作られています。

Production Process / 制作工程

大谷焼 - 制作工程

  1. 1.粉砕(ふんさい) 萩原粘土、讃岐粘土、姫田粘土など原料土を採取し、乾燥後に細かく打ち砕きます。
  2. 2.篩(ふるい) 砕かれた土を、ふるいにかけ、不純物を取り除き精製します。
  3. 3.水簸(すいひ) 精製後の土を、水槽の中にいれ、攪拌(かくはん)作業を始めます。攪拌しながら、同時に、別の水槽に土を流し入れることにより、徐々に移し替えていきます。
    移し替えが完了したら、篩(ふるい)で不純物をこし、陶磁器の原料となる粘土「陶土(とうど)」が沈殿するまでしばらく置きます。沈殿した陶土を「もり鉢」に移し、適度な固さになるまで置きます。
  4. 4.土練(つちねり) 円形に広げられた陶土(とうど)の上に、職人が裸足でのり、両足を使って押し出すように踏みつけながら、土全体の柔らかさを均一に整えるために「荒練り(あらねり)」を行います。
    次は、手を使って、荒練りした後の土を回転させながら、土の中の気泡を抜くために練り込む「菊練り(きくねり)」を行います。
  5. 5.成形 粘土を、ろくろに移し替えて、手を使って成形を行います。
    大型の陶器を製作する場合には、「大谷焼」の伝統的な成形技法「寝ろくろ」によって、職人が2人1組となって形を作っていきます。
  6. 6.乾燥 成形後の製品を、屋内で陰干しにより乾燥させます。甕(かめ)や鉢などの大型陶器を製作する場合には、20日程度かけて陰干しをします。小型の陶器類であれば、陰干しに要する期間は2日から7日間程度となります。
    次に、屋外に移し天日干しにします。大型の陶器の場合には、2日か3日程度、小型の陶器の場合には、1日程度が目安です。
  7. 7.施釉(せゆう) 天日干しによって乾燥できたら、釉薬(ゆうやく)を掛ける「施釉(せゆう)」の工程に移ります。
    施釉(せゆう)には、主に3つの方法があり、1つ目の方法として、素焼きをせず釉薬(ゆうやく)をかける方法「生掛け(なまがけ)」があげられます。そのほかの方法として、素焼き後の製品を釉薬(ゆうやく)に浸す「浸し掛け」や、柄杓(ひしゃく)を使って、製品に釉薬(ゆうやく)を流し掛ける「流し掛け」があります。
    なお、素焼きは、約800℃の窯(かま)の中で、8時間から16時間かけて行われます。
  8. 8.窯詰め(かまづめ) 製品を焼くために、窯の中に整然と並べていきます。
  9. 9.焼成(しょうせい) 窯内の温度を徐々に上げ、約1,230℃で製品を焼き上げる工程「焼成(しょうせい)」に移ります。
    窯には、「登り窯」「電気窯」「ガス窯」の3種類があり、それぞれ焼成(しょうせい)期間が異なります。
    登り窯では、5~6昼夜が必要とされ、電気窯やガス窯の場合には、1~2日を要します。
  10. 10.検品・関税 焼き上がった製品を確認し、欠けや亀裂、焼成状態などを検品して完成です。

Representative Manufacturers / 代表的な製造元

合同会社 大西陶器 ゴウドウガイシャ オオニシトウキ

梅里窯 ウメザトガマ

佳実窯(よしみがま) ヨシミガマ

Facility Information / 関連施設情報

合同会社 大西陶器

Other Ceramic / 陶磁器一覧

Other Crafts Made in Tokushima / 徳島県の工芸品