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博多織 ハカタオリ
770年の伝統が織りなす力強い技
独特の張りがもたらす締め心地と絹擦れの音
Description / 特徴・産地
博多織とは?
博多織(はかたおり)は福岡県福岡市博多地区周辺で作られている織物です。中国から伝来した織物の技術を独自で発展させた織技術は上質な織物として時代を通じて評価されています。
博多織の特徴は、たくさんの細い経糸(たていと)を使用し、経糸で柄を浮かせるように綿密に織られることです。強い打ち込みのため独特の張りや厚みがあり丈夫で、男帯として古くは武士、近年は力士のまわしとしても多く用いられてきました。帯を締め込んだ時には独特の「絹鳴り」とよばれる絹擦れの音がします。
博多織の素材には生糸や絹糸、金銀糸、うるし糸が用いられ、箔には金銀箔、うるし箔が使われています。製法により「献上・変り献上」(けんじょう・かわりけんじょう)、「平博多」(ひらはかた)、「間道」(かんどう)、「総浮」(そううけ)、「捩り織」(もじりおり)、「重ね織」(かさねおり)、「絵緯博多」(えぬきはかた)の伝統七品目が設定され、伝統技法が受け継がれています。
History / 歴史
博多織は、鎌倉時代1241年(仁治2年)に博多商人満田弥三右衛門が宋より持ち帰った唐織(広東織)の技術を元に、16世紀に子孫満田彦三郎が改良を重ねた織物技法です。彦三郎は明において新しい織物技術を習得し家伝の技術と合わせて研究を続け、浮線紋や柳条により仏具の「独鈷」や「華皿」を模様にした厚みのある織物技法を完成させました。これが「覇家台織」(はかたおり)と名付けられ、現在の博多帯のルーツとなっています。
1600年(慶長5年)黒田藩統治下では博多織が幕府献上物として作られるようになり、森羅万象を表現した五色献上が誕生しました。博多織は江戸時代には織屋株制度により限定されていた生産者が明治時代に入ると自由化されました。そして品質維持のため1880年(明治13年)、現在の博多織工業組合の原型となる博多織会社が設立されました。さらに明治後期になると男帯だけでなく女帯も織られるようになります。
Production Process / 制作工程
- 1.意匠(いしょう) 博多織の作成はまず絵柄を決定する「意匠」という作業からはじまります。設計された図案にしたがって織組織別に色付けをしていき、図柄を完成させていきます。図柄は方眼紙に写され織物一目一目色をつけていくという細かい作業ですが、現在はコンピューターの利用により効率化が図られています。
- 2.染色(せんしょく) 博多織は「意匠」で色が決められていますので、先に絹糸を染色する作業に入ります。絹糸を石鹸水で洗って光沢を出し、染液の入った釜で縦糸横糸をそれぞれ染めあげていきます。染料は化学染料のほか、植物染料も用いられます。色は気候条件などにも左右されるため熟練した技術や見極めが必要です。染め上がった糸はよれや絡みを取り除き、均一な状態に整えます。
- 3.機仕掛(はたじかけ) 博多織は経糸で模様を出しますので、糸を並べてドラムに巻きつけておき、その後織機に模様に合わせて縦糸を連結する「機仕掛」(はたじかけ)という作業を行います。経糸を上げ下げするジャガード機の縦針それぞれに糸をかけていきます。糸を掛け終わった先は、綜絖(そうこう)に結んでいき、絹糸を通していき最後に筬(おさ)を通します。「機仕掛」(はたじかけ)は「意匠」による指示に正確に従う必要があり、さらに繊細な絹糸を多数扱うため根気の必要な工程となります
- 4.製織(せいしょく) 博多織は機械織も進んでいますが、伝統的な手織の場合は「打ち返し、三つ打ち」という技法を使って織られます。緯糸の仕込まれた杼(ひ)を走り筬(おさ)を使い、経糸へ力強く打ち込んでいきます。この力加減により織物の張りや綿密さに磨きがかかります。また織機も気候条件などによるきめ細やかな調整が必要とされ、同じ織物を織るにも熟練した経験が重要となります。博多織は後染めの工程を持ちませんので、織り上がるとそのまま検査が行われ製品化されます。
Representative Manufacturers / 代表的な製造元
HAKATA JAPAN ハカタジャパン
“先進的なクラシシズム”をブランドコンセプトとし、高い織技術と変わらない美意識だけでなく、最もプログレッシヴな感性をプラスしたスタイリッシュなデザインで、自分らしく楽しむ時代の進化的価値を提案しています。
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創業1928年 (昭和3年)
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定休日年中無休
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代表鴛海 伸夫
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営業時間10:00 ~ 19:00
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住所
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HP
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電話092-263-1112
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見学不可
西村織物株式会社 ニシムラオリモノ カブシキガイシャ
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創業1861年 (文久0年)
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代表西村 聡一郎
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住所
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電話092-922-7128
筑前織物株式会社 チクゼンオリモノ カブシキガイシャ
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創業1949年 (昭和24年)
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代表丸本 修司
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住所
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電話092-431-7721
Facility Information / 関連施設情報
アクロス福岡・匠ギャラリー
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住所
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電話092-406-6762
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定休日第2・4月曜日
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営業時間10:00~19:00
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アクセス福岡市営地下鉄「天神駅」(16番出口)より徒歩5分
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HP
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