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知花花織 チバナハナオリ
100年ぶりに復活した幻の織物
庶民の自由な感性が活かされた伝統的織物
Description / 特徴・産地
知花花織とは?
知花花織(ちばなはなおり)は沖縄県沖縄市知花で作られている織物です。
知花花織の特徴は、布の地に花のような文様が織り込まれていることです。このような連続した幾何学模様を織り込んだ織物を紋織物と言い、華やかな文様のルーツは南アジアから伝わったものとも言われています。
知花花織には縦方向に柄が浮き上がる経浮(たてうき)花織と刺繍のように柄を織り込む縫取(ぬいとり)花織とがあります。素材は木綿が主に使われていましたが、絹や羊毛を用いることもありました。織り込まれた模様は、通常反物では同じ模様が連続して続きますが、知花花織では最初と最後で違う模様が織り込まれることもありました。その理由は、琉球王朝時代に税金として収められていた織布が多かった中、知花花織は徴税の対象となっていなかったからです。
祭事の際にも知花花織の着物を着用して祭祀を行っており、その風習は現代にも受け継がれています。
History / 歴史
知花花織の起源ははっきりとわかっていませんが、一説によると18世紀頃には旧美里村(現在の沖縄市)の周辺で花織が織られ始めたと言われています。琉球王朝は盛んに中国や南アジアと交易を行っており、花織のルーツは南アジアから伝わったと考えられています。
知花花織は王府の貢布の対象となっていなかったことから自由な意匠で作られ、知花村の祭事に着る衣装としても根付いていきます。旧暦の8月14日に行われるウマハラシー(馬競争)、8月15日のウスデーク(臼太鼓)で五穀豊穣を願う祭事では知花花織が用いられてきました。しかし、明治以降になると徐々に衰退の一途をたどるようになります。
第一次、第二次世界大戦後、沖縄が壊滅的な被害を受けると、その技術は完全に途絶えてしまいました。しかし、1989年(平成元年)に知花花織は100年ぶりに復元され、現在では行政の支援も受け着物だけでなく、ネクタイなどの小物も製作するなど意欲的に生産に取り組んでいます。
Production Process / 制作工程
- 1.デザイン 方眼紙などを用いてデザインを決定していきます。
- 2.糸巻き 綛(かせ)と呼ばれる木製のボビンに糸を巻き取り扱いやすくします。
- 3.整経 反物に必要な経糸の長さと幅を整えていきます。
- 4.染色 染色には自然由来の素材を使用します。地色によく用いられる紺色は琉球藍で染色します。琉球藍は沖縄独特の藍色で、泡盛で発酵させた琉球藍を何度も染めることで深い濃い色の藍色を出していきます。また、花模様に用いられる黄色や赤色はフクギやシャリンバイで色を出します。フクギは沖縄の家屋の庭に防風林としてよく植えられている木で、その樹皮や葉を用いて色を出します。シャリンバイは白色の可憐な花を咲かす木で、タンニンを多く含んでいるので、褐色に近い赤色を出すことができます。
- 5.仮筬通し 筬(おさ)と呼ばれる細い隙間のある板に一本一本糸を通していきます。筬は織りに入る前の準備段階で、本織りに入ると板ははずされるので、仮の筬に色糸と地糸を割り振ることから仮筬通しと呼ばれています。
- 6.綜絖通し 先ほど通した仮筬の板をはずし、綜絖と呼ばれる糸を上下させる部品に糸を通していきます。綜絖(そうこう)は緯糸を渡す為に糸を上糸と下糸を別々に通して、交互に交差させていくことで織り上げていきます。
- 7.本筬通し 綜絖通しを終えた後、織り機の緯糸を通す為に再び筬に糸を通していきます。この時上糸と下糸をセットにして筬に通していきます。
- 8.製織 図面通りに緯糸を渡し、織りの作業を行います。経方向に紋が浮かぶ「経浮花織」や刺繍のように糸が織りに縫い込まれる「縫取花織」など技法によって織り分けます。知花花織は大変複雑な織りなので、1日にたった数十センチしか織り進められません。
- 9.洗い張り 布が織り上がるといったん洗いにかけ、張り伸ばします。伸子(しんし)と呼ばれるカーブした竿を布幅に渡し、縮みを防ぎながら乾燥させます。こうして布の幅と長さを一定のものに統一します。
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