江戸硝子

江戸硝子 エドガラス

受け継がれる江戸の粋
洗練された匠の技が見る者の心を躍らせる

Description / 特徴・産地

江戸硝子とは?

江戸硝子(えどがらす)は、東京都江戸川区や墨田区、江東区周辺で作られているガラス製品です。現在は千葉県の一部でも製造されていますが、東京の地場産業として認知されてきました。
江戸硝子の特徴は、江戸時代より伝わる材料や伝統的な技法を引き継いだガラス製法です。手作業による感触や使い心地、見るものを深く楽しませる粋な技が施されています。
工場での大量生産品と比べそれぞれが一品ものとして存在する江戸硝子は、幅広い世代や海外でも親しまれておりお土産品や贈答用としても重宝されています。各工程には熟練の職人が携わり、今でも伝統は絶えることなく続いています。実際に現代においても、江戸硝子の伝統や今後の普及を図る目的として職人展が定期的に開催されています。

History / 歴史

硝子製造の歴史は、弥生時代と推定される最古の硝子工芸品の発見が始まりです。
当時の製法は現代の硝子製法とは異なっていました。硝子は戦国時代ではごく限られたものの間で交わされる珍品で、江戸時代に入って本格的に硝子が製造されたと伝えられています。
江戸における硝子の製造は、加賀屋久兵衛(かがやきゅうべえ)と上総屋留三郎(かずさやとめさぶろう)の手により広がっていきました。すでに江戸時代の江戸では人口100万人ほどが住む日本の最大消費都市で、18世紀の初めに日本橋通塩町で加賀屋久兵衛が鏡や眼鏡など大衆向けの硝子製品を製造しました。また浅草では上総屋留三郎がかんざしや風鈴、万華鏡などを製作し、江戸の町で爆発的な人気を呼んだとされています。
1877年(明治10年)の第1回内国勧業博覧会の出品目録には、加賀屋久兵衛と久兵衛の息子である熊崎安太郎の名前が記録に残っています。1879年(明治12年)に社団法人東部硝子工業会の前身である「東京はり製造人組合」が設立され、硝子製造者組合が結成されました。
伝統的な技は代々受け継がれ2014年(平成26年)には伝統工芸品に指定されています。

General Production Process / 制作工程

  1. 1.溶解 江戸硝子の製造は明治時代から近代化されましたが、硝子製法そのものは江戸時代より受け継がれています。その背景には東京・品川の官営工場(品川硝子製造所)において、明治初期に導入された西洋式硝子製造技術が採用されて、発展の原動力になりました。硝子の主な原材料には珪砂、ソーダ灰、石灰、炭酸カリ、酸化鉛等があります。江戸時代から使用されてきた原材料であることから、伝統が固く守られていることがわかります。
    まずは原料を混ぜ合わせて溶解炉に入れ、約1400度の高温で溶解して水飴状にするところから始まります。現在では重油やガスを燃やして溶解します。
  2. 2.厚物の成形 江戸硝子は手作業による工程がほとんどです。硝子の扱いは高温、繊細かつタイミングがとても重要なことから、熟練の技が欠かせません。溶解された材料は「硝子種(がらすだね)」と呼ばれます。硝子種を溶解炉から取り出し成型します。この工程では硝子種の重量をそろえるため、職人の共同作業により慎重に行われます。
  3. 3.押型成形 硝子種を型に流し込みます。型には雄型と雌型があり、種捲き竿(さお)に巻き取った硝子種を雌型に入れ雄型で押します。上下で挟むように成形します。
  4. 4.宙吹き成形 技法のひとつである宙吹き法硝子では、種を吹き竿に巻き取って空中で吹き竿をまわしながらハシ等の道具で形を整えていきます。吹きガラスのように息で硝子に空気を送り込み、炉で温める作業を繰り返し成形を行う工程です。デザイン、繊細さ、統一性など独特の世界観が熟練した職人の腕により表現されていきます。
  5. 5.型吹き成形 木型、金型など決まった外形に硝子を流して成形します。型吹き法という技法が使われる工程です。硝子に息を吹き込みますが、自由な形になる宙吹きとは逆に決まった形に成形することができます。仕上げで不要部分を除去して完成です。ここでひととおりの製造工程が終了になります。
  6. 6.徐冷窯 成形されたばかりの硝子は高温で、そのまま冷ますと硝子にヒビが入って割れてしまいます。硝子には徐冷点という温度があり、500度前後とされています。その温度を境にひずみが出やすいため、徐冷釜を使って一定の温度を保ちながら徐々に冷やさなくてはなりません。500度前後で温まった徐冷釜で一定時間を保持、その後徐々に温度を下げていきます。完成まで入れてからうすいもので1時間半、厚いもので半日以上徐冷釜に入れることにより、耐久性に優れたものになっていきます。
  7. 7.製品・出荷 完成品の検品などを終えた製品は、デパートや直営店、個人などに向けて出荷されます。食器、酒器、花器、食卓用品など最初はひとつの硝子種だったものが、いくつもの日常品へと姿を変えて生み出されています。現在ではショールームを併設した工場などもあり、一般の方が直接目にしてその味わいを愉しんでもらう工夫をしているところもあります。

Leading Ateliers / 代表的な製造元

田島硝子株式会社 タジマガラス

昭和31年創業してから半世紀以上、お客様からの要請に応え、様々な硝子食器製造技術を開発・採用してきました。平成14年「江戸硝子」として東京都の伝統工芸品に指定されました。

岩澤硝子株式会社 イワサワガラス

東京都指定伝統工芸品「江戸硝子」の窯元として、東京都知事認定伝統工芸士を中心に手作りのガラスにこだわり、製作し続けてまいります。