薩摩焼

薩摩焼 サツマヤキ

進化の分岐を経て残った白薩摩と黒薩摩
江戸時代から世界に名を馳せた焼き物

Description / 特徴・産地

薩摩焼とは?

薩摩焼(さつまやき)は、鹿児島県で生産される陶磁器です。白薩摩、黒薩摩、磁器の3種類から形成されます。薩摩焼の特徴は種類が多く、竪野系、龍門司系、苗代川系、西餅田系、平佐系、種子島系と呼ばれる6種類もの種類があることです。
白薩摩は白もんと呼ばれ、淡い黄色い焼き物に透明の釉薬(ゆうやく)を使い、表面にひびをあしらい、その上から装飾したもので、主に装飾品や置物等です。黒薩摩は黒もんと呼ばれ鉄分の多い陶土を利用しており、釉薬も色味のついたものを利用しています。黒もんは主に焼酎を飲むときに使われる器等です。薩摩焼には主原料を陶石とする磁器も存在しますが、現在は流派が途絶え作られてはいません。
薩摩焼の産地は主に鹿児島県鹿児島市、指宿市、日置市等になり、現在残っている窯場は、苗代川系、龍門司系、竪野系の3つの窯場です。苗代川系は当初は黒もんを中心に作成していましたが、現在では白もんを中心に制作している窯場となります。龍門司系は黒もん中心で酒器を作成している窯場で、竪野系は白もん中心で主に贈答用の茶器等を制作しています。

History / 歴史

薩摩焼 - 歴史

薩摩焼きの歴史は戦国時代の1529~1598年(享禄2年~慶長3年)に行われた文禄・慶長の役から始まります。これは日本が朝鮮出兵をした戦争ですが、別目「焼き物戦争」と呼ばれ、薩摩藩藩主の島津義弘が朝鮮人の陶工師を80人連れ帰ったことで薩摩焼が誕生しました。
朝鮮人陶工師の朴平意(ぼくへいい)や金海(きんかい)らは、薩摩藩内に窯場を開きそれぞれの陶工のスタイルで、様々なスタイルの陶磁器の制作を行いました。これが流派や特徴に分かれ、現在の形に昇華した薩摩焼となります。
現在の薩摩焼は伝統を受け継ぎ、未だに朝鮮の風俗を受け継いでいます。沈壽官(ちんじゅかん)の窯は美山にある窯場で朝鮮の独特の風俗を受け継いだ色絵薩摩の里です。また、朴平意の末裔が引き継ぐ荒木陶窯は朝鮮ならではの左回しのろくろに拘り、独自の天然釉薬を利用し、祖先から引き継いだ伝統を守っています。
1867年(慶応3年)の江戸時代から明治時代への変遷期には薩摩藩がパリ万博へ薩摩焼を出品し、ヨーロッパの人々に感銘を与えて「SATSUMA」と呼ばれて親しまれました。2007年(平成19年)の平成時代にもフランス国立陶磁器美術館に於いて薩摩焼パリ伝統美展が開催されその名を馳せました。

General Production Process / 制作工程

薩摩焼 - 制作工程

  1. 1.坏土(はいど)づくり 数種類の陶土を練って坏土します。原料を細かく砕いて調合していきます。黒もんと白もんは坏土に使う土の種類が異なります。白もんは坏土することにより、来褐色の陶土となり、黒もんは茶褐色の陶土になります。主原料となる白土とその他の土を巧みに配合することで、磁器と陶器のどちらともつかない風合いを出していきます。
  2. 2.水簸(すいひ) 白もんでは、土をこねては水に溶かし沈殿を集めて乾燥させては土を取り出す水簸(すいひ)と呼ばれる作業を繰り返して繊細な陶土を作っていきます。黒もんは土の素朴な風合いを大切にするため、水簸の行程は行いません。水簸で繊細な粒子を作ることにより、表面が滑らかな白もんの原型が作られます。
  3. 3.成形 ろくろを使って成形していきます。手で作る手ひねり等もあり石膏型や素焼き型を使う型起こし等、窯場によって独自の成形をしていきます。現在ではろくろを使った成形が主流になってきています。
  4. 4.乾燥・成形の仕上 仕上げまでの少しの間乾燥させます。おおまかに乾燥したところで、カンナで削ったり、彫ったりして形を整えていきます。黒もんの場合には、透かし彫りや浮き彫り、へら等による加飾で装飾をあしらうこともあります。白もんは焼き上げた後に装飾の行程に入ります。
  5. 5.乾燥 成形して仕上げたものを天日で乾燥させます。作品によっては熱風乾燥により、充分水分を抜いていきます。
  6. 6.素焼 750度〜850度の窯で15〜16時間程度素焼きします。素焼きで表面を硬くすることで、釉薬ののりがよくなります。素焼き後冷やしてから、表面のざらつきを落としなめらかにします。
  7. 7.施釉 白もんには透明の釉薬を使います。主に、浸掛・流し掛の手法を施します。こ黒もんには、数種類釉薬掛を行います。釉薬には黒釉、褐釉、飴釉等を用いて行い、配合は作品によって変えていきます。
  8. 8.本焼 1,250度程度で12時間以上焼き上げます。酸素を含んだ酸化炎と、酸素を欠乏させた還元炎の方法があり、種類によって焼き方を変えていきます。白もんの特徴である貫入(かんにゅう)と呼ばれる表面の細かいひびは焼成後の冷ます過程で生じます。
  9. 9.上絵付 白もんにのみ上絵付けを施していきます。本焼きされた製品に対して720度〜800度の温度で6時間程度焼き上げます。骨描きと呼ばれる線書きを行い、色込めと呼ばれる色彩を施していきます。白もんの作品は豪華絢爛なものが多く、赤、緑、黄、紫、金色等を使って色込めをしていきます。金色の装飾である、金細工を施す場合には、上絵付けを行った後に金描き又は、金盛りを金色の絵の具で施し、600度〜680度で焼いていきます。
  10. 10.完成 窯出しを行います。焼く前にアルミナ等を塗布して焼き上げているため、底のざらつきを取り除く仕上げを行い、釉薬の飛びを綺麗にし完成します。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

沈壽官窯 チンジュカンガマ

荒木陶窯 アラキトウキ

Where to Buy & More Information / 関連施設情報

鹿児島県歴史資料センター黎明館

鹿児島県歴史資料センター黎明館

  • 住所
  • 電話
    099-222-5100
  • 定休日
    月曜日(国民の祝日の時は翌日)      毎月25日(ただし土曜日・日曜日の時は開館) 12/31~1/2
  • 営業時間
    9:00~17:00(ただし入館は16:30まで)
  • アクセス
    航空機 鹿児島空港から市内行き空港バス 金生町下車 徒歩10分 JR九州 鹿児島駅から徒歩15分 電車・バス 市役所前下車徒歩5分 カゴシマシティビュー 薩摩義士碑前下車すぐ
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