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阿波正藍しじら織 アワショウアイシジラオリ
独特な凹凸「シボ」によって表現される美しさ
良質の阿波藍で染め上げた伝統的な木綿織物
Description / 特徴・産地
阿波正藍しじら織とは?
阿波正藍しじら織(あわしょうあいしじらおり)は、徳島県徳島市で作られている綿織物です。18世紀から阿波で生産されていた「しじら織」を「阿波藍」で染めたもので、1978年(昭和53年)には経済産業大臣より伝統的工芸品に指定されています。しじらとは、織物の表面にできる「縮(ちぢみ)」のような細かいしわのことです。
阿波正藍しじら織の特徴は、「シボ」と呼ばれる縮が生み出す生地全体の凸凹です。この凸凹によって生地に軽さと肌触りの良さが生まれ、汗をかいても肌に張り付きにくくなるので、暑い夏も涼しく過ごせる衣料として親しまれています。
綿の素朴な風合いと「ジャパンブルー」と呼ばれる爽やかな藍色が魅力で、主に夏から秋に着られる着物や浴衣に用いられてきました。さらに近年はネクタイやハンカチなどの小物やタペストリーなどのインテリアも作られるようになり、誰でも気軽に日常で阿波正藍しじら織の魅力が楽しむことができます。
History / 歴史
阿波正藍しじら織が誕生したのは1866年(慶応2年)です。現在の徳島市安宅にあたる阿波国名東郡安宅村で、海部ハナという女性が偶然にしじら織の技法を発見しました。
当時、阿波国の庶民の間で流行していた木綿織物「たたえ縞」を干していた時、にわか雨で生地が濡れて縮んでしまいます。ハナは縮んだ生地にできた凸凹の素晴らしい風合いに目を留め、あえて凸凹したシボのある木綿織物を作ることを思いつきました。
その後ハナは研究に苦心を重ね、経糸の張力差を利用することでシボを作るしじら織の技法を考案します。安価な木綿で作ることができ軽くて涼しいしじら織は庶民に受け入れられ、阿波国に広く普及するようになったのです。
また、阿波国では藩主の蜂須賀氏により藍の栽培が推奨されており、江戸時代の中期から吉野川流域で阿波藍が盛んに栽培されていました。阿波藍の生産量は明治時代に入るまで全国の約1/4を占めるほど豊富で木綿の染料として良質なことから、しじら織を染める際に用いられるようになったのです。阿波国の藍産業が衰退した後も、気軽に着られる衣料として親しまれ続け、現在では伝統産業として維持されています。
Production Process / 制作工程
- 1.綛上げ(かせあげ) 綛(かせ)と呼ばれる糸の輪を作ります。「綛上げ枠」という機械を使って、原糸を管に巻き付けておきます。こうすることで糸がまとまり、染色しやすくなります。
- 2.染色 綛を綛染専用釜で染色します。藍染めは、原糸を藍に漬けこむ時間が長くなるほど濃くなります。また、天然藍のほかに化学染料も使い、糸をさまざまな色に染め上げていきます。
- 3.水洗い 染めた糸を水洗いします。阿波藍は本来の色合いが出るまで、繰り返し水洗いすることが必要です。
- 4.天日干し 布海苔をつけて糸の毛羽立を抑えながら天日干しを行います。空気にさらすことで酸化し、藍が美しく発色するのです。藍染めは一度で染まらないので、染色、水洗い、天日干しの工程を繰り返していきます。
- 5.糸繰(いとくり) 次に、染め上がった綛(かせ)の糸を糸枠に巻き取り、機織の準備ができる状態にしておきます。
- 6.整経(せいけい)・緯巻(ぬきまき) 経糸は、全て機織に必要な本数と長さに揃えます。この作業を「整経」といいます。緯糸は、織の時に使う杼(ひ)という道具に通す「緯巻」を行います。
- 7.機織(はたおり) 機を織っていきます。シボを作るためには、経糸と緯糸の張力差を出しながら織ることが必要です。そのために平織と引き揃えの糸の組み合わせを変えて織ります。
- 8.乾燥仕上げ 織り上がった生地を湯に漬けることで収縮し、シボが現れます。仕上げに乾燥させて、阿波正藍しじら織の完成です。
Representative Manufacturers / 代表的な製造元
長尾織布合名会社 ナガオオリフ
「見て、さわって、作らんで」を合言葉に、よき伝統がある阿波しじら織・藍染製品の生産に励んでいます。製品を通じて、伝統的な良さを多くの人に味わっていただければ幸いです。
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創業1897年 (明治30年)
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定休日土日(店舗は土曜日も営業)
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代表長尾 伊太郎
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営業時間10:00~16:00
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住所
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HP
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電話088-642-1228
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見学可 / 見学無料(事前予約必要) 体験 藍染体験 ハンカチ1枚¥1,000(税込)10人以上団体割引¥800(税込) ストール・Tシャツ等染体験有(事前予約必要)
Facility Information / 関連施設情報
徳島県物産観光交流プラザ「あるでよ徳島」
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住所
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電話088-622-8231
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定休日年末年始(12/28~1/1)、施設点検日
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営業時間9:00~20:00
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アクセスJR高徳線「徳島駅」より市バス「新町」下車徒歩3分又はJR高徳線「徳島駅」より徒歩8分
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HP
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